電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聞く

2005年07月15日 21時40分31秒 | -協奏曲
ブラームスの協奏曲の魅力というと、まず第一にそのシンフォニックな響きがあげられると思う。もちろん、ピアノ協奏曲第1番のように、ソロ楽器(ピアノ)のしみじみとした魅力もあるけれど、あの魅力的なヴァイオリン協奏曲でさえ、第2楽章ではヴァイオリンが演奏をやめ、ひたすらオーケストラの美しい調べを聞く場面が印象的だ。特に、重厚な交響曲を聞いたあとで、ブラームスの協奏曲を聞くと、ソロの名演もさることながら、オーケストラの充実した響きにひかれるのを感じる。
ブラームス最後のオーケストラ作品である、この「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」もまた、当初は第五交響曲として構想された由来からも納得できるように、シンフォニックな響きを堪能できる作品だ。

ふだん聞くのは、ヴァイオリンをダヴィッド・オイストラッフ、チェロをムスティスラフ・ロストロポーヴィチが受け持ち、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団が演奏した録音である。残念ながら、他の演奏を知らない。これは、LP(ヴィクター、VIC-3113)とCD(FECC-30535)と両方を楽しんでいるが、CDのほうは The CD Club という会員制の通販で購入したもので、ドヴォルザークの交響曲第8番、エンジェルの録音が収録されている。ブックオフなどに出ていれば特大の「お買い得」マークを付けたいところだ。

ところで、不謹慎なようだが、第3楽章はシャーロック・ホームズかエルキュール・ポワロのテレビドラマにでも取り上げられそうな、不思議な雰囲気を持っている。単純な明暗ではない、陰影に富んだ音楽だ。セルの演奏は、こういうところでもきっちりミステリアスな雰囲気を出しているのが面白い。

参考までに、演奏データを示す。
■セル/オイストラッフ/ロストロポーヴィチ盤
I=16'59" II=7'54" III=8'54" total=33'47"
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