電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ボロディン「弦楽四重奏曲第1番」を聞く

2006年10月24日 06時32分48秒 | -室内楽
ボロディンについては、これまでも何度か取り上げています。「化学者としてのボロディン(*1)」「音楽以外のボロディンの業績(*2)」などです。弦楽四重奏曲としては「夜想曲」の楽章を持つ第2番が有名なのでしょうが、第1番もなかなかの曲です。

ボロディンの弦楽四重奏曲、睡眠の音楽にしたり目ざめの音楽にしたり、作曲者が知ったらさぞや嘆くのではないかと思いますが、いろいろ試した結果、秋から冬にかけてのまだ薄暗い季節の目覚まし用にはベストの選曲だと思っています(^_^)/

第1楽章、モデラート~アレグロ。そっと優しく静かに始まります。中間の各パートの緊密でポリフォニックな対話の部分は、充実した音楽になっています。
第2楽章、アンダンテ・コン・モト。開始がやや悲しげですが、まどろみの中でうつらうつら聞いていると実に気持ちのいい美しさです。途中にロシアの大空のような劇的な下降音形もあり、ちょっとドキッとします。
第3楽章、スケルツォ、プレスティッシモ。活動的な楽章。このあたりになると、仕方がないなぁ、そろそろ起き出さないとなぁ、と思います。途中でヴァイオリンがハーモニクスで幻想的な雰囲気をかもし出しますが、思わず聞きほれてしまいます。
第4楽章、アレグロ・リソルート(決然と)という指示のとおり、ヴァイオリンからヴィオラ、そしてチェロへと、先行する楽章の主題を振り返りながら、やがて四つのパートが緊密・活発に対話する充実した音楽になっていきます。

全体を通じて、実によく歌うチェロの役割がとてもいい味を出しています。どうも私は、チェロが活躍するカルテットを好む傾向があるようです。

演奏はハイドン四重奏団、1993年10月、ブダペストのユニタリアン教会におけるデジタル録音、ナクソスの 8.550850 という型番のCDです。弦楽四重奏曲第2番が併録されていますが、両曲とも演奏・録音ともに優れたものだと思います。
■演奏データ
I=13'13" II=7'48" III=5'58" IV=10'38" total=37'37"

(*1)化学者としてのボロディン
(*2)音楽以外のボロディンの業績
(*3):ボロディン年譜
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2 コメント

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ボロディンの業績など (望 岳人)
2006-10-24 21:12:07
ボロディンの業績などまとめて拝見しました。参考になりました。それで下記のようなことを想起しました。本題とは無関係ですが、ご容赦を。



ロシア五人組は、それぞれ専門職を持っており、R=コルサコフは海軍軍人だったんですね。時代的に日露戦争とも重なりますからなかなか複雑です。



ところで、「ハイドン四重奏団、1993年10月、ブダペストのユニタリアン教会」というくだりを読み、そう言えば、バルトークがユニテリアンというキリスト教の一宗派の信者だったことも思い出しました。ブダペストにはそのような教会があるんですね。



ナクソスのこのCDを是非購入したいと思います。
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望 岳人 さん、 (narkejp)
2006-10-25 06:02:53
コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、ロシア五人組はそれぞれ別の職業(専門)を持っていたようです。その中で、ボロディンが幸福で充実した生活を送っていたと思われるのに、ムソルグスキーはかわいそうですね。音楽的には一番独創性があったように思うのですが。

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