評価 (3点/5点満点)
日常の様々な場面で、正しい主張とおかしな主張をしっかり見分け、適切な意思決定や指示出しができることが非常に重要です。
この本では、典型的なおかしな主張のパターンを4つ紹介するとともに、そうした主張に騙されないための心構えをお伝えします。
「論点がずれている」
「論理展開が間違っている」
「根拠・前提が間違っている」
「根拠が偏っている(バランスが悪い)」
逆に言うと、正しい主張は、論点に沿っており、論理展開が適切で、根拠に裏付けられ、根拠のバランスもよいのです。
瞬時に「これは何かおかしい」を気づく瞬発力、さらには適切に相手に対して切り返す瞬発力が、今の時代には非常に強く求められています。上記の4つのポイントに関して感度を高めましょう。
ロジカルシンキングの本では、フレームワークがよく登場しますが、「演繹法」と「帰納法」という古代ギリシャ時代から伝わる論理展開の基本中の基本に多くの紙面が割かれているのも、本書の特徴と言えます。
【my pick-up】
◎演繹法で気をつけるべきポイント-前提は省略されることが多い
重要な場面では、「これは、どういう前提のもとに言われているのですか」と聞くことを意識しておかないと、誤った結果を導いてしまいます。相手が省略した前提を、勝手に「おそらくこういう前提で言っているのだろう」と推測したのに、実際は全く違う前提であったというのはよくあることです。
◎帰納法で気をつけるべきポイント-観察事項が偏っている
観察事項の数が極端に少ないと、間違った結論につながる可能性が増大します。帰納法の大前提として、質・量ともに適切な観察対象を選ぶ必要があります。
◎「平均値」の落とし穴
私たちの意識の中では、「平均というのは真ん中くらい」「平均とは一般的な像」というイメージがあり、人数も多いと思ってしまいますが、保有資産などは、平均よりも下のほうが圧倒的に多いのが事実です(少数の裕福な人に平均値が引っ張られる)。保有資産では、平均値ではなく中央値のほうが実態に即した数値になるでしょう。数字だけではなく、度数分布図などをしっかり見ると、より実態がわかります。そのひと手間を惜しんでしまうと、間違った意思決定につながってしまうことがままあるのです。