電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

セル/クリーヴランド管の来日公演ライブ録音のこと

2005年07月13日 18時25分26秒 | -オーケストラ
ずいぶん昔の話だが、大阪万博の記念にずいぶん多くのオーケストラが来日し、それぞれ素晴らしい演奏を聞かせてくれた。その中でも特筆されるのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏会だろう。中には生で聞いたという幸福な御仁も多いだろうが、私の場合はNHK-FMの放送で聞くことができた。当時、まだオープンリールの時代。ナショナルの7号オープンリール・テープに、FMラジオからエアチェックした。録音できたのは、セルの練習風景とモーツァルトの交響曲第40番、それにシベリウスの交響曲第2番の途中まで。このシベリウスがなんともいえず良かった。この録音、オープンリールのままでは聞けなくなることがわかった頃、SONYのカセットテープ(C-90)にダビングした。これで、いつでも安心して聞けると思っていたら、いつの間にかカセットテープがすたれていった。これではならじと、MDにダビング。ひと安心していたら、たまたま入ったレコードショップで、見つけたのです、あの1970年5月の東京ライブの全貌を記録した2枚組CDを。

これは嬉しかった。アンコールのベルリオーズ「ラコッツィ行進曲」まで全部、完全収録されているではないか。しかも、私がオープンリールにモノラル録音したよりも、はるかにはるかにいい音で聞くことができる。これは、「幻の名演奏」にしておくのはもったいない、実にいいCDだ。特に、シベリウス。速めのテンポで、甘さのない厳しく直截な表現が特徴。しかし、後半の高揚感は素晴らしく、全体として限りない憧れに満ちた感情が満たされる。何度聞いても感嘆する、そういう演奏だ。

現在、このCDはソニー・クラシカルでシリーズものの一つとして比較的容易に入手できる。
参考までに、演奏データを示す。
(このカラヤン盤も、シベリウスにこだわった彼らしいいい演奏だと思う。)
■ セル盤 (SRCR 2539-40)
I=9'20" II=12'55" III=5'51" IV=14'26" total=42'32"
■ カラヤン盤 (CC28-99005)
I=9'47" II=14'30" III=5'42" IV=16'28" total=46'27"
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