蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

翼に日の丸(上)

2008年04月06日 | 本の感想
翼に日の丸(上)(川又千秋 角川文庫)

架空戦記小説には大きくわけて二つのパターンがあると思う。

一つは、「トンデモ系」。戦艦空母とか超大型潜水艦とか、まあ現実にはありえない兵器を登場させて、ありえない戦場で戦うようなもの。「紺碧の艦隊」が代表。

もう一つは「シミュレーション系」。ある程度史実に基づく、あるいは軍事的にありえる設定の下、少しだけ史実を改変(例えば栗田艦隊がUターンしなかったら・・・みたいな)することにより大きく変わった(あるいは、それでもやっぱり変わらなかった)歴史を描くもの。「連合艦隊ついに勝つ」が代表。

私は前者に属すると考えるものは「紺碧の艦隊」以外読んだことがない。(「紺碧の艦隊」がトンデモ系とは何事か!という方もいらっしゃるかもしれませんが・・・)
一方、後者の方のもう一つの代表作(と私が考える)「覇者の戦塵」シリーズは開始以来20年余り読み続けているし、その他のシリーズもつまみ食いしている。

「連合艦隊ついに勝つ」(いや~この小説は面白いですよね。今読んでも全く古さを感じないし、何回読んでも楽しめる)、「覇者の戦塵」シリーズの他にも熱中して読めるものがないかと、探しているのだが、なかなか巡りあえない。

さて、「翼に日の丸」は、後者に属するといって良いと思うのだが、どうも主人公がツキすぎているのと、講談調(?)の語り口がちょっと気になった。

それにしても川又千秋さんの作品を読むのは20年ぶりくらいだろうか。かつてはSF専業で評論とかもされていて「硬派」(?)かと思っていたので、ラバウル空戦記シリーズ(本作はこのシリーズの外伝みたいなものらしい)を書かれたのには少々驚いた記憶がある。
コメント
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