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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

久しぶりにFM放送でスークのドヴォルザーク等を聴く

2009年02月22日 09時49分18秒 | -室内楽
ようやく晴れた日曜の朝、NHK-FMで、「20世紀の名演奏~チェコの名バイオリン奏者ヨセフ・スークが弾くチェコ音楽~」を聴いています。曲目は、4つのロマンティックな小品 Op.75 などです。お気に入りの曲を、お気に入りの演奏(*)で。CDを棚から探し出す前に、ちゃんと解説してくれるのがありがたい。豆を挽いて、FM放送を聴きながらコーヒーを淹れると、なんとも良い香りがします。

スークの初来日は1959年だそうです。室内楽にも熱心に取り組んでいましたので、1960年代から日本コロムビア盤のシンボルのような存在でした。DENON の Crest1000 シリーズなどにより、スークの代表的な録音が安価に購入できるようになりました。昔は文字通り「高値(?!)の花」だっただけに、こうしたタイトルを愛聴できるのはうれしい限り。



先日、某書店に立ち寄り、雑誌「日経Linux」3月号と、単行本で飯島和一『出星前夜』(小学館)等を購入してきました。日経Linux3月号は「NetbookでLinuxを楽しむ」等が特集されており、特にLinuxで無線LANを利用する際の問題点などに興味がありました。残念ながらDELLのLinux機Inspiron-Mini12等は対象になっておらず、いささか不満でしたが、NetBookとLinuxの親和性が高いことが確認できました。もっとも、海外製品はLinux-NetBookを正規に販売しているわけですから、当然のことではありますが。日本国内ではなぜLinux-NetbookがDELLに続いて出てこないのか、疑問です。

写真は、単身赴任地での朝の様子。この日はまとまった雪が降り、ごらんのように車も雪に埋もれておりました。雪をおろして出発するまでに、数分はかかります。急げば事故に遭いますので、やはり時間にゆとりを持って出発することが大切です。そんなわけで、今日のうちに単身赴任先に戻ります。夕方までは、家でゆっくりできる時間です。

(*):ドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」を聴く~「電網郊外散歩道」より
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リムスキー・コルサコフ「弦楽六重奏曲」を聴く

2009年02月21日 08時43分59秒 | -室内楽
このところ、通勤の音楽としてずっとリムスキー・コルサコフの弦楽六重奏曲イ長調を聴いていました。週末を機に、自宅のステレオ装置で音量を上げて楽しんだり、パソコンに取り込んだ曲を USB 経由でヘッドホン再生し、じっくりと聴いたりしています。CDは、REM というレーベルの 311208 という型番の輸入盤で、演奏は Sextuor A Cordes de L'Atelier Instrumental D'Expression Contemporaine Region Nord-Pas-de-Calais という長ったらしい名前の団体です。リーフレットはどうやらフランス語らしく、当方には手も足もでません。また、頼りの Wikipedia でも、リムスキー・コルサコフの項目(*1)に弦楽六重奏曲という単語は登場しません。それでもさすがは Google 君、Rimsky Korsakov sextet で検索したら、各楽章の出だしを数分ずつ試聴できるページ(*2,ただし英語)が見つかりました。以下は、このページを参考にして書いています。

リムスキー・コルサコフの弦楽六重奏曲とはまたあまり耳慣れない曲目ですが、実は作曲者32歳の1876年、Russian Music Society のコンペティションのために書かれたのだそうです。若々しく華やかで楽しめる曲との評価を得たらしいのですが、残念ながら一等賞は逃してしまったそうな。27歳でペテルブルグ音楽院の教授に就任していた作曲者ご本人は、ナジェージダと結婚、自分に欠けている和声法や対位法などの知識と技術を身につけるべく、懸命に努力していた時代でしょう。自分には室内楽の才能はあまりないらしいと見切りをつけ、あっさりと管弦楽による交響的作品のほうへ注力するきっかけになった作品らしいです。

たしかに、低音域の豊かさもあり、禁欲的で求心的な方向性よりは、どちらかといえば伸びやかで外に向かうタイプの音楽のように感じます。一等賞にはならなかったかもしれませんが、演奏時間が30分を超える、たいへん幸福で魅力的な、立派な音楽ではありませんか。私はこういう音楽、好きですね。

曲は、全部で五つの楽章から成っています。
第1楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ。始まりのテーマの魅力的なこと!主題がヴァイオリンに引き継がれてからも、戸外で弦楽アンサンブルを聴くような、開放感があります。
第2楽章、ロンド・フガート。軽快なスケルツァンド。リムスキー・コルサコフは、なんと6人の奏者でそれぞれ別々にフーガを展開できることを誇りにしていたとか。六重のフーガですか!そういう苦労が評価されなかったら、たしかにちょいと落ち込むかも(^o^)/
第3楽章、スケルツォ:ヴィヴァーチェ・アラ・サルタレッロ。ふつうはここで緩徐楽章となるところでしょうが、スケルツォ楽章です。パルス律動のようなリズムが、たいへん活発な印象を与えます。
第4楽章、最も印象的なのが、たぶんこのアンダンテ・エスプレッシーヴォの緩徐楽章でしょう。第1主題がチェロ独奏で深々と奏されるとき、思わずため息でしたもの。MP3 形式ですので、どうぞこの楽章のさわりを、リンク先(*2)で試聴してみてください。
第5楽章、フィナーレ:アレグロ・モルト。活発なアレグロ楽章で、6人の奏者は互いにせめぎあったかと思うと調和の響きを奏で、フィナーレは大団円を迎えます。

この六重奏曲は、作曲者の死後4年経過した1912年にようやく刊行されましたが、初版はロシア革命の後に見失われたのだそうで、ソ連時代に第2版が刊行されたのだそうな。その意味では、人気曲「シェエラザード」と比べ、世界中の愛好家に親しまれるための十分な時間が持てなかった曲目なのかもしれません。

参考までに、演奏データを示します。
■AIEC String Sextet
I=7'01" II=5'35" III=5'19" IV=9'09" V=6'11" total=33'15"

(*1):Wikipedia 「リムスキー・コルサコフ」の項
(*2):Nicolai Rimsky-Korsakov String Sextet in A Major
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山形弦楽四重奏団第30回定期演奏会を聴く

2009年02月01日 12時18分06秒 | -室内楽
土曜の夕方、山形弦楽四重奏団の第30回定期演奏会を聴きました。当日は、あいにくの雪模様で、山形市内に入ると道路に雪の轍(わだち)ができていて、走りにくいことこの上なし。当方の田舎でも、もう少しきちんと除雪されているぞ、と文句を言いながら、予定よりもだいぶ遅れて、会場となる文翔館議場ホールには6:25頃に到着、Ensemble Tomo's のプレコンサートは、もうすぐ終わるところでありました。

今回のプレトークは、チェロの茂木明人さん。ブログ(*1)でもユーモアの感覚と独自の視点が面白い演奏家です。プログラムノートの曲目紹介も、教養主義的でなくて、伝統的駄洒落保存会へ入会をお勧めしたいようなユーモラスなもの(*2)でした。印象的だったのは、自分の楽器で自分の国の音楽を演奏できることの幸せについて語ったところ。学生時代に、世界各国の音楽家のタマゴが集まったとき、自分の国の音楽をやってくれと言われ、何も知らずに恥ずかしかった記憶を語ります。

さて、プログラムの最初の曲目は、ハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調作品50-6「蛙」。ヴィオラの「らびお」さんのブログ「らびおがゆく Vol.3」の解説(*3)によれば、第1楽章、アレグロ、ニ長調・4/4、第2楽章はポコ・アダージョ、ニ短調・6/8、第3楽章はメヌエットで、アレグレット、ニ長調・3/4、そして第4楽章フィナーレは、アレグロ・コン・スピリート、ニ長調・2/4だそうです。これは、なかなか魅力的な音楽ですね!ハイドンの弦楽四重奏曲は、特に第1ヴァイオリンの役割の比重が大きいと感じています。この曲でも、第2楽章の超ハイトーンの音程など素人目にもたいへん難しそうですが、なんとか奏き切って、内心「やったね!」。チェロの調弦の後に第3楽章がスタート。軽やかなメヌエットです。そして第4楽章、なるほど、これが「ゲコゲコゲコ」ですか。おもしろ~い!今回は、えんじ色?緑色?ライトの当たり方でどちらの色にも見える、体にぴったりしたドレスの「だちゅ」こと駒込綾さん、退場する時の姿が、ファースト・ヴァイオリンの役割を果たし、るんるん♪に見えましたし、心なしか他のメンバーの皆さんも気分はハイテンションのようです。

続いて、第1ヴァイオリンが中島光之さんに交代し、駒込さんが第2ヴァイオリンにまわります。幸松肇「弦楽四重奏のための4つの日本民謡第1番」。こちらは、(1)さんさ時雨(2)そーらん節(3)五木の子守唄(4)ちゃっきり節、の四曲が、それぞれ第1楽章~第4楽章という構成になっています。
第1楽章、ヴィオラで「さんさ時雨」の旋律が始まります。次いでチェロが旋律を歌い、ヴィオラがハーモニーを。さらに第1ヴァイオリンに移り、という具合。耳に馴染んだ隣県の民謡の旋律が、なんともすてきなものであることをあらためて確認しました。
第2楽章、「そーらん節」はリズミカルに第1ヴァイオリンがリード。裏拍のようなリズムが面白い音楽です。古典的なソナタ形式なら、さしずめスケルツォ楽章に相当するのでしょうか。
第3楽章、「五木の子守唄」。始まりのヴィオラが旋律が美しく、ヴァイオリンに移り、広がりを感じさせるチェロが開放的に。半音階ふうの部分をはさみ、チェロのピツィカートの中で高音弦が旋律を再現します。これはまた魅力的な緩徐楽章です。
第4楽章、「茶っきり節」は、リズミカルで粋でいなせな風情がよく出た音楽です。快速なフィナーレ楽章に相当するのでしょう。とびきり楽しい音楽になっています。
昨年秋の、村山市東沢バラ公園でのミニ・コンサートでも同じ曲目を取り上げていましたが、今回は作曲家ご本人が来場という緊張感もあり、全体に活発な伸びやかさよりもシリアスなほうに深まり、集中力を増した演奏に感じました。

そして注目の、幸松肇「弦楽四重奏のための最上川舟唄」(山形弦楽四重奏団委嘱作品・日本初演)です。チェロの茂木さんが、楽器を裏返して構えます。おやおや、何が始まるのかと見ていたら、チェロ、第1Vn、第2Vnが指で胴を打ちリズムを取る中で、ヴィオラが最上川舟唄のメロディーを奏し、第1ヴァイオリンがチェロのピツィカートにのって旋律を引き継ぎます。第2ヴァイオリンとヴィオラが内声部を支え、一部ややジャジーな、ややブルースっぽいところもある節回しです。続いて四人の奏者による緊密なアンサンブルによる響きが楽しめ、再びなじみの旋律に戻りますが、最後は鋭い現代的な終わり方。かっこいい!思わず拍手!です。

作曲された幸松肇さんが、黒っぽいブレザーにシックな暗赤色のタートルネックというダンディな姿(*4)でステージへ。団員一人一人と握手をかわし、聴衆のあたたかく盛大な拍手を受けて、笑顔で客席に戻りました。

休憩の後は、本日最後のプログラム、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番ハ長調Op.59-3、いわゆる「ラズモフスキー第3番」です。この曲は、いわばベートーヴェンの弦楽四重奏曲を代表するような名曲中の名曲なわけですが、「室内楽なんて堅苦しくて辛気臭くて好きでない!」という誤解のもとになっている、まさにその曲でもあります(^o^;)>poripori
なにせ、第1楽章の出だしが、まるで現代音楽のような不安定で曖昧模糊としたものですから、魅力的な旋律で聴衆の耳をキャッチするというわけにはいきません。山形弦楽四重奏団は、それほど前衛的なきつい響きは採らず、ヴィヴラート控えめの響きで、灰色の霧の中から徐々に黒っぽい姿が浮かび上がってくるような、そんな姿を描き出します。序奏はアンダンテ・コン・モトで、やがてアレグロ・ヴィヴァーチェに。活力ある緊密なアンサンブルは、常設の弦楽四重奏団ならでは、でしょう。
第2楽章、イ短調、アンダンテ・コン・モト・クワジ・アレグレット。印象的なチェロのピツィカートに乗って歌われる、憂鬱な主題が魅力的です。たぶん、暗~い音楽が好きな人には圧倒的に支持されるであろう音楽ですが、実は私も大好きです、この楽章。平均年齢がそう高くない楽団らしく、テンポはそれほど遅くない、気合や気力が感じられる演奏です。
第3楽章、メヌエット:グラツィオーソ。優美なメヌエットとはいえ、中期のベートーヴェンらしく力感のある音楽になっています。この曲の中では一番短い楽章で、コーダから続けて(アタッカで)終楽章へ。
第4楽章、アレグロ・モルト。4人の奏者がそれぞれしっかりした役割が求められ、ハイドンとは違って第2ヴァイオリンの指もヴィオラの弓も、目まぐるしく動きます。途中、例えば第1ヴァイオリンとヴィオラの2人が気迫で勝負するようなところも面白く、エネルギッシュなフーガが最後に四人の白熱したコーダとなって演奏が閉じられると、思わずブラボーの声もかかりました。

拍手に応えてアンコールとして演奏された、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.33-3「鳥」の晴れやかなフィナーレに、ああやっぱりハイドンはいいなぁ、とあらためて感じました。今日も、いい演奏会でした。地元ゆかりの委嘱作品もできた山形弦楽四重奏団、茂木さんのプレトークにあった、自分たちの国の音楽というだけでなく、自分たちの活動する土地に立脚した音楽を得て、ますます充実した演奏活動となりますように、心から応援したいと思います。

(*1):チェロリスト活動日誌
(*2):独りぽつねんと佇む蛙に一緒に飯でもと声をかけたら、一杯おごるとも言っていないのに「下戸、下戸っ!!」と言って行っちゃった、みたいな(^o^)/
(*3):ハイドン 弦楽四重奏曲ニ長調Op.50-6「蛙」~「らびおがゆくVol.3」より
(*4):山形Q第30回定期演奏会終了~「らびおがゆくVol.3」より

写真は、休憩時の文翔館議場ホールの様子です。文化財の建物の中での演奏会は、雰囲気も気分もまた格別です。
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山形弦楽四重奏団第29回定期演奏会を聴く(2)

2008年12月05日 06時32分43秒 | -室内楽
山形弦楽四重奏団の第29回定期演奏会を聴きました。昨日の続き(*)です。
2曲目、佐藤敏直氏の弦楽四重奏曲第1番。冬の夜、山形弦楽四重奏団の演奏で、山形県鶴岡市出身の作曲家の作品を聴く。これも楽しみです。今度は中島さんが第1ヴァイオリンに、駒込さんが第2ヴァイオリンに交代します。
第1楽章、アダージョ。ヴィオラ・ソロから始まります。続いてチェロ、そして第2ヴァイオリンが入り、最後に第1ヴァイオリンも揃って、4人による、半音階的ながらどこか民謡風のところもある曲。ふるえるような不安げな背景に、ヴァイオリンが、あるいはチェロが交代して旋律を奏でるとき、他のパートが印象的なピツィカート。
第2楽章、アンダンテ・マルチアーレ、と読むのでしょうか。第1ヴァイオリンが旋律を、他がピツィカートでリズムを刻みます。そして再びヴァイオリンとヴィオラ。変なたとえですが、田んぼを見まわる農夫の足取りみたいな音楽。
第3楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ~ピゥ・レント~アレグロ・ヴィヴァーチェ。8ビートかと思わず身を乗り出す始まりですが、一転してゆったりとした音楽に変わります。ヴィオラの旋律がなんともいえずしっとりと。どこか悲しげなのは、音楽家が置かれた境遇なのでしょうか。再び速いリズムで、でもビートは弱まり、決然と終わります。4人が弓を上げて音の余韻を聴いているとき、私も初めての音楽の余韻に浸りました。
当日は、佐藤敏直さんの息子さんが来場、駒込綾さんから紹介がありました。亡き父親の作品の演奏を耳にする息子の気持ちは、どんなものでしょう。当方も、今年父を見送ったばかり。つい、そんなことを考えます。

ここで休憩です。ざっと見たところ、入場者数は80名くらいでしょうか、暖房がきいて、会場は充分に暖かです。要予約だそうですが、託児所もあります。駐車場も、以前は有料の県駐車場に入れていましたが、ふだんは夕方5時ころには閉まってしまうらしい無料の文翔館駐車場(建物北側の道路向かいにある)が、催し物があるときには終わりまで開いていることを知り、そこへ入れることにしています。これなら、時間前に来たときには、文翔館をゆっくり眺めて、駐車料金の心配もなく、「シベール」でお菓子やコーヒー、軽食を楽しむこともできます(^o^)/



そして、ブラームス。弦楽五重奏曲第1番、Op.88です。
第1楽章、アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ。ああ、ブラームスだ!と思わせる、渋~い、しかし豊かな弦の響き。ヴィオラが1本増えると、こういう音がするのですね!第1ヴァイオリンだけが突出するのではなくて、互いに響きあう音。世の人々に、「ブラームスは渋い」「地味」と言わせるのに、「そこがいい」と世のブラームス好きを魅了する響きです。
第2楽章、グラーヴェ・ed・アパッショナート~アレグレット・ヴィヴァーチェ~プレスト。ed は and の意味なのかな?さすがの Google 君も、変な意味しか教えてくれません(^o^) 意味は、たぶん「荘重に、そして情熱を持って~速く、輝かしく~最速に」くらいか。このへんが、素人音楽愛好家の弱点です(^o^)/
Op.88という作品番号を持ちますが、若き日の素材を用いているのだとか。ゆっくりとした部分と速い部分が、今と昔を回想するかのように、交互に現れます。第1ヴァイオリンが美しい音色を披露しますが、でもやっぱり全体のバランスの中での役割で、合わせる響きは充実しています。思わず聴き惚れてしまって、なぐり書きのメモさえ取れませんでした。
第3楽章、アレグロ・エネルジコ。フーガです。5つのパートが絡み合う様は、実演ならではです。こういう曲になると、誰かが弱気になると全体が崩れてしまうため、各奏者の気合いが大切になるように思いますが、田中さんが入って気合い充分。正面に見えるチェロの茂木さんの目の色が、表情が、真剣です。もう、生のブラームスを満喫しました。

アンコールは、再び四人で「ソーラン節」。次回の幸松肇さんの「弦楽四重奏のための4つの日本民謡第1番」の予告でしょう。この曲目、今年の大収穫でした。とってもとっても素敵な音楽です!次回の、日本初演になる「最上川舟歌」を聴くために、しっかり前売券を購入して帰途につきました。

(*):山形弦楽四重奏団第29回定期演奏会を聴く(1)~電網郊外散歩道
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山形弦楽四重奏団第29回定期演奏会を聴く(1)

2008年12月04日 06時28分25秒 | -室内楽
山形弦楽四重奏団の第29回定期演奏会のため、師走の山形市に少し余裕を持って向かったつもりが、およそ90km近くを走って到着したのは、茂木智子さん・田中知子さんの2人による Ensemble Tomo's プレコンサートがほとんど終わる頃になってしまいました。でも、本番には間に合ったぞ。良かった~(^o^)/

そして、黒いドレスでスリムなシルエットの駒込綾さんのプレトーク。来場の皆さんへのご挨拶とお礼、第30回定期演奏会の予告(*)と入場料値上げについての説明があり、本日の曲目を簡潔に紹介します。次回の定期演奏会のちらしはカラー印刷です。どこか外国のような背景は、村山市の東沢公園の駐車場の北側にある斜面と見ましたが、いかに?

第1曲、ハイドンの弦楽四重奏曲作品76の4「日の出」です。第1ヴァイオリン:駒込綾さん、第2ヴァイオリン:中島光之さん、ヴィオラ:倉田譲さん、チェロ:茂木明人さんの四人です。
第1楽章、アレグロ・コン・スピリト。第1ヴァイオリンの旋律がほんとに魅力的ですし、チェロの音色にハッとします。第2ヴァイオリンとヴィオラが内声部を充実させ、響きのバランスはぴったんこです。ハイドンの弦楽四重奏曲全曲演奏を目指し、第30曲目となる今回だけに、経験も伊達ではありません。ハイドンのカルテットの語法が手中に入っている感じです。
第2楽章、アダージョ。奏者は集中力を要するところでしょうが、聴いているほうには、たいそう幸せな、ゆったりした時間が流れます。できればもう少しだけ伸びやかさがほしいかな、というのは、ハイドン好きの欲張りかもしれません。
第3楽章、メヌエット:アレグロ。軽やかな舞曲だけに、第1ヴァイオリンの、澄んだ音と軽やかにジャンプする音程の両立が難しそう。でも、軽やかさはよく出ていると感じました。
第4楽章、フィナーレ。アレグロ・マ・ノン・トロッポ。4人が、次第にフィナーレに向かって追いこんで行くところがすごいです。カルテットを聴く醍醐味です。

(*):次回は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」とハイドンの「蛙」、幸松肇さんの「弦楽四重奏のための4つの日本民謡」第1番、そして山形弦楽四重奏団委嘱(いしょく)作品、幸松肇さんの「弦楽四重奏のための最上川舟唄」の日本初演が予定されています。

今朝は早出なので、とりあえず、今回はここまで。続きはまた明日とします。
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サン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第2番」を聴く

2008年10月24日 06時19分52秒 | -室内楽
秋の夜長に、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第2番を聴きました。演奏は、第1番と同じく、ジャン=ジャック・カントロフ(Vn)とジャック・ルヴィエ(Pf)です。1991年3月に、オランダのライデンにあるシュタットヘホールザールでデジタル録音された、DENON COCO-70550というCDで、録音もたいへん明快です。

第1楽章、ポコ・アレグロ・ピゥ・トスト・モデラート。
第2楽章、スケルツォ、ヴィヴァーチェ。
第3楽章、アンダンテ。
第4楽章、アレグロ・グラツィオーソ、ノン・プレスト。

第1番(*)のソナタから7年後の1892年に作曲されました。このとき作曲者57歳。初演はサン=サーンスの楽壇生活50周年の記念コンサートで、作曲者自身のピアノとサラサーテのヴァイオリンで行われたそうな。それはすごい伝説的な演奏会です。

緊密な構成、多彩な音色。ちょっと聞いてすぐに親しみやすさを感じるような要素は乏しいですが、なかなか素晴らしい音楽です。中年の落ち着いた快活さ、とでも言えばよいのでしょうか。変ホ長調という調性で、古典的・ロマン的な枠組みの中で、なお音楽の可能性を探った、ということでしょうか。作曲当時、ドビュッシーは30歳。1891年に「二つのアラベスク」、1893年に「弦楽四重奏曲」、翌1894年には「牧神の午後への前奏曲」を作曲しています。ラヴェルはまだ17歳、もうすぐ彼らの時代がやってくるその時に、大家中の大家として君臨していたのでしょう。時代の残照と言うにはもったいないほど素敵な音楽だと思いますが、この曲は第1番とは異なり、あまり演奏される機会が多くないのかも。ブログの記事もずいぶん少ないようです。

■カントロフ(Vn)、ルヴィエ(Pf)
I=6'34" II=4'08" III=5'31" IV=4'47" total=21'00"

(*):サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタを聴く~「電網郊外散歩道」より

写真は、寒さにやられて枯れかけているバラです。
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バラ公園で今年も弦楽四重奏

2008年09月23日 20時08分30秒 | -室内楽
秋分の日の午後、山形県村山市の東沢バラ公園で、山形弦楽四重奏団の演奏会を聴きました。今朝は涼しく農作業日和でしたので、午前中にたっぷり草刈りをして汗をかき、シャワーを浴びて着替えもそこそこにお昼をかきこみ、車で東沢バラ公園へ。入り口で入園料400円を払い、ログハウスに急ぎます。時間前に到着しましたので、コーヒーで一服できました。



さて、山形弦楽四重奏団の皆さんが登場。左から第1ヴァイオリンの中島さんはダークグレーのシャツにノーネクタイで。第2ヴァイオリンの駒込さんは、グレーのノースリーブにロングスカート。髪型が短くなり、とてもよくお似合いです。チェロの茂木さんは、ダークグレーのシャツに斜縞のネクタイ。汗よけでしょうか、楽器にもバンダナをつけています。ヴィオラの倉田さんは、上下とも黒一色で統一して、ぐっと渋いスタイルです。

最初は、幸松肇作曲「弦楽四重奏のための四つの日本民謡第1番」から。こちらは、(1)さんさ時雨(2)そーらん節(3)五木の子守唄(4)ちゃっきり節、の四曲が、それぞれ第1楽章~第4楽章という構成になっています。
第1楽章、ヴィオラで「さんさ時雨」の旋律が始まります。次いでチェロが旋律を歌い、ヴィオラがハーモニーを。さらに第1ヴァイオリンに移り、という具合。とてもすてきな旋律です。
第2楽章、「そーらん節」はリズミカルに第1ヴァイオリンがリード。裏拍のようなリズムが面白い音楽です。
第3楽章、「五木の子守唄」もヴィオラが旋律を奏して始まり、ヴァイオリンの移ります。そしてチェロが少し開放的に。半音階ふうの部分をはさみ、チェロのピツィカートの中で高音弦が旋律を再現します。
第4楽章、「ちゃっきり節」は、リズミカルで楽しい、粋でいなせな風情がよく出た音楽です。

次は、第1ヴァイオリンを中島さんから駒込さんに交代し、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」です。これはもう、駒込さんの台詞ではないですが、「どクラシック」、超有名な音楽。言葉は不要ですね。そうそう、一つ発見がありました。最後の終わり方が、どうも「アーメン」のような気がする。
それから、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1楽章を。これも、もう超有名曲ですので、今さらのような言葉は不要です。この音楽が、ずっと続くといいなぁと思いながら聴きました。
さらに、バラ公園での演奏会にちなんで、「バラが咲いた」と「百万本のバラ」を。これは昨年も聴きましたが、編曲も素敵で、何度聴いてもいいものです。東沢バラ公園のお土産用に、山形弦楽四重奏団の演奏で小さなCDを作ってほしいほどです(^o^)/
親しみやすい曲目が続きます。「小さい秋見つけた」、「千と千尋の神隠し」から「命の名前」。ログハウスに集まったお客さんも、一曲ごとに拍手をしながら、ほんとに楽しそうです。

後半は、第1ヴァイオリンが再び中島さんに代わり、幸松肇作曲「弦楽四重奏のための四つの日本民謡第2番」です。(1)八木節(2)南部牛追歌(3)おてもやん(4)会津磐梯山、の四曲からなる音楽。先の定期演奏会で演奏した曲目とのことですが、あいにく仕事で行けなかったので、今回聴くことができて嬉しい!
第1楽章、「八木節」、太鼓のバチで樽を打つような音も入り、リズミカルで活気のあるアレグロ楽章です。
第2楽章、チェロが朗々と「南部牛追歌」を導入すると、旋律はヴィオラ、第2ヴァイオリンがオブリガート。なかなか魅力的な緩徐楽章ですね。チェロがギターのアルペジオふうに指でぽろん。いい歌です。
第3楽章、4人とも弓を置き、ピツィカートで「おてもやん」を演奏します。強くはじくだけでなく、ピゥ~っとズラシのテクニックも入り、面白い効果です。文字通り諧謔的なスケルツォ楽章に相当するのでしょうか。
第4楽章、本作品はただ民謡を編曲した音楽ではないことを示す、現代的な緊張感を持った「会津磐梯山」。見事なフィナーレ楽章です。
たいへん魅力的な作品だと思います。先の定期演奏会には、作曲家の幸松肇さんご自身が来形されていたとか。お話もお聞きしたかったのにと、今更ながら残念無念です。

アンコールに「ふるさと」を聴きながら、今年も元気で「バラ公園で弦楽四重奏」を聴くことができる幸せを感じておりました。終演後、バラのソフトクリームを食べ、少しだけ散歩をして、所用で親戚の家を回ってから帰りました。うーむ、今日も充実した一日だったぞ(^_^)/


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ハイドン「弦楽四重奏曲第75番」作品76-1を聴く

2008年09月03日 05時13分49秒 | -室内楽
朝晩は、だいぶ涼しくなりました。今朝は、やけに早く目がさめてしまい、携帯CDプレイヤーで音楽を聴きました。ハイドンの弦楽四重奏曲第75番、作品76-1、カルミナ四重奏団の演奏です。

第1楽章、アレグロ・コン・スピリト。いや、出だしの3つの音で、ぱっと目がさめました(^o^;)>poripori そして、続く音楽は、まぎれもなく充実したハイドンの作品です。薄明に紛れて、パジャマのまま戸外を散歩したくなります。
第2楽章、アダージョ・ソステヌート。静かに深く、集中力に富む緩徐楽章です。4つのパートのそれぞれに魅力的な旋律もあり、音楽の表情は刻一刻と変化します。
第3楽章、メヌエット:プレスト。メヌエットというよりはむしろスケルツォといいたいような、でも途中はたしかにメヌエットに違いない、短く速い音楽です。
第4楽章、フィナーレ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ。フィナーレなのにト短調!で始まります。でも、深刻な楽想に終始するわけではなくて、多面的な音楽の、表情の多彩さを示すためのもののようです。最後の軽やかな終わり方は、やっぱり颯爽としたハイドンです。

1995年、スイスのラ・ショー・ド・フォン、ムジカ・テアトルにおけるデジタル録音です。「エルデーディ四重奏曲集 作品76」と題された価値ある2枚組、DENON の COCO-70790-1、これが1500円とは演奏家に申し訳ないような、でも素人音楽愛好家には嬉しい限りです(^_^)/
カルミナ四重奏団は、近々新録音が出るとか。楽しみです。

どれ、コーヒーでもいれて、クッキーでもつまみましょう。朝はまだゆっくりと明けています。

■カルミナ四重奏団
I=5'37" II=6'36" III=2'29" IV=6'02" total=20'44"
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シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」を聴く

2008年08月09日 06時44分10秒 | -室内楽
老父の葬儀等の期間中は、音楽を楽しむ余裕などありませんでしたので、長距離通勤を利用して、本当にしばらくぶりに音楽を聴きました。シューベルトのピアノ五重奏曲「鱒」です。LPの時代には、アルフレッド・ブレンデル(Pf)、クリーヴランド弦楽四重奏団員による演奏(Ph 20PC-2031)を楽しみましたが、カーステレオで聴くにはちょいと無理がありますので、ルドルフ・ゼルキン(Pf)と彼のマールボロ・チームによる演奏(FDCA-585)にて。例の、某中古書店に放出されたCD全集分売もののうちの一枚です。カーステレオ用には、たいへんありがたい(^_^)/

第1楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ。弦の斉奏にピアノの分散和音で始まり、第1主題、第2主題、コーダと、全部で13分以上を要する、ずいぶん大きな楽章です。躍動的で、聞きごたえがあります。作曲を依頼したお金持ちの鉱山業者がチェロをたしなんだそうで、チェロ・パートに印象的な出番がちゃんと用意されています。
第2楽章、アンダンテ。ピアノが前面に出て活躍しますが、現在の感覚からするとやや高域よりの響きに思えます。これは当時の楽器の制約から?
第3楽章、スケルツォ。いかにもシューベルトらしい、途中で何度も転調するスケルツォです。
第4楽章、主題と変奏。歌曲「鱒」の旋律が主題となり、ヴァイオリンによって奏されます。他の弦楽器が伴奏にまわり、変奏に入ってからはピアノやヴィオラと続きます。チェロとコントラバスも加わり、本当に美しい旋律です。
第5楽章、フィナーレ:アレグロ・ジュスト。フィナーレらしい、華やかさがあります。

いいなぁ!シューベルトの音楽!
思わずほっとします。聴き慣れた音楽が、また新鮮に聞こえてきます。
求心的であっても息苦しくはない、親密であっても馴れ合いではない、よくコントロールされ、バランスの取れた響きが、心のこわばりを解きほぐすようです。

楽器編成が、第2ヴァイオリンに代えてコントラバスが加わっている点が、今の時代の感覚からすると風変わりですが、LPの解説(大木正興さん)によれば、これは当時ウィーンで人気のあった、シューベルトより10歳ほど年長のフンメルにも同様の編成のピアノ五重奏曲があり、参考にした可能性があるのだとか。

また、ピアノの音が高域よりの感じを受けますが、これも当時の楽器の制約によるものかもしれません。産業革命に伴う鋼鉄技術の進歩が、強靭なピアノのフレームを産み出したと考えると、当時のアマチュア音楽愛好家の家に、最新型のピアノが常に用意されているとは限りません。であれば、ピアノはモーツァルト流の高域重視型、低音はコントラバスに受け持たせる、という割り切り方はありうると思います。そんなふうに考えると、この楽器編成は合理的です。実際に、コントラバスの役割は、あるときはティンパニ風にも聞こえるし、バスを強調する時もあり、かなり多彩な役割を果たしています。

さて、おとなしくて目立つのが嫌いなシューベルト自身は、どのパートを担当したのだろう、と興味津津です。もしかすると、内声部で音楽を充実させる、ヴィオラあたりなのでしょうか。

■ゼルキン(Pf)、マールボロ・チーム
I=13'36" II=7'07" III=4'04" IV=8'19" V=6'19" total=39'25"
■ブレンデル(Pf)、クリーヴランド弦楽四重奏団員
I=13'21" II=7'03" III=3'52" IV=7'40" V=6'09" total=38'05"
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愛妻に捧げる夜想曲~ボロディン「弦楽四重奏曲第2番」を聴く

2008年07月28日 06時18分11秒 | -室内楽
1859年、26歳の若い熱心な化学者ボロディンは、恩師ジーニンの推薦により、医科大学からの公費留学生として、ドイツに留学します。留学先は、「アルト・ハイデルベルク」で有名なハイデルベルク大学。化学実験室でおなじみのブンゼンバーナーを作り、炎の色のスペクトル分析を行い、新元素ルビジウムやセシウムを発見したブンゼンや、ブンゼンの共同研究者だった物理学者キルヒホッフらが教鞭をとり、同期の留学生には周期律を発見し周期表を作ったメンデレーエフがいる、という環境で、研究に没頭します。そして2年が経過した1861年の5月、イタリアからもどったボロディンは、たまたま結核の療養のためにハイデルベルクに滞在していたロシア人の女性ピアニスト、エカテリーナ・プロトポポーヴァの、サナトリウムにおける演奏会に出席します。プログラムの第1曲目は、まだ没後5年目のR.シューマンの「アルバムブレッター」だった(*)といいます。

演奏会の後、シューマンの音楽について彼女に問いかけ、二人は急速に親密になっていきます。ボロディンの研究室での仕事が終わる夕刻に落ち合い、ネッカー河を散歩しながら、化学に明け暮れていたボロディンの生活の中に、再び音楽の灯火が灯ったことでしょう。二人で出かけたマンハイムやバーデンバーデンへの旅行の後に、ボロディンは結局は未完に終わる「ピアノ三重奏曲」に着手し、二人は婚約します。

ところが、エカテリーナの病状が急に悪化し、イタリアに転地療養を余儀なくされるのですが、ボロディンもまた同地の化学者の研究室で働きながら、一歳年上のエカテリーナに付き添います。1年後の1862年、エカテリーナは回復し、結婚の準備のためにモスクワの母親の元に帰り、ボロディンもペテルブルクに戻ります。それから20年の年が過ぎた1881年、ボロディンは、愛を告白した20周年の記念に、愛妻に「弦楽四重奏曲第2番」を贈る(*2)のです。

第1楽章、アレグロ・モデラート。第2ヴァイオリンとヴィオラとともに、チェロが弱く主題を歌い出すと、第1ヴァイオリンが同じ旋律を続けます。cresc.しつつ第1ヴァイオリンとチェロが交互に歌う様は、なんとなく愛し合う二人の回想と対話みたい。もちろん、チェロがボロディンで、第1ヴァイオリンがエカテリナさんでしょう。
第2楽章、スケルツォ:アレグロ。チェロのピツィカートにのって、ヴァイオリンが速く細かな動きを示します。第2ヴァイオリンもヴィオラも聴かせ所があり、なかなか多忙なスケルツォです。彼の名を冠したボロディン反応の発見や、求核付加反応の一種であるアルドール反応の発見など、化学者としての優れた研究(*3)に加え、医科大学の教授としての教育活動、そしてロシア初の女子課程の創設(*4)などに奮闘するボロディン。題して「超多忙な生活」か(^o^)/
第3楽章、夜想曲:アンダンテ。チェロがあの有名な「夜想曲」の旋律を奏でます。そして第1ヴァイオリンが、美しい高音で弱く歌うように、エスプレッシーヴォで同じ旋律を繰り返すと、ヴィオラ~第2Vn~第1Vnと音階が引き継がれる呼吸の見事さ。再びチェロに主題が帰り、ヴィオラが細やかに雰囲気を作る中で、第1ヴァイオリンが同じ主題を繰り返します。モルト・エスプレッシーヴォのあたりからの四人の呼吸の親密さは、室内楽の醍醐味でしょうか。
第4楽章、ヴィオラとチェロの低音の動きの中に第2ヴァイオリンが加わり、さらに1st-Vnも。でも、この楽章は、まだ充分にはつかめていない感じです。きっと、実演で大きな発見があるのでしょう。その時までの宿題としておきましょう。

演奏は、ハイドン四重奏団。1993年10月、ブダペストのユニタリアン教会におけるデジタル録音、ナクソスの 8.550850 という型番のCDです。弦楽四重奏曲第1番が併録されており、すでに記事(*5)にしております。

■ハイドン四重奏団
I=8'07" II=4'46" III=8'24" IV=7'11" total=28'28"

(*):ひの・まどか著『ボロディン、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ~嵐の時代をのりこえた「力強い仲間」』(りぶりお出版)より。
(*2):Wikipediaより、弦楽四重奏曲第2番(ボロディン)
(*3):化学者としてのボロディン
(*4):音楽以外のボロディンの業績
(*5):ボロディン「弦楽四重奏曲第1番」を聴く

【追記】2008/08/07
山形弦楽四重奏団のヴィオラ奏者である「らびお」さんのブログで、この記事を取り上げていただきました(*6)。プロの演奏家に取り上げていただいたことを、嬉しく思います。また、続く記事(*7)で、第4楽章について解説していただきました。演奏する立場からの、説得力のある内容で、なるほど!でした。

(*6):Alexander Porfir'evich Borodin~「らびおがゆく Vol.3」
(*7):A.Borodin 弦楽四重奏曲第2番 ニ長調 第4楽章~「らびおがゆく Vol.3」
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ドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」を聴く

2008年07月27日 07時26分06秒 | -室内楽
しばらく目覚ましの音楽に用いてきた、ドヴォルザークの「4つのロマンティックな小品」は、大好きな音楽の一つです。先日、体調が悪くアパートでうつらうつらしていたときにも、無意識にリモコンでこの曲を流しておりました。演奏は、ヨセフ・スーク(Vn)とアルフレート・ホレチェック(Pf)、1971年の11月にプラハのドモヴィナ・スタジオで収録された、スプラフォン原盤のアナログ録音です。現在は、DENONの2枚組のCD(COCO-70545/6)としてクレスト1000シリーズにラインナップされ、本作品はDisc-2内にあります。実に価値ある1500円。たしか、昔はこのLPはずいぶん高かった記憶があります。高嶺の花ならぬ「高値の花」でありました。DENON さん、ありがとう!

第1曲、アレグロ・モデラート。思わず古き時代を思い出すような懐かしさを感じさせる、たいへんに美しい旋律です。寝ているときも、思わず耳をそばだてるほど。小音量で聴くミニコンポではヴァイオリンの旋律の美しさが際立ちますが、自宅で音量を上げて聴くと、ピアノがリズミックでこまやかな動きをしているのがよくわかり、たいへんいい雰囲気です。
第2曲、アレグロ・マエストーソ。重音で奏されるfffの音型と、弱いスタッカートで奏される音型とが交互に対比されます。耳に残る響きです。ヴァイオリンの重音に注意が向きがちですが、素人目(耳?)にはピアノがけっこう難しそうに聞こえます。実際はどうなのでしょう。
第3曲、アレグロ・アパッショナート。すっきりした美しい旋律が、様々に変奏されます。前の楽章が、やや暗めの曲調ですので、この楽章のすっきりした性格が、たいへん好ましく感じられます。
第4曲、ラルゲット。ため息をつくような嘆きの歌でしょうか。当初は「悲歌」と題されていたということもうなづける、内面的な激しさを秘めた、憂愁に満ちた曲調です。

ヴァイオリンの旋律性と、やや控えめながら、ピアノの深い響きとを両立させた、ドヴォルザーク円熟期の作品。作曲者46歳の、1887年に完成したとか。ドヴォルザークの旋律は、本当にほれぼれするほど素晴らしいです。

■スーク(Vn),ホレチェック(Pf)
I=3'04" II=2'55" III=2'12" IV=6'30" total=14'41"



写真は、野の花を撮影したもの。時期は7月中旬です。
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ドヴォルザーク「スラブ舞曲第2番」をVnとPfの二重奏で聴く

2008年06月22日 20時24分39秒 | -室内楽
連日の出張で、音楽を聴く時間がなかなか取れません。ちょっとした空き時間をみて、ようやく音楽CDを聴きました。たぶん、規模が大きく演奏時間の長いものは不向きだろうと、持参したのがヨゼフ・スーク(Vn)とアルフレート・ホレチェック(Pf)によるドヴォルザークの「ヴァイオリンとピアノのための作品全集」(DENON COCO-70545/6)。本日は、この中から Disc-2 に収録された「スラブ舞曲第2番ホ短調Op.46-2」等を聴きました。

もともとが四手のためのピアノ作品であるらしいスラブ舞曲は、ジョージ・セルとクリーヴランド管のCDやコシュラー指揮チェコフィルのLDなど、オーケストラの演奏でなじんでおります。ヴァイオリンとピアノの二重奏による録音は、この2枚組CDが初めて。でも、まるで本来ヴァイオリンとピアノのための作品であったかのように自然な編曲、演奏です。

ピアノの打鍵に続くヴァイオリンの重音で始まり、美しいヴァイオリンの音で、あの懐かしい旋律が奏でられると、そこはもう懐かしさいっぱいのスラブ舞曲の世界。よく聴けば、ヴァイオリンの音域上の制約から、特に低音域のところが、本来の旋律とは違っていますが、不思議に違和感を感じません。

■ヨゼフ・スーク(Vn)、ホレチェック(Pf) 4'40"

参考までに、オーケストラによる演奏では、

■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管 5'21"
■ズデニェク・コシュラー指揮チェコ・フィル 4'59"

そういえば、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の代表的な録音であるスラブ舞曲集を、まだ取り上げていなかったかもしれません。うかつと言えばうかつな話で(^_^;)>poripori
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ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第10番」を聴く

2008年06月10日 05時22分45秒 | -室内楽
このところ、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第10番に、文字通り「はまって」います。単身赴任のアパートで、小型スピーカでも意外にいけることがわかって以来、夜の食卓でも、通勤の音楽としても、くり返し聴いてきました。この週末には、自宅のステレオ装置で、ピアノの音が満足できる程度に大きめの音量で聴き直し、大満足。あらためて言うのもなんですが、いい曲ですねぇ!

ヴァイオリンソナタのジャンルでは、「クロイツェル」ソナタ(*)のあと9年間の沈黙をやぶり、作曲者42歳の1812年、ちょうど第8交響曲が作曲された年に完成しています。ヴァイオリニストのロードと、ルドルフ大公のピアノにより、ロプコヴィッツ伯爵邸にて初演され、ルドルフ大公に献呈されているとのことですが、それよりもこの曲の印象を強めるのは、ゲーテに会い、青木やよひさんによれば「不滅の恋人」とされるアントーニア・ブレンターノと親しくなった、まさにその時期の作品であるという事実です。

きわめて集中力に富んだ、しかし静穏な気分の中に喜ばしい情緒をたたえた音楽。見かけは慎み深い、しかし内には豊かな愛情をたたえた音楽と言ってよいのかも。「あの」不幸なベートーヴェン、運命に抗うベートーヴェンが、不安を秘めながらも、このような平穏で幸福な音楽を書く時期を持てたことを祝福したいと思います。

第1楽章、アレグロ・モデラート。「クロイツェル」ソナタの重苦しい開始とはがらりと変わって、ヴァイオリンとピアノとが歌い交わすような始まりです。軽やかなヴァイオリンの旋律のチャーミングなこと。
第2楽章、ゆったりとした美しいピアノの旋律で始まり、アダージョ・エスプレッシーヴォと指示されています。息の長いヴァイオリンの歌とともに、深いピアノの響きが実に素晴らしい。集中力がすごい音楽です。
第3楽章、スケルツォ、アレグロ。アタッカで入るところは少し不安げですが、すぐに晴朗な気分が戻ります。ここは、たいへん短い楽章です。
第4楽章、ポコ・アレグレット。オルゴールにでも出てきそうな、かわいらしい旋律で始まりますが、ピアノに導かれて次々と変奏されていきます。中間部のゆっくりしたところで、静かに転がるようなピアノの音の美しいこと!後半の情熱的な盛り上がりも見事ですが、合間に聞かれる静かなささやきのようなところも、たいへんに魅力的です。

ベートーヴェンの、このジャンル(*2~*4)最後の曲というだけのことはあります。どちらかといえば、私は「クロイツェル」ソナタよりも、この第10番が好きですね。



演奏は、ヨセフ・スーク(Vn)とヤン・パネンカ(Pf)、DENON の紙箱全集(COCO-83953-6)からの一枚。スプラフォン原盤で、1960年代後半のアナログ録音ですが、充分に楽しめる音質です。録音時期を見る限り、チェコスロヴァキアが「プラハの春」に高揚し、ソ連の鋼鉄の戦車が侵入する直前の時期かと思われます。

■スーク、パネンカ
I=10'20" II=7'16" III=2'10" IV=10'07" total=29'53"

(*):ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」を聴く
(*2):ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調」を聴く
(*3):ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第4番」を聴く
(*4):ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」を聴く
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ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」を聴く

2008年06月03日 05時38分31秒 | -室内楽
春からずっと、断続的ではありますが、ヨセフ・スーク(Vn)とヤン・パネンカ(Pf)によるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集(DENON COCO-83953-6)を聴いておりました。とくに、第9番と第10番の2曲が収録されたCDを聴くと、「スプリング&クロイツェル」という定番の組合せとは違った印象を受けます。

たとえばフランチェスカッティ(Vn)とカサドシュ(Pf)のLPや、西崎崇子(Vn)とヤンドー(Pf)によるCD(NAXOS 8.550283)では、はじめにスプリング・ソナタを聴いて、次に「クロイツェル」ソナタを聴きますので、どうしても第1楽章の緊張感に満ちた音楽に、強い印象を受けます。ところがスークとパネンカによるヴァイオリン・ソナタ全集から一枚を取り出して聴くときは、始まりの楽章の緊張感はもちろんありますが、第10番のおちついた静謐さに強い印象を受ける、といった具合です。

「英雄」交響曲の前年、作曲者33歳の1803年に作曲された、「協奏曲のように」と記されたヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」は、3つの楽章からなります。
第1楽章、アダージョ・ソステヌート~プレスト。ヴァイオリンの深刻な重音で始まる、この緊張感がたまりません。文豪や後の作曲家が何を妄想しようと自由ですが、あいにく当方はいたって人畜無害。音楽を抽象的なままに楽しみましょう。緩急の対比もまた激しいものがあり、録音を聴きながら、ヴァイオリニストはきっと厳しい表情で演奏しているのだろうなぁ、と想像します。それにしても、この楽章の堂々たるピアノの素晴らしさ。
第2楽章、アンダンテ・コン・ヴァリアツィオーニ、と読むのでしょうか。一転してピアノが軽やかな変奏にはねまわり、ほとんどピアノソナタの風情です。ヴァイオリンもまた、楽しそうに高音域の美音を聴かせますが、どちらかといえばピツィカートやオブリガートでピアノを引き立てるような役回りでしょうか。
第3楽章、フィナーレ。プレストで。始まりのピアノの強烈な一打に続くヴァイオリンのスタッカートの旋律が、次々に姿を変えて反復されます。

パソコン用の小型スピーカでは、表情豊かなヴァイオリンの印象が強く出ますが、自宅のステレオ装置で聴くと、ピアノの音が豊かに響きます。このソナタの協奏曲のような性格は、小型スピーカではやっぱり無理な面があるようです。それにしても、パネンカのピアノは良いなぁ。

スーク盤は、1967年の秋にプラハのスプラフォン・ドモヴィル・スタジオで収録されたアナログ録音で、西崎崇子盤は、1989年の春にブダペストのイタリア協会でのデジタル録音です。20年の差は音の鮮度に表れていますが、音楽を楽しむ上ではまったく支障はありません。

■ヨセフ・スーク(Vn)、ヤン・パネンカ(Pf)
I=14'28" II=15'25" III=9'18" total=39'11"
■西崎崇子(Vn)、イェネ・ヤンドー(Pf)
I=11'37" II=15'04" III=6'25" total=33'06"

写真は、山形市内の街路樹に咲くマロニエの花。先月下旬、たしか20日頃の撮影です。
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山形弦楽四重奏団第27回定期演奏会を聴く

2008年04月13日 08時33分16秒 | -室内楽
昨日の土曜日、午後から老父が入院先の病院から一時帰宅、入浴して一休みし、さっぱりして、喜んで行きました。腸閉塞の手術の経過はまずまず順調なようで、食事も全がゆになりました。もう少し経過を見て、抗ガン剤の化学療法を再開する予定です。気力がおとろえていないのがなによりです。

そんなこんなで、山形弦楽四重奏団の第27回定期演奏会、アンサンブル・ピノによるプレ・コンサートには間に合わず。ヴァイオリンの中島光之さんのプレトークに、ようやく間に合いました。会場となる文翔館議場ホール、いつもは前列のほうに陣取るのですが、今回はおとなしく一番後ろのほうへ。ホールの特性でしょうか、中島さんの声がマイク無しでもよく聞こえます。内容は本日の曲目の解説ですが、特にフォーレについて詳しく説明してくれました。

ドイツ・ロマン派が行き着いたワーグナーなどのドイツ音楽に対し、フォーレはフランスの音楽を求めます。グレゴリオ聖歌などに遡り、新しい響きを追求。フォーレの「レクイエム」には「怒りの日」がないように、派手な表現を嫌い、内面的な作風が特徴。弦楽四重奏曲は最後の作品で、心の平安に向かって行くものです。響きは穏やかで、心に浸みて行く音楽、とのことです。

お客さんの入りはほぼ満席に近いくらい、かなり多かったのではないでしょうか。演奏は、まずハイドンの弦楽四重奏曲 ニ短調 作品76の2「五度」から。ステージ左から、第1ヴァイオリンを中島さん、第2ヴァイオリンが駒込綾さん、チェロが茂木さん、そしてヴィオラが倉田さんです。
第1楽章、アレグロ。短調のビッグベン。流れるようなハイドン、ふわっとやわらかいハイドンです。コントラストの強い場面でも、バランスを崩しません。こういうハイドン、好きですねぇ(^_^)/
第2楽章、アンダンテ・オ・ピウ・トスト・アレグレット。第1ヴァイオリンの主題に3人がピツィカートで。変奏が伸びやかで美しい。
第3楽章、メヌエット。アレグロ・マ・ノン・トロッポ。どことなくオリエンタルな、とても面白いメヌエットです。後半はカノン風の展開に。
第4楽章、フィナーレ。ヴィヴァーチェ・アッサイ。四人の奏者が全休止することで作られる間合いが印象的。静寂から再び第1ヴァイオリンで音楽が立ち上がって来ます。

個人的にハイドンの弦楽四重奏曲が大好き、特にこの作品76の六曲はお気に入りの作品が多く、嬉しい時間でした。

続いてベートーヴェンの弦楽四重奏曲第6番、変ロ長調、作品16の2です。第1ヴァイオリンが駒込さんに、第2ヴァイオリンが中島さんに交代します。
第1楽章、アレグロ・コン・ブリオ。小鳥の鳴くようなところもある、牧歌的な出だし。少し音程に不安なところもありましたが、全体に軽やかでリズミカルでいい感じです。
第2楽章、アダージョ・マ・ノン・トロッポ。第3楽章、スケルツォ。アンサンブルの緊密さが問われるところです。
第4楽章、La Malinconia (Adagio~Allegretto quasi Allegro) これ、メランコリックに、という意味なのかな。序奏部、第2ヴァイオリンとヴィオラとチェロが沈んだ響きを奏でる中で、第1ヴァイオリンも憂鬱な嘆きの曲想。チェロの音がしだいに高まる不安を表すのでしょうか。アレグレットも、軽やかですが晴れ晴れとはしていない。再びアダージョ、ことさらに深刻にしてはいないけれど、実は深刻な問題に直面しているようです。ベートーヴェンの演奏は、終楽章に近付くにつれて、ぐっとのってきたようです。

10分間の休憩の後、いよいよフォーレの弦楽四重奏曲が始まります。再び中島さんと駒込さんが交代し、第1楽章、アレグロ・モデラート。倉田さんのヴィオラから始まります。いい音です。全体に中低音域中心の中から、第1ヴァイオリンだけが高音と低音を行き来します。不思議なフォーレの響きです。
第2楽章、アンダンテ。静かで瞑想的な響き。4つの楽器が単独で聞こえるのではなくて、全体の響きの中に存在が見分けられる、といったあり方。絵の具が盛り上がったような絵画ではなくて、表面はつるっと平らなのに色調には陰影がある絵画のよう。
第3楽章、アレグロ。チェロから始まります。チェロのピツィカートの付点リズムがとても面白く印象的。ヴァイオリンやヴィオラも付点リズムを再現しますが、その間に他の楽器が響かせるゆらめくような旋律が繊細で美しい。

遺作となったフォーレの音楽は、意外にも、無調の音楽はすぐそこまで来ているのだな、と感じました。わかりやすい山場や見せ場といったものの少ない地味な曲を、見事にまとめた努力に拍手~です。

アンコールに演奏したハイドンの「皇帝」の第3楽章、メヌエットは、ぱっと窓が開いて外の景色が見えて来る感じ。やっぱりハイドンの弦楽四重奏曲はいいなぁ。

今回の定期演奏会、なかなか聴けないであろうフォーレの弦楽四重奏曲の実演に接することができたという点と、ハイドンの「五度」を楽しみ満足したことと、ベートーヴェンの初期の弦楽四重奏曲の意外な(?)難しさを認識したという点で、大きな収穫でした。山形弦楽四重奏団の皆さん、ありがとうございました。


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