おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

   待   春

2015-01-24 10:54:01 | Weblog

 後二日で大寒という十八日が、夫の十年目の忌日で丁度日曜日だったので、息子と娘との三人で墓参りに行った。
 娘が仏間の床の間の正月花を大きなアマリリスと黄色いバラ三本と霞草などに交換して活けてくれた。

 供華も洋花を携えて私が低くて乗りやすいからと、娘のプリウスに乗って行った。
 寒の水でいつもよりていねいに墓石を拭き線香や蝋燭を灯して私の読経で手を合わせた。
 墓石の背の向こうにみえるマンションを、息子があれが去年買って入った所と言う。下にプールがあって、車が三台置けるそうだ。
 「もっと、向こうかと思ったら、こんなに近くなのねー」「幾つ部屋があるの」「披露がないので祝いもあげれんわ」などといって娘と声を立てて笑った。
 ゆったり歩いて、私の友達夫婦の墓の前を通り、そこにも手を合わせた。
 坂なので普段は敬遠している本堂への道を歩きながら、私が蝋梅がないかと言うと娘が「あれは何」と走り寄ったのは、さんしゅが二株、ゆるんでは居るがまだ蕾である。
 大相撲の夏場所の時はあれが「稀勢の里」の宿舎だと眺めて本堂の横まで来ると、「この梅は一本に紅と白が咲くのですよ」と、おくりさんが忙しげに追い越して行かれた。
 親戚は理由があると行き易いからと、夫の姉の次男が 五十年来やっている、上社のペイザンヌへランチに行った。
 団体客があるので隣のサウンドミュージックの店で待っててのこと。ここは三男がやっていて喫茶もある。
 去年、義姉と長男を三ヶ月の間に亡くした彼らとは従兄弟どうしなので、「今日は親父の十年」と言って親交を深めていた。
 ランチは厚い豚肉のあげたのか、ソテーなのか衣が苦にならずソースがとても美味しくデザートはサービスと大皿に五種類づつも、出してくれた。
 いつも連れ合いや孫が一緒なのに今日は三人だけで、てれくさいなあと思っていたが、そこは親子何のてれも遠慮もなくてしっくりした自分達だけの十回忌であった。 もうじき暖かな春がやってくる。 

    
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コメント (4)
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