僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

佐々木七重の訃報で思うこと

2009年07月03日 | スポーツの話題

訃報が多い。
いろんな人が亡くなっていく。

この間、マイケル・ジャクソンとファラ・フォーセットが亡くなったと思っていたら、今度は女子マラソンの佐々木七重さんが53歳の若さで亡くなった。いまは結婚して苗字が変わり、永田七重さんというのだそうだが、僕らは佐々木七重さん、と呼ばなければピンと来ない。

佐々木七重さんは、中村清監督の指導を仰いで、1984年(昭和59年)のロス五輪のマラソンに出場した。このロスの大会は、女子マラソンが初めて五輪種目になった記念すべき大会である。その点からも、彼女は女子マラソンランナーの草分け的な存在であると言える。

このロス大会には、七重さんとともに日本代表として増田明美さんも出場したが、彼女は前半からいきなり集団を抜け出して先頭に飛び出し、「あれぇ…? そんな早いこと飛び出して、ええんかいな?」と思っているうちに、ズルズルと後退し、結局途中で棄権した。増田さんは目立ちたがりで、ムラの多い選手だった。それとは対照的に、佐々木さんは、堅実なランナーであった。

しかし、佐々木七重さんと言えば、苦い思い出がつきまとう。

僕は、当時、男子マラソンで世界一の実力と言われていた瀬古利彦選手を、熱狂的に応援していた。ロス五輪の男子マラソンは、その瀬古が金メダルを獲るものと、ゼッタイに信じて疑わなかった。しかし、本番のレースでは、彼は35キロ地点で集団から後退し、あっけなく圏外に去った。仕事を遅参までして、午前中の実況生中継をテレビで見ていた僕は、ものすごいショックを受けた。なんで…? 負けるはずがなかった瀬古が、こんな無残な結果に終わったことが、現実のものとは思えず、しばらく落ち込んだ。

瀬古が勝てなかった原因は、直前にコンディションを崩したことにあった。

なぜそんなことになったのか…?
そのあと、さまざまな情報によって、瀬古の敗因がはっきりしてきた。

瀬古の師である中村監督が、佐々木七重さんの指導に熱を入れていたので、彼女といっしょに、一足先に、瀬古を日本に残してロスへ出発したのである。男子マラソンは五輪最終日だったが、女子マラソンはそれより1週間前に行われるから、という理由であった。

瀬古は、五輪が始まっても、体調を崩さぬよう、まだ日本にいた。だが、中村監督不在のまま、瀬古は渡米直前に、酷暑の中を40キロ走をしたという。それが、彼の体調を大きく狂わせた。

瀬古自身が後に述懐したところによると、日本を発つとき、すでに体調は最悪で、前夜は親兄弟と共に、悔しさで泣き明かしたと言う。

中村監督がいれば、本番が近づいている時に、決してそんな無茶な練習はさせなかったに違いない。しかし、練習をしなければ不安だったのだろうか、瀬古は、自分の判断で40キロを練習で走った。結局、それが疲労を生み、致命傷になったのである。

中村監督は瀬古のそばにいてやるべきだった。
瀬古はそれまで、すべて中村監督の指示通りに練習メニューをこなしていた。

佐々木七重さんは、いくら頑張ってもメダルに届く力はなかった。
瀬古こそ、大いなる金メダル候補だったのに、どうして中村監督は、瀬古を日本に残したまま、佐々木七重さんについてロスへ行ったのか…?
僕は、今でもそのことを悔やむ(僕が悔やんでも仕方ないけれど…)。

佐々木七重さん…といえば、そのことばかりが思い浮かぶのである。

亡くなった七重さんには、何の落ち度も責任もない話だけれど、中村監督があのとき、彼女について行かず、瀬古といっしょに行動していれば、瀬古がロスの男子マラソンで金メダルを獲得していた可能性は極めて高い…と、今でも固く信じている僕なのである。スポーツに仮定の話はタブーなのはわかっているけれど、それでも、言いたいのだ。


それにしても、昨今のTVはマイケル・ジャクソンのことばかりである。
(話、バラバラやがな)

劇薬を飲んだのでは…とか、生前に書かれていた遺書の内容は愛憎に満ちていた…とか、彼は黒人コンプレックスの塊であったとか…。どのチャンネルも、マイケル・ジャクソンのニュースで溢れている。今さらながら、彼の存在がいかに大きいものだったかを痛感させられる。

あれほどの偉大なシンガーなのに、人並み以上のコンプレックスとは…。
そんなに自分が黒人であることが嫌だったのか…?
人の心の中というものは、本当にわからない。

若い頃、つまり整形手術をする前のマイケルの顔は、可愛い。
どうして、無理をしてまで、あんな顔に作り変えたのか…。
そのままでよかったじゃないかと、テレビの前で独り言をつぶやいてしまう。

黒人演歌歌手のジェロ君もいい男である。
デンゼル・ワシントンだって素晴らしい。
モーガン・フリーマンも、いくら年をとっても魅力的である。

マイケルもそのままで十分だったのでは…?
なんであんな夜店で売っているお面のような顔にしてしまったのだろうか…?

と、そんなことを、ぼや~っと考えながら、眠れない夜を過ごしている。

 

 

 

 

コメント (23)
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