電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

日本の果樹栽培の考え方は盆栽の伝統に通じる?

2024年05月23日 06時00分26秒 | 週末農業・定年農業
サクランボの収穫が始まる前にと、桃の摘果を急いでおります。今は主力の「川中島白桃」の摘果に注力しているところです。受粉果はだいぶ大きくなってきて、見分けるのが簡単になりましたが、中にはヘンな実が見つかることもあります。



写真のように、双子果くらいならまだ驚きませんが、中には三つ子果や四つ子果などといったものもあり、さすがにびっくりしました。たぶん、昨年夏の高温障害で、細胞分裂がうまくいかなくてこうなったのだろうと思いますが、もしこれが大きくなったらと考えると、ブサイクを通り越して不気味です。

ところで、桃の摘果をしながらふと考えてしまいました。若い頃、30代で渡米した時に、カリフォルニアに広がる広大なオレンジ畑を見て感じました。これはヘリコプターや飛行機で消毒(防除)し、機械で収穫しなければとてもやれないやり方だと。おそらく、米国では今私がやっているような桃の摘果などという作業はとても考えられないだろう。あの広いオレンジ畑で、1個1個、手作業で摘果するなんてとても無理な話です。それを思うと、樹の1本1本を丹精して剪定し、摘花・摘果して間引き、光合成を集約して1個を大きく美味しく育てるなんて、アメリカ式果樹栽培とは真逆なやり方です。むしろ、発想・考え方としては伝統的な盆栽の考え方に近いのではなかろうか。

大規模な工場でベルトコンベアに労働者を並べてT型フォードを大量生産し、広大な国土に普及させた発想と考え方は、米国流の広大な園地に季節労働者が働き、見渡す限りずっと単一品種が広がるオレンジ栽培でも貫かれています。一方で、あまり広くない園地に様々な品種が混植され、変種を積極的に育成し、より食味の良い優れた品種を作り出す日本式の果樹栽培は、まるで見事な盆栽を作ろうと工夫する職人のようではないか。



写真は、今が盛りのシャクヤクです。後ろに見えるのは、伐採したサクランボの切り株と、ようやく三年目で収穫が楽しみな桃の若木です。


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