僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

日ごと夜ごと

2010年01月25日 | 心と体と健康と

毎日、寒い。寒い。
テレビのニュースや天気予報で映し出される東北や北海道の雪の量…
それってものすごい量だなぁ、そんなところでも、ちゃんと生活ができるんだ。
大阪に住んでいると、雪に埋もれた生活というのがどういうものか、想像もつかない。

年末の歌謡番組に新沼謙治が出ていて、「津軽恋歌」というのを歌っていた。
その中で、雪には7つの雪がある、と歌っている。
 
 ♪ こな雪・つぶ雪・わた雪・ざらめ雪・水雪・かた雪・春待つ氷雪 ♪

なかなかいい歌詞なんだけれども、こういう一節もあった。

 ♪ 日ごと夜ごと 海鳴りが~~ ♪

それを見て、思わず「海鳴り」の部分が、僕の中で「耳鳴り」に変わった。

 ♪ 日ごと夜ごと 耳鳴りが~~ ♪

あぁ、まったくそのとおりだ。
耳鳴りが発症して、もう3年目に入るっていうのに、
日ごと夜ごと、ず~っと、ず~っと、鳴り続けて止まない耳鳴り。

人はさまざまな運・不運を抱えて生きていかなければならないが、
耳鳴りに見舞われた不運は、長いわが人生の中でもダントツの不運である。

と、ついつい、ボヤきたくなるが、運命として受け止めるより他はない。

しかし、先日職員組合の「新春旗びらき」に出席したとき、もっと不運な人を知った。

K君といって、今年50歳の市役所の職員である。

テーブルでビールを飲んでいた僕の姿を見て、そのK君近づいてきた。
「のんさんじゃないですか。お久しぶりです。どうしてはるんですか…?」
「お、これはK君。 僕はぼちぼちとやってますけど、あなたもお元気そうで」

そう言うと、「元気なことありません。メニエールで大変なんです」
彼は両手で自分の両耳を指差した。
見ると、僕が耳鳴り治療として付けている器具と同じようなものを、
両耳につけているのである。僕は、左の耳だけに付けている。

メニエールとは、めまい、難聴、耳鳴りなどが一度に襲ってくる病気だそうである。

「耳鳴りは、実は僕もあるんだけど…」 と僕が言うと、
「いやぁ、耳鳴りだけだったらいいじゃないですか」
と、K君の顔が、情けない表情になった。

K君は、めまいがして、気分が悪くなるのも大変だけど、
何よりも、人の声が聞きにくい(難聴)のが最も辛い、という。

市役所に来る市民と会話をしていても、相手の声が聞こえなければ仕事にならない。
だから、両耳に補聴器をつけている。
その補聴器と、僕らの耳鳴り治療器とは、ほぼ同じ形をしている。

補聴器を付けていても、やはり、普通より話が聞き取りにくいそうだ。
そのくせ、大きな音がすると、キーンと響く(つまり聞こえすぎる)という。

この「旗びらき」のオープニングセレモニーで、和太鼓の演奏があった。
腹に響くほど大きな音であったが、K君はたまらず補聴器を外したそうだ。

「急に後ろから車がゴーっと走ってきても、耳はキーンと響きますし…」

聞こえにくいわ、聞こえすぎて耳に響くわで、毎日大変な思いで過ごしているそうだ。

「ですから、耳鳴りもず~っと続いていますが、それどころやない、という感じで…」

しばらく昔話などの雑談をしたあと、K君は自分のテーブルに戻って行った。

最初から隣の席にいた先輩のウエムラさんという男性に、
「いろいろな病気があって、みんな大変なんですね。
 その点、ウエムラさんは、どこから見ても健康そのものですね」

そう言ったら、ウエムラさんは、「何を言うてるねん」 と急に表情を変え、
「僕は膀胱ガンになったんやで。 もう普通のおしっこは、でけへんねん」
と、今は人工の装置を前に付けていると言った。
そう言いながら、ウエムラ先輩は、ビールをグビグビ飲んでいたけれど…

いや、まあ、人も、日ごと夜ごと、いろいろな問題を抱えて生きているのだ。

自分ひとりが不幸のように、つい思ってしまうけれど。
まだまだ、これくらいなら、マシな方だと思わなければならない。
自分の運を呪ってばかりせず、感謝の気持ちというものも、ちょっとは持たなければね。


 

 

 

 

コメント (9)
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