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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「テクノ封建制」という見立て

2025年04月14日 06時00分22秒 | コンピュータ
備忘録ノートを読み返していたら、3月25日付けの山形新聞の「直言」のスクラップが目に止まりました。内田樹氏の興味深い文章で、ヤニス・バルファキス『テクノ封建制』(集英社)に関連し、簡単に要約して紹介するものです。バルファキスは2015年のギリシャ経済危機の際に財務大臣に招かれて経済の立て直しに尽力した経済学者だそうで、現場を熟知している人ならではの分析と評価しています。
理解できる範囲で図解してみましたが、従来までのビジネスモデルと比べると、Google, Apple, Amazon 等の企業は誰も競争相手がいないブルーオーシャンを切り開いて市場を独占してクラウド領主となり、従来の企業をクラウド封臣として従えます。また、多くのユーザーからデジタルを通じて地代を徴収するため、ユーザーはクラウド農奴と化しているという意味でテクノ封建制と呼ぶものです。内容的に面白い見立てだと感じます。もっとも、資本主義から抜け出してまったく新しい支配階級クラウド領主になっているとされるGAFAなどの企業も株式によって存立していることを考えると、やはり資本主義の枠組みの上に立っているように思うがどうなのだろうか。

そういえば Windows98 の頃に、ごく粗っぽい計算をしてみたことがありました。当時、日本国内の年間のパソコン出荷台数は1,100〜1,200万台ですが、ざっと 1,000万台が Windows パソコンだとすると、OS の組み込みライセンスは 5,000円〜10,000 円、間を取って 8,000円とすると、@8,000円/台✕1,000万台=800億円、このうち 8割のパソコンに Microsoft Office が組み込まれているとすると、組み込みライセンスが10,000〜20,000円の間とすれば、@15,000円/台✕1,000万台✕0.8=1,200億円となります。合計すれば 800億円+1,200億円=2,000億円 がマイクロソフト社に支払われることになります。日本の人口を1億人とすると、赤ん坊から老人まで、1人あたり毎年 2,000円をマイクロソフト社に支払う計算になりますから、当時はこれを「マイクロソフト税」と苦笑いしていたものでした(^o^)/

では現在は? グーグル、アマゾン、アップル社ほか多くのビッグ企業が私達の日常に浸透していますので、すでにマイクロソフト社だけではなくなっていますが、こうした現状をたしか NHK 「クローズアップ現代」では「デジタル小作人」と呼んでいたのではなかったか。何をいまさらと思わないでもないですが、「テクノ封建制」という見立ては「デジタル小作人」という見方をさらに一歩進めて、現状をよく反映したものになっているようです。機会を見て、図書館あたりで翻訳された本を探してみたいものです。


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