僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

大阪南港フェリーターミナル

2009年11月11日 | ウォーク・自転車

20歳の時に大阪から自転車で北海道まで往復した経験を持っていたことは、
社会人となり、妻子持ちになった僕にとって、多少自慢のタネであった。

「えぇっ、自転車で…? ひとりで、70日間の旅ですかぁ」
そう言われると、なんとなく嬉しかった。

でも、日本一周をしたわけではない。 西日本は、残したままであった。

「日本一周…? じゃ、ないのですね~。 東日本一周ですね」
というふうに言われると、血が騒いだ。

なんとか成し遂げたい。 日本一周を…!。

そう思いながら過ごした20代の最後の年、1週間の休暇を取り四国を走った。

翌年の30歳の時は、GWを利用して、10日間の休みをもらって九州を回った。

3年目のラストランは中国地方だ。 これもテントを積んで1週間の旅をした。

これらの旅を無事に終えて、ようやく僕の日本一周自転車旅行が完結した。

四国へは、大阪南港から徳島までフェリーに乗った。
九州へは、大阪南港から新門司港までフェリーで行った。
中国地方へは、大阪南港からフェリーで徳島へわたり、そこから北上した。

3年間いずれも僕の自転車旅行の出発地 (及びゴール地) は、大阪南港だった。

大阪南港フェリーターミナルからの出航は、いつも夜であった。

職場に休暇届を出し、妻と子どもたちを家に残して、船を待つ心境は複雑だった。
職場に迷惑をかけるうえ、これだけの日数と費用をかけ、家族を置いて旅に出る。
どうも、社会人としても、家族の一員としても、自分は落第ではないか…という、
そんな気持ちと、これから大好きな自転車旅行に出る身震いするような喜びと…

良心の呵責、寂しさ、それでも興奮、そして、さらに喜び ……

そんな複雑な気持ちを抱きながら、ひっそりと静まり返った夜の南港の待合室ベンチで、
ひとり出航時間が来るのを待った時のことは、今でも忘れられない思い出だ。

その思い出深い大阪南港フェリーターミナルが、昨夜はてんやわんやの大騒ぎだった。
このターミナルで、前代未聞の大捕り物劇が展開されたのだ。

千葉県の市川市で、英国人女性英会話講師の遺体現場にいた指名手配男が、
その大阪南港フェリーターミナルで捕まったのである。 市橋達也容疑者である。

女性英会話講師が一人で独身男の部屋に個人レッスンに行くなんてことは、
ECCあたりでは考えられないことだけど、市橋容疑者が執拗に頼んだのだろう。
いずれにしても、日本の恥をさらすような由々しき事件であった。

彼は、昨夜、ここからフェリーに乗って沖縄へ逃走するつもりだったという。

しかし、逮捕されて、本当に良かった。 
ホッとした人たちも多いことだろう。

もともとこの事件は、警官が一番最初に市橋容疑者宅に踏み込んだとき、
彼に、押しのけられ、裸足のまま逃げられたという、大きなミスから始まった。

もし、彼がどこかでのうのうと生きているのであれば、こんな腹立たしいことはない…

市橋容疑者の名前と顔は、全国津々浦々に行き渡っていたはずだったが、
2年7
ヶ月もの間、何の消息もなく、有力情報もなかった。 

「自殺したん違うか…?」 誰もがそう考えても、不思議ではなかった。

しかし、そんなヤワな人間ではなかったようである。

彼は、まるで怪人二十面相のように数回の整形手術をして顔を変えていき、
なんと、大阪の茨木市で1年余り会社寮に住んでいたというのだから驚く。

数日前に、整形手術後の彼の顔が公開され、事件は急転直下に結末を迎えた。

あのキツそうな目がタレ目になり、ふっくらとして、一転気の弱そうな顔になった。
「ずっと引きこもっていました」 と、会社の同僚に言っても、信用される顔である。

何度か整形手術を受けたと言うが、不思議なのは最初の整形外科医のことである。
あれだけ大々的に市橋容疑者の手配写真が出回っていたのに気づかなかったのか。
整形後にまた整形手術した別の医師は、市橋と気づかなかったのは、仕方ない。

しかし…最初に市橋の顔に手を加えた医師の責任は重大ではないか。
その医師の手によって市橋の顔が変わり、捜査が一段と難しくなったのだからね。

「自由診療」ということで、お金さえ払えば偽名でも容易に整形手術ができるそうだ。
だったら指名手配を受けても、金があれば、手配写真の顔を簡単に変えられる…。
おまけに、院内では、患者同士が顔を合わせないような仕組みもあるらしい。
それなら、なおさらのこと、後は医師の 「眼」 だけが頼りなのである。

市橋はパスポートまで作ろうとしていたそうだ。
どこまでも、逃走本能の強い男である。

ところで、昨夜の「報道ステーション」で、市橋容疑者の両親が出ていた。
降りしきる雨の中、父親と母親が報道陣のインタビューに答えていた。
ボカシも入っておらず、父親も母親も、鮮明に顔が映し出されていた。

しかし、今日のニュースを見ると、両親の顔は伏せられていた。
そのうえ、音声まで変えてあった。 テレビ局も、扱いがコロコロ変わるんだね~。


さて、この10日間ほど、次々と凶悪事件や不審死事件が相次いでいたので、
市橋容疑者の逮捕は、せめてもの救い、という感じのニュースとなった。
しかし、彼が逮捕されたからと言って、殺害された女性は戻ってこない。

こういう事件の犯人は、断じて極刑に処さなければならない。

 

夜の大阪南港フェリーターミナル…。 待合室のベンチ…。 めくるめく思い…。

僕にとっては、ここは、ほろ苦くも浪漫的な香りが漂う大切な場所であった。

テレビで、その懐かしのフェリーターミナルの待合室ベンチが何度も映っていた。

ここが、あの市橋容疑者の逮捕現場になってしまうとは…

 

 


 

 

 

 

 

 

コメント (4)
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