電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓技『御宿かわせみ』(8)「白萩屋敷の月」を読む

2005年07月31日 22時01分17秒 | -平岩弓技
午後、暑さに負けて家人とラーメンを食べに出かけた。車でエアコンをかけても暑い。辛いラーメンを食べてかっと汗を流すと、逆療法で外気が涼しく感じられる。ついでに書店に寄り、文春文庫で平岩弓技著『御宿かわせみ』第8巻「白萩屋敷の月」と雑誌『LinuxWorld』(9月号)を購入。
『御宿かわせみ』は、冒頭の「美男の医者」がなかなか愉快だ。資産を隠して計画倒産した大店の関係者は悠々生活しているが、巻き添えをくった取引先は大変だ。なんとか隠匿した資産を見つけ出したいと、東吾が詐欺まがいの片棒を担がせた美男の医者が、実は将軍家の・・・という話。
ただし、「水戸の梅」の冒頭、
「そういえば、狸穴の方月舘でも梅を干していたな」
などというセリフは、あまりにも説明がくどすぎるのではないか。ここはやはり、
「そういえば、方月舘でも梅を干していたな」
とか、
「そういえば、狸穴でも梅を干していたな」
でも意味は充分に通じる。馴染の登場人物の間で、「狸穴の方月舘」はないだろう。まぁ、作者のサービス精神がちょっとだけオーバーランしたものだろうけれど。
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夏休みの工作

2005年07月31日 09時53分57秒 | Weblog
夏休みの工作、自分の作品はほとんど記憶にないが、子どもが小学生の時に、鉢植えの朝顔仕立ての貯金箱を作ったことがある。朝顔の花にお金を入れると、蛇腹の排水ホースの中をひゅーっと硬貨が滑り落ち、チャリンと音がして植木鉢の中のビンにお金がたまる、という仕掛けだった。

中学生なら、巨大なピンホールカメラなどはどうだろう。工作図鑑などに出ている牛乳パックを使ったピンホールカメラの寸法を十倍にして、人の頭がすっぽり入るくらいの大きさに作る。スクリーンは、すりガラスでは重いし、トレーシングペーパーではピンと張れないので、メニュー等をラミネートするフィルムを使うと、明るくてきれいに写る。材料のボール紙は、内部を墨汁で真っ黒に塗ると、遮光性がよい。たぶん、出品すると、審査にあたる中学校の先生自身がおもしろがるのではないか。

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ヴェルディ「ドン・カルロ」第2幕を見る

2005年07月31日 09時20分58秒 | -オペラ・声楽
昨日は、夕方になって風が出て、少し涼しくなってきたので、ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」第2幕を見た。

第1景、密会の手紙を受け取り、カルロが喜んでやってくるが、差出人は実は前景で「ヴェールの歌」を歌ったエボリ公女。かつての婚約者であり現在の王妃であるエリザベッタと勘違いして、愛の告白をする。自分への愛と喜ぶエボリ公女。しかし、顔のヴェールをあげたときに人違いに気づき、カルロはうろたえる。エボリ公女は、王子カルロが義理の母にあたる王妃を愛していることを悟り、あらわれたロドリーゴに対し、侮辱への復讐のため王妃の不貞を王に告げると宣言して去る。ドン・カルロは一度は王の信頼あついロドリーゴを疑うが、ロドリーゴの誠実を信じ、重要書類を托して去る。
第2景、大聖堂前の大広場。王をたたえる民衆の合唱の中に、フィリッポII世と王妃エリザベッタが登場。続いて圧制に苦しむフランドルの使者を従え、王子カルロがあらわれて王の慈悲を請う。だが、破門者を火あぶりの刑にする教会はフランドルの使者の平和の願いを認めない。王も衛兵に彼らを連れ去るよう命じる。だが、王子カルロは父に反逆し、剣を抜く。王はカルロの剣を取り上げるよう命じるが、貴族たちはカルロを恐れ手を出さない。そこへロドリーゴが進み出て、呆然とするカルロの手から剣を取り、王に差し出す。王はロドリーゴの功績を認め、公爵に任ずと言明、カルロは捕らえられ、フランドルの使者たちの眼前で破門者たちの火あぶりの刑は実行される。

いつも思うことながら、この歌劇ではロドリーゴが得な役まわりだ。王子ドン・カルロを信じ、忠節を通しながら、フランドル解放を目指して策動する。第1景での「私をお疑いですか」は、最少の音符で王子の信頼を回復するし、並んで立ち去る場面の友情のテーマはかっこいい。後に続く第3幕でのロドリーゴの犠牲が生きてくる伏線になっている。
それにひきかえ、王子ドン・カルロの柔弱さはなんともたよりない。これでは、フランドル解放を願うロドリーゴの策謀、成功の可能性は低かろう。そして王をも支配する保守反動の教会権力の強さ。第3幕での国王フィリッポの嘆きと独白への伏線になっている。
ヴェルディの音楽は、からみあう伏線を音楽で結びつけながら、巧みに演じられるドラマを展開するとともに、音楽自体が充実した内的なドラマとなっている。
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