電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

梅田望夫『ウェブ進化論』を読む

2006年07月02日 13時29分32秒 | -ノンフィクション
ちくま新書で梅田望夫著『ウェブ進化論』を読みました。「本当の大進化はこれから始まる」という副題を持ち、コンパクトな体裁ですが、内容はたいへん興味深い本です。久方ぶりに、ラインマーカーを駆使し、付箋をぺたぺた貼り付けながら、じっくりと読みました。構成は次のようになっています。

序章 ウェブ社会-本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル~知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち

なるほど、という新鮮な提起も多く、たいへん示唆に富む内容でした。紹介されている『Wisdom of Crouds(群集の叡智)』という本も、ぜひ読んでみたいものの一つです。

ところで、本書で書かれた内容からはやや逸脱するかもしれませんが、自分で考えた点は次のとおりです。
(1)ブログは、ページ単位にコメントでき、CPUを越えて参照できる外部ブックマークとして役立つのではないか。
(2)ネットワークは人と人とを結びつける働きを持つが、そのコストがゼロに近いため、特に少数者どうしを結びつける働きに優れている。
(3)手作業による生産者の立場ではペイしない。他人の活動を自動的に収集し集積し、それを利用する流通の立場の人がペイする。そして効果的な場を提供できる人に投資した人が儲けることができる。
(4)アマゾンのアフィリエイトは実際に購入に結びついた分が還元されるが、Googleのアドセンスはクリックが購入や経済活動に結びつくとは限らず、広告価値の評価が変わると存立基盤が揺らぐ可能性がある。
(5)Dr.の集団であるGoogleの組織マネジメントは、内部での徹底したオープン性と情報共有、外部への徹底した閉鎖性に特徴があり、競争相手がいてこそネットワーク社会の健全性が保たれるのではないか。

写真は右側が本書で、左側のブックカバーをかけてある方はたまに参照するコンピュータ関係の本。
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2 コメント

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今日、読了しました。 (mozart1889)
2006-07-06 04:16:01
おはようございます。

ボクもこの本、今日、読み終わりました。面白かったですね。ブログ、オープンソース、チープ革命・・・・この手の本では最も興味深く読めました。



山形産のサクランボを知人からもらいました。いや、大変な美味。激ウマとはこのことであります。
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mozart1889さん、 (narkejp)
2006-07-06 20:50:09
なかなか面白かったですね。ロングテールという概念、初めて正確に把握できました。柳の下に二匹目のドジョウはいないようですね。



山形産のサクランボ、当地では臨時の雇用を生み出しています。サクランボ農家が雇人の昼の弁当を注文するため、このシーズンの弁当屋は大忙し。ペットボトルのお茶の売行きも普段の何倍も多いそうです。こうした周辺産業にも臨時の雇用がうまれるわけで、農閑期の水田単作地帯から労働力の移動が起こり、豪雪地帯の稲作専業農家の貴重な現金収入になります。当地では美しくおいしいサクランボの経済的恩恵も大きいようです。

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