電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴィヴァルディの協奏曲集「ラ・ストラヴァガンツァ」を聴く(2)

2008年07月07日 06時19分21秒 | -協奏曲
だいぶ聴き進んできました、イタリア合奏団によるヴィヴァルディの協奏曲集「ラ・ストラヴァガンツァ」ですが、Disc-2もなかなかすてきな音楽ばかりです。

第7番、ハ長調。本協奏曲曲集では、合奏協奏曲の緩-急-緩-急の4楽章形式を取る唯一の曲です。第1楽章は、ラルゴ。終わりのオルガンが快い響きです。第2楽章は弦楽合奏による軽やかなアレグロ・モルト。第3楽章、ラルゴ。ここでは、オルガンと弦楽の静かな合奏の中に、ソロ・ヴァイオリンがしっとりと歌います。第4楽章、アレグロ。低音弦がポリフォニックに響きます。
第8番、ニ短調。第1楽章、アレグロ。せきとめられていた激しい感情を、あふれだすように率直に表出したような急速な曲想が、途中でチェンバロが静かに呟くような第2楽章のアダージョに変わり、深い闇のような間を経て第3楽章のアレグロへ。比較的長めのこの楽章は、いかにもバロック風な音楽です。
第9番、ヘ長調。第1楽章、アレグロ。合奏協奏曲ふうな合奏で始まります。はずむようなリズム、ヴァイオリン・ソロは、運動性ゆたかです。第2楽章、ラルゴ。うったえるようなソロ・ヴァイオリンと弦楽合奏が交互にやりとりする中に、チェンバロがなだめ役のように入ります。第3楽章、アレグロ。
第10番、ハ短調。第1楽章、スピリトーゾ。ソロ・ヴァイオリンがたいへん活躍します。弦楽合奏のふっくらとしたやわらかさ、そして突然の中断。第2楽章、ためらうように始まるアダージョ。先の中断との対比が、たいへん効果的です。実演では、きっと思わずハッとすることでしょう。通奏低音のチェンバロが引き締めます。第3楽章はアレグロです。
第11番、ニ長調。第1楽章は明るく晴れやかなアレグロ。まるで早口言葉の応酬のようです。オルガンもけっこう登場します。第2楽章、ラルゴ。オルガンとチェロに導かれて、ソロ・ヴァイオリンが優美なアリアを歌う様子は、まるで美しいプリマドンナが嘆きの歌を歌うバロック・オペラの一場面のようです。第3楽章、アレグロ・アッサイ。再び活発な弦楽合奏に乗って、ソロ・ヴァイオリンと弦楽合奏が華やかに縦横に活躍します。
第12番、ト長調。第1楽章、スピリトーゾ・エ・ノン・プレスト。トゥッティとソロが明確に交替し、明解ではっきりした対比です。第2楽章、ラルゴ。ゆったりした低音主題の上で、幼い少女がたどたどしさを見せながら一生懸命訴えるような、愛らしさで印象的な変奏が展開されます。第3楽章、アレグロ。一転して速い曲想です。速いパッセージも奏ききるソロ・ヴァイオリンなど、変化に富む楽想が楽しめます。

この魅力的な曲集の名前として用いられている、"La Stravaganza"(ラ・ストラヴァガンツァ)という呼び方は、「風変わりな」という意味だそうです。たしかに、当時の教会における音楽としては、あまりにも個人的な感情を強く表出したものなのかもしれませんが、後世においてソロ・コンチェルトというジャンルが登場する前の、見事な先駆けであると同時に、コレルリなどの合奏協奏曲のしなやかな魅力をもあわせ示した作品というべきでしょう。イタリア合奏団の見事な演奏、コンタリーニ宮における見事な録音とともに、素晴らしいCDだと思います。



写真で言えば左側が楽しんだヴィヴァルディのCD。右側のは、コレルリの合奏協奏曲集Op.6です。
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