電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『御宿かわせみ16・八丁堀の湯屋』を読む

2005年09月16日 22時00分41秒 | -平岩弓技
医者の天野宗太郎が登場するようになり、毒がらみの事件の回数が増えるだろうと予測したが、やはり出ました、第1話「ひゆたらり」。砒素の毒性はそんな簡単には抜けません。第2話もハッカのうがい薬で大もうけをする長崎屋で、誤って神聖水と称する(たぶん)フェノールかクレゾールと思われるものを売ってしまうからさあ大変。続けて宗太郎の知恵を借りる話。切子のグラスでお酒を飲んだら、さぞやうまいでしょう。ましてや相手が美人のるいさんでは。
第3話「黒船稲荷の狐」。悪女が捕らえられ、化け方の見事さに感嘆。しかし、見た目はだませても、電話の声なら年齢をごまかすのは難しかろう。第4話「吉野屋の女房」も悪女の話。雛箪笥の中に入れた恋文が小細工だったとは。第5話「花御堂の決闘」も実は女の逆怨みの話。
第6話「煙草屋小町」。煙草を全くたしなまない私には、花屋の煙草のどこがいいのかさっぱりわからないけれど、第7話「八丁堀の湯屋」の娘がとった行動は理解できる。第8話「春やまぼろし」、別れた女房の娘らしい女は、「小さな親切・大きな下心」だった。

昔、田舎の小学校には鳥や獣の剥製が飾ってあった。その下にはなにやら白い粉が落ちていることがあり、あれは毒だから触るな、と教えられたものだ。今考えると、防腐剤として剥製の内部に塗った亜砒酸ナトリウム等だったのだろう。ガラスケースの中だったので、触ってなめてみる者はさすがにいなかったが、ガラスの目玉もリアルで、日暮れ時などちょっと不気味な空間だった記憶がある。

写真は、花に止まるキアゲハ。なんとも秋を感じる。
コメント