電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『御宿かわせみ・十三歳の仲人』を読む

2006年02月10日 21時28分01秒 | -平岩弓技
文庫本になったシリーズは全30巻、みな読んでしまったので、先日図書館で見つけた単行本の『御宿かわせみ・十三歳の仲人』を借りてきた。例によって1冊あたり8話の割で短編が収録されており、全体として連続するシリーズとなっている。
第1話「十八年目の春」、よくあるパターンの親子のトラブルの話。しかし18年も音信不通というのは、どう考えても普通ではないですね。
第2話「浅妻船さわぎ」、馬の飼葉おけに一幅の絵が投げ込まれていた。噂をもとに贋作でもうけようとしたが、東吾に足駄を見破られる。さしずめ馬脚をあらわしたってぇところか。
第3話「成田詣での旅」、るいとお千絵とご一行様、深川から下総の国成田山新勝寺に舟でツァー旅行。哀れなお篠の話よりも、若い頃に成田山新勝寺を散策したことを思い出してしまった。新勝寺は真言宗智山派の大本山で、当時から人気があったとあるけれど、はて、真言宗智山派の本山なら、京都智積院だったのでは?
第4話「お石の縁談」、山出しの田舎娘だった大力お石に、降ってわいたように縁談が持ち込まれる。見初めた男の見る目は偉いよ、しかし苦難にあっていかにも意気地がない。棟梁のほうがずっといいと思う。
第5話「代々木野の金魚まつり」、またまたお石の話。お吉の薫陶ですっかりいい娘になったお石が、棟梁と一段と近しくなる。この二人なら、いいんじゃないか。
第6話「芋嵐の吹く頃」、かわせみでは客に曲げ物製の弁当を持たせようと計画。どうしてどうして、女将の経営はなかなか上手です。これまた微妙な親子の関係、祖父との関係。職人の世界ですね。
第7話「猫芸者おたま」、しばらくぶりにるいのやきもちがバリバリ全開。しかし長火鉢の中の火箸を握りしめるというのはちと怖いなぁ。
第8話、表題作「十三歳の仲人」。麻太郎と千春、相思の小源とお石のすれ違いをとく話。麻太郎の言葉は本当です。しかし仲人が麻太郎と千春とは、ちとまずくないかい。二人とも「やがて私たちも」と思うぞ、きっと。平岩弓枝さん、兄妹の禁じられた恋愛話にするつもりだろうか、それとも「実は麻太郎は東吾の子ではありませんでした、成長したら全然似ていませんでした、チャンチャン」と落とすつもりなのだろうか。やれやれ。

なんだか、最近は源さんの活躍が少ないようだ。八丁堀のお役目も、内部で人事異動でもあったのかな。写真は神戸・伏見稲荷の境内にて。
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