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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

虎のスコアラーが教える「プロ」の野球観戦術

2013年08月14日 | 本の感想
虎のスコアラーが教える「プロ」の野球観戦術(三宅博 祥伝社黄金文庫)

野村克也さんの著作などによると、野村さん流の頭を使った野球の元祖はブレイザーさんだったようなことが書いてある。
しかし、今のMLBを見ていると(実はあまり見てないので印象だけど)もう力勝負一本みたいなイメージがある。井口選手がいたころのホワイトソックスがワールドシリーズを勝った時に「スモールベースボール」なんて言われたけど、この言葉には(個人的な印象ですが)侮蔑的な視線を感じてしまう。

本書を読むと、タイガースのスコアラーも野村さんが監督になるまでは、かなりアバウトだったようで、(著者が(データを採取し分析する当の)スコアラーでありながら)データの大切さは野村さんに学んだ、なんてことが書いてあった。
あらためて振り返ると、野村さんってほぼ独力で、(サイバーメトリックスともまた異なる)日本流の緻密な(というかある意味緻密すぎる)野球を作りあげたんだなあ、偉大だよな、その割に尊敬されない(失礼)のは、やっぱし、おカネにがめつそうなイメージのせいか、正直すぎる毒舌のせいか(例えば、著書の中で、古田が年賀状すら寄越さないのは許し難い、なんて赤裸々?に書いちゃうのはどうよ、と思うよなあ)

全般的に、野球ファンなら常識の域に入っているような内容だが、プロの記者がゴーストライトしている(あとがきに、そうハッキリ書いちゃう記者さんもどうなんよ、という感じはあるけど、読んでるとモロスポーツ紙口調なんで、誰でもわかっちゃうんだけどね)だけあって、楽しく、すいすい読める。「統一球がロッテを殺した」なんて、ファンとしては「ホントそうだったよなあ。だから、今年は勝てるってことか」なんてうれしくなっちゃうようなことも書いてあった。

なお、本書はシーズン前に出版されたもので今読むと「時差」のある個所もあるが、それほど気にならない。ある程度結果が出ている今読むと、予想が外れたところも当たったところもあって、むしろ楽しめるかもしれない。