電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第282回定期演奏会でモーツァルト、ブルックナーを聴く

2020年02月17日 06時01分53秒 | -オーケストラ
午前中はサクランボ果樹園の剪定に従事し、雨降りとなった午後からは、妻と一緒に山形テルサホールで行われた山形交響楽団第282回定期演奏会に出かけました。せっかくですので、霞城セントラル・ビルの駐車場に車を駐め、24階にある紅華楼で昼食、私は辛い四川風の陳馬飯と海老蒸し餃子を頼み、ゆっくり食べてぽっぽと温まり、演奏会に向かいました。



会場では、金管三重奏のロビーコンサートでお出迎え。曲目は、

  1. エワイゼン フィルハーモニック・ファンファーレ
  2. ヒダス 金管三重奏のためのトリーガ
     Tp:松岡恒介、Hrn:関谷智洋、Tb:太田涼平

というもので、知らない曲ばかりでしたが、金管三重奏らしい華やかな、また重厚な金管の響きに魅了されました。



ホール内に入ると、合唱団が立つであろう三段の山台の前に、団員の椅子がコンパクトな編成で配置されています。その前に立ち、西濱事務局長と音楽総監督の飯森さんがプレトークを行いました。特に、宗教音楽の中でレクイエムとミサ曲の構成の違いについて、レクイエムにあってミサ曲にないのが「ディエス・イレ(怒りの日)」、逆にミサ曲にあってレクイエムにないのが「グローリアとクレド」だそうです。山響とブルックナーについては、第2番のCDが出れば第1番から第7番まで揃うとのこと。第8番については、今年、仙台フィルと共演することになっているので、これもまたたいへん楽しみです。

さて、本日の曲目は、

  1. モーツァルト/歌劇「アポロとヒュアキントゥス」K.38 序奏
  2. モーツァルト/協奏交響曲 変ホ長調 K.364 Vn:平澤海里、Vla:山中保人
  3. ブルックナー/ミサ曲 第3番 ヘ短調 WAB 28
     梅津 碧(Sp)、在原 泉(Alt)、鏡 貴之(Ten)、鈴木 集(Bar)
     飯森範親指揮、山形交響楽団、合唱:アマデウス・コア

というプログラムです。



最初の曲、モーツァルトの歌劇「アポロとヒュアキントゥス」K.38 序奏は、ステージ左から第1ヴァイオリン(6)、チェロ(3)、ヴィオラ(4)、第2ヴァイオリン(5)、左後方にコントラバス(2)という対向配置で、正面奥にホルン(2)、オーボエ(2)という、コンパクトな編成です。ラテン語で書かれた三幕の詩劇に作曲した明るく軽快な音楽です。これが11歳の作品というのですから驚きます。

2曲めは同じくモーツァルトの「VnとVlaのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」です。ステージ中央、指揮台の左側にVn:平澤海里、Vla:山中保人の二人のソリストが立ち、その周囲を取り巻く形で、1stVn(6)-Vc(3)-Vla(4)-2ndVn(5)、左端にCb(2) の弦5部、正面中央に Hrn(2)-Ob(2) が座ります。人数を絞ったオーケストラの響きは充実したもので、モーツァルト自身と思われるヴァイオリン・ソロとザルツブルグの大司教と言われるヴィオラが繰り広げる、何度聴いても良い大好きな音楽です。



ソリストアンコールは、ヘンデル作曲(ハルヴォルセン編曲)「パッサカリア」より。いやあ、若いっていいなあ!



15分の休憩の後、後半はブルックナーのミサ曲第3番です。ステージ上はモーツァルトよりも編成が大きくなり、8-7-5-5-3 の弦楽5部、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(2)-Tp(2)-Tb(3)、それに Timp. と Organ が加わります。Hrn はモダン・タイプのようです。よく見ると、ずいぶんマイクロフォンが立っているのがわかります。おそらくは、CD化を見越した録音用なのでしょう。
弦楽で奏される冒頭開始から会場は静まりかえる雰囲気で、コンサートマスター髙橋直貴さんのヴァイオリン、四人の独唱者もさることながら、なんといっても合唱がすごい。圧巻です。「キリエ」「グローリア」と進む中で、ふと妙なことに気づいてしまいました。飯森さんが、曲間の合間に後ろ手で転倒防止用の背もたれ?に支えを求めているようなしぐさをしているのです。それでも、音楽は緊張感を保ったまま最後のクライマックスに突入しますが、「アニュス・デイ」の最後の音の響きが消えてしまった後、指揮棒を下ろすと同時に、飯森さんは崩れ落ちるようにしゃがみこんでしまいました。どうやらよほど体調が悪かったらしく、ほとんど気力だけで指揮をしていたような感じでした。

妻と「飯森さん、大丈夫かな〜?」と話しながら帰途につきましたが、そういえば開演前のプレトークでも最初に西濱事務局長だけが出てきて、飯森さんは後から登場していました。ゲネプロや前日の土曜公演では大丈夫だったのであれば、おそらくは昼食に「あたった」のではなかろうか? この季節、ノロウィルスやロタウィルスが心配な時期です。私も経験がありますが、猛烈な吐き気や下痢の後に、急激な血圧低下が起こり、立っているのがやっとという状況になりますし。

いずれにしろ、早く元気回復されますようにお祈りいたします。また活力ある指揮ぶりを拝見したいものです。



そうそう、今回のプログラム冊子に、飯森さんが「ブルックナーとの出会い」を書かれていました。おじいさんと朝比奈隆氏が京大オーケストラで同期だったこと、おじいさんはブルックナーをあまり評価せず、でも孫の飯森さんはいわゆる「ブル4」に衝撃を受けたことなど。たいへん興味深い話で、そういえば私自身も飯森+山響の生演奏によりブルックナー体験を深めてきたのだなあとあらためて思いました。

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