電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

村上もとか『JIN~仁~』第6巻を読む

2011年10月20日 06時07分53秒 | 読書
現代の脳外科医が幕末の江戸にタイムスリップしてしまう物語を、テレビドラマで楽しみ、ついに漫画の原作を購入して読むことになってしまいました。集英社漫画文庫版、村上もとか著『JIN~仁~』第6巻です。

この巻では、皇女和宮の毒殺未遂事件に際し、胃洗浄でなんとか一命をとりとめたものの、下手人として拘束され、取調べを受け、小伝馬町の大牢へ放り込まれます。事件を明るみに出せないため、南方仁医師を犯人として牢死させて幕引きをしようという思惑でした。

大牢の中では、囚人内の力関係で、酷薄な牢名主が支配していますが、偶然の出来事で牢名主を救命することとなり、牢内で圧倒的な尊敬を受けるようになります。おそらく牢内での慣習など知らない南方先生を救おうと、野風は大金を差し入れますが、奉行所は拷問により無実の罪を自白させようとします。このあたり、冤罪の構図は昔も今も変わりがありませんなぁ(^o^)/
事件は一転して急に無罪放免となりますが、よろよろと出てきた仁先生に、出迎えた咲さんが取りすがる様は、なかなか名場面です。そして事件の謎解きは、医学館の多紀元琰の判断と動きによるところが大きく、野風の金策も、フランスの貿易商ルロンとの国際結婚に展開していきます。

坂本龍馬と銭湯に行き、女風呂での喧嘩で怪我をした女スリのお駒を治療します。そんな縁で、切れた指の腱を縫合する手術を行うことになりますが、スリ稼業から足を洗うまでは、まだ時がかかりそうです。
場面は変わって、猿若町守田座、澤村田之助の一座です。依頼は、重度の鉛中毒に侵された役者に、最後の舞台を踏ませてやりたいというものでした。



当時の白粉(おしろい)は、鉛白といって、要するに炭酸鉛PbCO3を成分とするものでした。鉛中毒によって、胃腸病や脳・神経麻痺などを起こしたのでしょう。日常的に多量の白粉を使う昔の舞台俳優の性格異常は、もしかすると慢性的な鉛中毒がその背景にあったのかもしれません。


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