僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

「阿保」 をめぐる冒険

2009年07月10日 | ニュース・時事

昨晩にakiraさんからいただいたコメントに、大阪府松原市の町名のことが書かれていましたので、今日はその話題を取り上げてみたいと思います。その町名というのは、「阿保」という名です。何と読むのでしょうか…?

   ……………………………………………………………………

僕が勤めていた松原市役所の所在地は、松原市阿保1丁目1番1号である。

その「阿保」というのは、地元の人たちは「あお」と発音しており、市役所でも「あお」を正規の読み方としている。

akiraさんのコメントのお返事にも書いたが、うちの子供たちは、小学生の頃、この「阿保」という地名がよほど面白かったらしく、
「お父さんは、アホの1の1の1に仕事に行ってるねんで」
と、あちこちの人に言いまわっていた。

また、学生時代、松原の阿保町に住んでいた木村という友人がいたが、当時、彼がプンプン怒っていたことがあったのを、今でもよく覚えている。

木村君は、
「この前松原駅前でパチンコをしてたら、館内放送で『アホの木村さん、アホの木村さん、お電話ですので正面カウンターまでお越し下さい』と呼ばれたがな。ほんまにぃ~。何がアホの木村さんじゃ」と唇をとがらせていた。

「アホの木村さん」と呼ばれたらネェ…。そりゃ、あまり気分は良くない。
パチンコ屋さんは、「アホ町の木村さん」と呼ぶべきでしたね~。

(しかし数年後、まさか自分がその「阿保」のど真ん中にある松原市役所に就職するとはねぇ…。その時は想像もできなかった)。  

市役所に入って1~2年のころ(35年以上も前のことだけど)、僕は税務関係の仕事に就いていたのだが、課税台帳の中に「サカタトシオ」という名前を見つけたときは、さすがにのけぞった。漫才の坂田利夫と同じ氏名だったうえ、この「サカタトシオ」さんという人は、阿保町に住んでいる人だったからだ。

この人がパチンコ店で呼び出されたらどうなるか…?

「アホのサカタさん、アホのサカタさん。カウンターまでお越し下さい」
気の毒過ぎるのではないか…?

しかし、この阿保という地名は、なかなか由緒のある地名なのである。

平安時代の初期の頃に、阿保(あぼ)親王という方がおられた。
この方は、平城天皇の第一皇子だったが、むしろ、在原行平・業平の父親としてのほうが有名である。

その阿保親王が住んでおられたのが、この松原市の阿保の地である。
「阿保」という地名には、1000年以上の歴史が脈打っているのである。
新町何丁目とか、ナントカ台何丁目…などという地名とは、格が違うのだ。
(そ~ゆ~地名にお住まいの方、どうもすみません)
あ、そういえば、長男が住んでいるところも、小山新町…というのだった。

役所の仕事で、電話で事務のやり取りをしているとき、よく先方から、
「では、松原市役所のご住所を教えていただきますか?」
と言われることが多い。
そのとき、一瞬、あぁ、イヤだなぁ…と思う。
「まつばらし あほ …」とは、むろん言えないのである。
そんなことを言うと、相手はずっこける。

…で、「まつばらし・あお」と言うと先方はブルーの「青」かと思うので、
「えぇ~っとですね、『あ』は『こざとへん』の『あ』です。『ほ』は『保険のほ』です」などと説明する。…と先方は一瞬沈黙をし、「あほ」ですか?みたいな反応を示すので、いえ、それで「あお」と読みます、と説明をしなければならない。電話で住所を言うときは、いつもちょっとつまづくのである。

読み方を「あお」ではなく「あぼ」にすればよかったのに…と思ったりする。

だけど、この阿保という地名はここだけではない。ほかにも沢山あるのだ。

少々古いデータだが、ざっとこれだけあるそうだ。
(自分で確認したわけではありませんので、念のため)

埼玉県秩父市阿保町
埼玉県児玉郡神川町大字元阿保
三重県名賀郡青山町阿保
兵庫県姫路市阿保
兵庫県姫路市四郷町東阿保

これに松原市阿保が加わるわけだが、阿保親王にちなむのは松原だけである。
…と僕が勝手に思っているだけで、実際はどうか知らないけど…。

アホではないが、ボケなら、徳島県の大歩危・小歩危が有名である。
京都府にはボケ谷という地名があるそうだ。

外国はもっとすごい。

いつか、じゃいさんから、フランスに、アン(Ain)、ポン(Pons)、タン(Than)という地名がある、と教えてもらったことがある。

インドネシアには、バカ山という山がある。

ギニアには、ボケ、というそのものずばりの地名がある。

米アリゾナ州には、アホ(Ajo)という、これもそのままの地名が。

きわめつけは、アルゼンチンにある「マル・デ・アホ」という地名だ。

「アホ」も、「まるでアホ」には、いくら頑張っても、勝てそうにはない。

 

 

 

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする