御神楽少女探偵団その27
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「生き人形」で聞き込みをしている所からである。
■後編 捜査編1 続き
待合室では二人の看護婦が話をしていて、その言葉の中に「その子がね、例のあの子なのよ。ほら、美紀ちゃんが母親の天使セットを用意した・・・。」とあった。
滋乃がそのことを聞くと、「天使セット」とは病院関係者の間で使われる隠語で、「死体安置セット」の事だそうだ。
この南天堂病院は、大輔の母親が入水自殺で亡くなった病院だったのである。
岸辺音楽院に行ってみると、事務局で河村須美子と出会った。
彼女は、今生徒達の中で噂の的である、謎の美人秘書の姿をちょっと見ることができたそうだ。
その秘書は理事長であるにもかかわらず、学園関係者でその姿を見たことがあるものはほとんどいないそうだ。
そしてその美貌で学長の愛人となり、次の学園理事長の地位を手に入れたなどと、様々なと噂が乱れ飛んでいるらしい。
その秘書の名前は三井というそうである。
国井家では多数の警察官が捜査を行っていて、栗山刑事もその中にいた。
証拠などのことを聞くと、見つかっているのは、鑿や鑢などの道具類と、やたらにため込んである写真ばっかりだと言う。
驚いた顔とか、ふくれっ面とか。たぶん事務所で雑談しているところを撮ったものらしい。
そしてその中には、巴の恥ずかしい姿の写真もあったそうだ。
巴「ウッソだあ!」
栗山「ホントだあ! ほれ、恥ずかしいだろ!」
巴のャPッとしたビックリ顔のその写真は、下から煽るアングルで撮影されていて、どうやら大輔が撮ったものらしい。
確かに恥ずかしい写真ではある。
浅草署に行くと、諸星警部から頼まれていた毒物鑑定の結果が出たと言われる。
それは大輔が時人に持って行ったお茶で、猛毒が入っていたそうだ。
舞踏会場で吉和泉佳世と話すと、仮面を作った人間の名前は、彼らの間で禁忌として話さないらしい。
しかもその仮面は非常に薄く、また軽かったというが、巴たちが見た仮面は、むしろ厚く重かったのである。
大城家の暢の部屋で立ち聞きをすると、暢は「だから、紀夫のような失敗を犯して欲しくはない。失敗はそのまま我々の命取りにつながるのだ。分かるな?」と時江に言っていた。
直己の話では、玩具に使われている接着剤やワックスなども、人体には有害だそうだ。
この後は推理となる。
直己の証言で手鰍ゥりになる事は?
人体に有害な接着剤やワックスがある。
婦人の証言で手鰍ゥりになる事は?
仮面は薄くて軽い事。
諸星警部の証言で手鰍ゥりになる事は?
ゼリー状の液体から猛毒を発見。
■後編 捜査編2
推理の後、岸部音楽院女子寮で、内山貴子と話していると、窓から大城暢の姿が見えた。
貴子の話では、暢は学院の理事長だそうだ。
大輔の病室に行くと、眠っている大輔と時人がいた。
時人は仮面の裏についていた接着剤が、有毒だったと確信するのである。
その時、大輔が目を覚まし、傍にいたとき人の顔を見て「どうして生きているんだ! お前は僕が殺したはずなのに!お前なんか死んじゃえ!」と叫ぶのだった。
時人は生き人形仮面の裏に有毒な接着剤が塗られていたことを教え、
大輔が「この事件の本当の犯人」に利用され、殺されかけたのだとと伝える。
そして巴たちに、大輔の本名が葉山大輔であり、彼の父親葉山紀夫はかつて時人が捕らえた殺人犯で現在服役中であること、彼女の母親は隅田川で入水自殺した、葉山志保美であることを伝えた。
国井の家で、栗山刑事に聞くと、国井はすでに逃走したらしいが、仮面作りの資料となる顔写真が多数発見されたそうだ。
その写真の中には、巴達の顔写真もあったが、それらはいずれも大輔が撮影したもののようである。
わからないのは、なぜ大輔は国井に写真を渡したのか、ということである。
浅草署で諸星警部に捜査状況を聞くと、依然として国井の行方は不明、恋人の時江も彼の行き先をしらないと言っているそうだ。
緑茶は大輔が所長室に運んでいったもので、中からは猛毒が発見されたとのことだ。
■生き人形後編 捜査編2
翌日は時人に話を聞くと、大輔の父葉山紀夫は2年前、時人が解決した事件で犯人として逮捕されたそうだ。
彼はプロの犯罪者で殺人の常習犯であり、現在は服役中である。
それにより、大輔の母志保美は入水自殺してしまった。
大輔は時人を逆恨みして彼を殺そうとしたのだろう。
とはいえ、今回の生き人形事件は、幼い子供である大輔に計画できるようなものではない。
大輔を利用して時人を殺そうと計った真犯人が他にいるのは間違いのない所である。
また時人は、志保美の死は自殺ではなく、他殺かもしれないと考えているそうだ。
相談の結果、三人組は刑務所で葉山紀夫に話を聞いてみることにした。
葉山紀夫は、志保美は無実を証明してみせると意気込んでいて、写真機を持って出かけて、無実の証拠を集めていたらしいと話した。
早速浅草署に行き、諸星警部にその件を聞いてみた。
警部は葉山の犯行であることは間違いないと言う。
仮面舞踏会で二人目の被害者が襲われる寸前に諸星が現行犯逮捕したそうである。
国井家で捜査中の栗山刑事にも聞いてみると、時江襲撃の犯人は、あの女が俺の生活を潰したんだと言っていたそうである。
時江に金をだまし取られた、つまり詐欺にあったということらしい。
大城時江の前科も調べたが、詐欺罪が「成立したもの」はなかったそうた。
成立したものはないというのは、詐欺で逮捕されかかったものはあるらしい。
あれだけの美人なので言い寄る男は多数あり、その一人から金を巻き上げていたらしいが、結局犯罪にはならなかったと栗山刑事は言った。
その後は大城家で又々立ち聞きである。
どうやら岸辺音楽院のことらしく、設備投資費の概算書類の件である。
直己の部屋では、直巳は今が事業を拡大のチャンスと、張り切って伝票整理をしていた。
南天堂病院の小児科病室では、大城千賀子がせっせと大輔の世話をしている。
待合室で看護婦の話を立ち聞きすると、「やっぱりさぁ、噂通り、殺されたんじゃないの、大輔君のお母さん。」などと言っているのだ。
そして志保美が化けて出てきたなどと穏やかならぬ話になった。
滋乃が聞いてみると、「あのね、志保美さんが死んだ翌朝の事なんだけど。 泣き疲れて待合室で眠っていた大輔君のもとに志保美さんがやってきて、大輔君を起こして連れて行っちゃったのよ。」とのことなのだ。
これは確かにお化けである。
しかしそのお化けは、大きな本を抱えていたそうである。
本を抱えたお化けや幽霊は、あまり聞いたことがない・・・
御神楽少女探偵団その28へ続く
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