電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

プッチーニの歌劇「トスカ」第1幕を観る

2019年07月02日 06時02分14秒 | -オペラ・声楽
サクランボの収穫と出荷が終わってホッとした頃、梅雨らしい雨降りのお天気の日に、久しぶりに自宅でのんびりしておりました。取り出したのが、プッチーニの歌劇「トスカ」のレーザーディスクです。メトロポリタン歌劇場における1985年3月の収録で、演出はフランコ・ゼフィレッリ、

トスカ:ヒルデガルド・ベーレンス(Sp)
カヴァラドッシ:プラシド・ドミンゴ(Tn)
スカルピア:コーネル・マックニール(Br)
教会の堂守:イタロ・ターヨ(Bs)
アンジェロッティ:ジェイムズ・コートニー(Bs)

などの配役。指揮はジュゼッペ・シノーポリ、演奏はメトロポリタン歌劇場管弦楽団及び合唱団です。

第1幕: 幕開きとともに流れる緊迫した音楽の中、脱獄した政治犯アンジェロッティが教会に逃げ込んで来ます。時代は1800年、場所はローマで、イタリアを支配するオーストリアと、ナポレオンのフランスが対立している構図が背景にあります。妹の手配で鍵を見つけたアンジェロッティが急いで教会内に隠れた後に、俗っぽい堂守の軽妙な場面が続き、壁画を描いている友人カヴァラドッシがアンジェロッティと対面、そこへカヴァラドッシの恋人で歌手のトスカが登場、アンジェロッティをかくまうカヴァラドッシが浮気をしているのではと嫉妬します。誤解は解け、カヴァラドッシは友人を郊外の自分の別荘へと逃します。そこに登場するのが、警視総監スカルピアらの一団。礼拝所で空になった弁当カゴと女物の扇を発見、画家が逃亡犯に弁当を与え、一緒に逃げたと見抜きます。そこに歌姫トスカが戻ってきますが、女物の扇を材料にトスカの嫉妬を煽り、逆上したトスカが郊外の別荘へ急ぐところで、スカルピアは部下にトスカを尾行するように命じます。このあたりは、「オテロ」においてイアーゴがオテロに無実の妻への疑いという毒を注ぎ込むシーンに匹敵する、悪の名場面でしょう。



なんと言ってもオーソドックスな舞台装置の見事さに目を奪われます。そして、プッチーニの音楽が、登場人物の心理を見事に描いています。ドミンゴはまだまだ若いし、ベーレンスはドラマティックな歌を聴かせますし、コーネル・マックニールのスカルピアは、悪党を描いて実に見事な演技、歌唱です。

最近は、新規に購入するときはDVDにしていますが、今回は何を今更のレーザーディスク。1980年代の後半に、せっせと集めたオペラの一部です。でかいディスクをぶん回し、昨今のデジタル映像と比較して決してよろしくはない画質ですが、添付の解説冊子の内容的な充実と文字のポイントが大きいことのメリットを痛感します。レーザーディスク・プレイヤーが動く限りは、まだまだ楽しめるようです。こうしてゆっくりオペラが観られるのは、退職してフリーの身分になったおかげでしょう(^o^)/

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