電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドンの弦楽四重奏曲「ひばり」を聞く

2005年09月12日 21時37分10秒 | -室内楽
週明けの月曜日、いろいろと仕事が重なり、早出・遲帰りとなってしまった。それほど疲労感はないものの、今週の後半に響きそうだ。こんな時は、風呂に入り、ゆっくり音楽でも聞き、早く寝るに限る。

今日は、ハイドンの弦楽四重奏曲集から、お気に入りの一枚を取り出した。「第三トスト四重奏曲・第2集」と副題のついた、コダーイ・カルテットの演奏(NAXOS 8.550674)。作品64は全部で六曲からなるとのことだが、このCDには後半の第4番から第6番までが収録されている。第4番の出だしから、明るく快活なハイドンの音楽を楽しむことができるが、とりわけ第5番の「ひばり」は大好きな音楽だ。
第1楽章、アレグロ・モデラート。第1ヴァイオリンの伸びやかな旋律が、ほんとうに晴れ晴れとした気持ちにさせてくれる。第2楽章、アダージョ・カンタービレ。ゆったりした中で第1ヴァイオリンがじっくりと腕前を披露する。響きがとても印象的。第3楽章、軽やかなメヌエット。第4楽章、フィナーレはヴィヴァーチェで、細かく動き続ける音楽。
聞き終えた後、幸せな気分で眠れる音楽は、意外に少ない。自分の不幸を訴えるのに夢中な音楽家は、他人の幸福に思いを寄せることはできないのかもしれない。ハイドン58歳の音楽は、エステルハージ侯爵家における長い楽長生活に終止符を打ち、ようやく自由な身分となった時代の充実した作品だ。自分の意志と忍耐でかちとった自由。一見すると屈託のないハイドンの明るさの背後には、忍耐を知る人の意志的な眼差しがあるように思う。

コダーイ・クヮルテットの演奏でなじんだ音楽だが、いつのまにかいろいろな演奏が手元に集まってしまった。それぞれ特徴はあるが、いずれの演奏でも、ハイドンの音楽の快活な明るさ、意志的な明澄さがよく現れていると思う。
ベルリン弦楽四重奏団の演奏は、デンオンの "My Classic Gallery" という全集もののうちの一枚(GES-9242)で、同じハイドンの弦楽四重奏曲第17番「セレナード」(演奏はフィルハーモニア・クヮルテット・ベルリン)とモーツァルトの弦楽四重奏曲第17番「狩」(演奏はパノハ四重奏団)などが併録されたもの。もう一枚はPMGのなんだか怪しそうなCD(演奏はカスパール・ダ・サロ・クヮルテット)だが、演奏はじゅうぶん楽しめる。

参考までに、演奏データを示す。
■コダーイ・クヮルテット
I=6'32" II=6'41" III=3'24" IV=2'11"
■ベルリン弦楽四重奏団
I=6'00" II=5'53" III=3'52" IV=2'08"
■カスパール・ダ・サロ・クヮルテット
I=6'26" II=6'17" III=3'30" IV=2'15"
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