評価 (3点/5点満点)
上場企業の経営者である著者が「悩み」について考え抜いた1冊です。
本書の冒頭は「私はここ20年以上、まともに悩んだことはない」という言葉から始まります。
・「どんなときも前向きがいちばん!」「考え込んでいないでまず動いてみよう!」といったポジティブ思考ではない。
・あらゆる悩みは「思考不足」からきている。問題に心を奪われ思考が停止したとき人は悩み始める。
・ひたすらウンウンと唸って脳内でぐるぐると考えを巡らせばいいわけではない。物事を考えるときには一定の「手順」や「型」を意識すべき。
インストールしてほしい「悩まない人の考え方」が紹介されています。
【my pick-up】
◎なぜマネジャーは「人」に働きかけてはいけないのか
世の中には「マネジメント=人を管理する仕事」という誤解がはびこっている。しかし、マネジャーはいきなり「人」に働きかけてはいけない。そこを間違えるから、マネジャーたちは悩むことになるのだ。マネジャーの仕事は「仕組み」に働きかけることだ。それぞれのメンバーにやる気があろうとなかろうと、その中で一定の成果が出る仕組みをつくれていれば、マネジャーは職務を全うしているといえる。逆に、どんなにやる気にふれたチームをつくろうと、成果が出ていないなら、その人はマネジャー失格である。
◎「他人の経験」をたくさん摂取する
「情報のせいで」先入観が生まれるわけではない。そうではなく「情報量が中途半端なせいで」先入観が生まれるのだ。自分の経験したことだけですべてを知った気になっているから、無意識的な前提に縛られ、どんどん悩みやすい体質になっていく。これを防ぐには、とにかく情報(=他人が経験していること)をインプットし続けることに尽きる。このとき、観察すべき人は「自分より成功している人」がいい。「自分より成功している人は、まだまだたくさんいる」という自覚があれば、学びをやめることはなくなるからである。「いまの自分はまあまあすごいのかも・・・」と思った途端、その人は先入観の檻に閉じこもり、成長を止めてしまう。「自分のやり方がいちばん正しい」と考えず、常に「自分よりうまくいくやり方」を探し続けよう。