厳選!ビジネス書 今年の200冊

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2016年164冊目『電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり』

2016-09-08 22:18:11 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

優秀な上司は、目の前に山積した大仕事に意識を集中させています。小事を見る余裕などありません。そんな人間には、彼自身の助けとなる、即効性のあるサービスしか伝わりません。優秀な上司は、そうしたリアルなサービスを瞬時に行ってくれる人間しか評価しないし、優秀な部下はそのことを知っています。優秀な部下は、やがて優秀な上司となり、優秀な部下を見つけて重用します。織田信長のゾウリを温めて偉くなった豊臣秀吉が、温度の違う茶を3回出した石田三成を重用したのは、そういうことです。

こうした、能力の高い人のハートに刺さる、分かりやすいリアルなサービスを、この本では「戦略おべっか」と呼んでいます。「おべっか」は「気くばり」と言い換えてもいいでしょう。「戦略気くばり」ができる人とできない人とでは、出世や収入が違います。それは何も戦国の世に限った話ではないのです。

戦後の困難な時期に電通社長を務め、有名な「電通・鬼十則」を作った吉田秀雄氏は気くばりの達人であり、その教えに従った電通マンの気くばりと腰の低さによって、電通を世界最大の広告代理店にまで押し上げたのです。

電通の営業がクライアントを誘うのは部長か部長代理ばかり。一方、博報堂の営業は決裁権のない若い部員でも誘う。競合プレゼンで、博報堂の方がいいアイデアを持って来ても、たいていの場合電通の方に行ってしまう。

本書は、実力ある年長者に取り入って出世し、少しでも格差社会の上に這い上がろうと考えている健全な野心家のためのノウハウ本です。普通のマナーしか知らない連中を出し抜き、競争に勝ち抜くための具体的な方策が並んでいます。

・「戦略気くばり」は実はビジネス界のグローバル・スタンダード。欧米の経営者たちは、気くばりをある種の自己主張として、日本以上に評価する傾向にある。

・「戦略気くばり」にハートは要らない。要るのは、相手の歓心を買うための冷徹な計算だけである。

人間、結局のところは「情」だということでしょうか。人と人が接するリアルな世界での気づかいに欠けると言われる若い社員に、本書で書かれているような諸先輩の涙ぐましい努力を知ってもらいたいですね。

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