電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

多様な基礎研究の厚みがいざというときに役立つものではなかろうか

2020年02月28日 06時02分23秒 | Weblog
連日の報道は新型コロナウィルス(COVID-19)(*1)に関するものが一番多く、中国、韓国、日本ばかりでなく世界中で感染が拡大しているようで、たいへんな事態だなと感じます。潜伏期間が長く、その間にも感染力があるとか、陰性になってもまた再燃する場合があるとか、なんだかたちが悪い。こうなると、従来の「伝染病を隔離することで封じ込める」という手法はいたちごっこになりやすく、必ずしも有効ではなさそうです。感染を恐れて引きこもっても、結局は経済活動や生活が停滞し、やがては動き出さざるを得ないでしょう。来週から小中高等学校、特別支援学校が臨時休校に入るよう要請があったと報道されていますが、インフルエンザのように季節により流行が止まったりするのかどうか、同じコロナウィルス由来の風邪と同様に、いったん感染して入院し退院した人がまた検査で陽性になる例もあるようで、どうにも先が見えません。

ウィルスの遺伝子情報から共通点のあるエイズウィルスの治療薬が効果があったとか、いやインフルエンザの薬が効きそうだとか、自社の株価目当てなのか海外の某社が治療薬の開発に自信たっぷりな発表をするとか、いろいろ玉石混交の情報が飛び交います。日本の研究論文数はここ数年減少傾向にあるそうですが、まるで企業の戦略のような「選択と集中」と称して陽の当たる研究は優遇し、そうでない研究は冷遇するというような科学技術政策は、こういう局面では逆に足を引っ張る結果になっているのでは。むしろ大事なのは、実は多様な基礎研究が行われていることであって、意外なところから意外な示唆が出てくるものではなかろうか。

例えば、実際にはこれが基礎研究と言えるかどうかどうかは不明ですが、SARSウィルス等と同様に今回の新型コロナウィルスも小児には感染しにくいか、たとえ感染しても軽症で改善する可能性が高いということから、風疹や麻疹、ポリオ、日本脳炎、インフルエンザなど、コロナウィルスと同じRNAウィルスに対する小児へのワクチン接種がプラスに影響しているのではないか、という仮説がある(*2)のだそうです。もし事実だとすればたいへん興味深いことで、今回の新型ウィルス登場以前の、2018年の Microbe and Infection 誌に掲載された総説は、もしかしたら希望の一つになる可能性があるのかもしれません。その他にも、これまで多数の研究が行われてきたし、今後も行われようとしているのだと思いますが、大変な時こそ基礎研究の厚みを大事にするようにしてもらいたいものです。

なお、画像は Wikipedia(*1) より。パブリック・ドメインになっているようです。

(*1):2019新型コロナウィルス〜Wikipediaの記述より
(*2):麻疹由来ワクチンで新型コロナウィルスを予防する〜「北品川藤クリニック院長のブログ」より

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