電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

畠中恵『おまけのこ』を読む

2008年07月17日 06時31分46秒 | 読書
畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズ第4作『おまけのこ』を、新潮文庫で読みました。相変わらず、程よく楽しく肩も凝らず、くたびれて横になり1章ずつ読んでいくにはちょうどよい一冊です。

第1話「こわい」。「孤者異」と書いて「こわい」と読むのだそうな。いじけ、ひねくれている心には愛は伝わらない、ということなのでしょうか。ほろ苦いリアリティが印象的な作品ですが、なにも冒頭に持ってこなくても……。
第2話「畳紙」。おしろいを白壁のように塗りたくるお雛は、一種の防衛機制が働いていたのでしょうか。
第3話「動く影」。これは、若だんな一太郎の幼い頃のお話です。影女っていうのは、何もしないのですね。それならば、別に影が動いても、どうということはないように思うのですが。あ、日時計の時代には、影が勝手に動いては困るんだ。江戸時代のサマータイムになっちゃう(^o^)/
第4話「ありんすごく」。こちらは心臓の悪い吉原のかむろ(禿)を足抜けさせたいという話。うーむ、ぴゅーっと空を飛ぶとき、彼女はびっくりして心臓が止まりそうにならなかったのかな。その点が、すごく心配です(^o^)/
第5話「おまけのこ」。なんだか、すごい題名だな~と思いました。「おまけのこ」ですよ!授かった子どもはみな宝物だ、と年寄りに言われて育った私などは、「おまけのこ」という呼び名からしてえらくショックですが、なるほど、鳴家チャンの大冒険だったのですね。つままれたり、知恵がまわりかねたり、袂の中で寝てしまったり、イメージとしては小鬼というよりは子猫です。たいへん可愛らしい小編です。

『しゃばけ』シリーズ、いつものように若だんなの推理が冴える話だけではマンネリになるので、仁吉・佐助の昔話や、祖父母の話やら両親のヘンさ加減などを加えて構成してきました。さらに鳴家が登場したことで、「おまけのこ」という今回のタイトルが理解できます。
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