電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

映画「巴里のアメリカ人」を見る

2005年09月23日 07時16分53秒 | 映画TVドラマ
動かなくなったLDプレーヤーを修理したために、昔の映画を楽しむことができるようになった。取り出したのは、アーサー・フリード制作、ヴィンセント・ミネリ監督の「巴里のアメリカ人」(1951)だ。
この映画、ジーン・ケリー演じる修行中の売れない絵描きジェリー・モリガンが、パリで気ままな暮らしをしている描写から始まる。オスカー・レヴァント演じる友人の苦闘する作曲家・ピアニスト、アダム・クックや、陽気なフランス人歌手のアンリ・ボレルなど、気のいい仲間たちだ。
ある日、金持ちの未亡人ミロが、ジェリーの絵に目をとめ、親しくなる。彼女に誘われて行った店で、ジェリーはレスリー・キャロン演じるフランス娘リズ・ブールビエールに心を奪われる。だが、彼女は著名な対独レジスタンスの旗手の娘で、ずっと年上のアンリに保護され、愛されていた。ミロはジェリーを愛し、アンリはリズを愛しているが、ジェリーとリズはどうなるのか、というのが主な展開である。
お話そのものは、50年代のハリウッド・ミュージカル映画の典型だが、見事なのはガーシュインの音楽と色彩的なダンスシーンである。
「Nice Work If You Can Get It」「Embraceable You」「Fascinating Rhythm」「By Strauss」「I Got Rhythm」「Tra La La」「Love Is Here T Stay」「I'll Build A Stairway To Paradise」「I Don't Think I'll Fall In LOve Today」「ピアノ協奏曲ヘ調 第3楽章」「'S Wonderfull」「Liza」そして「An American In Paris」と続く。
この中で、特に見事なのはオスカー・レヴァントが一人何役も演じる短縮版「ピアノ協奏曲ヘ調」と、最後の「パリのアメリカ人」全曲を踊り切る長大豪華なダンスシーン。ジーン・ケリーらのタップダンスと、レスリー・キャロンらのバレエが、ガーシュインの音楽を背景に展開されるシーンは、この映画の白眉だろう。古き良き時代の衣装の素敵さ、少々色褪せたとはいうものの、色彩の見事さ・美しさ、ロートレックやユトリロなどの名画の構図を模した背景、曲調に合わせた群舞の場面転換など、抜群に楽しい。

レーザーディスクで7800円で購入したこの映画、今はDVDで500円で売られている。著作権が切れたためと思われるが、MGMの傑作ミュージカルが、公共の財産として永く大切にしたいものだと思う。
写真は、単身赴任時にひいきにしていたあるパン屋さん。ただし、フランスではありません。
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