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働く君に贈る25の言葉 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2010-10-21 |
評価
(4点/5点満点)
東レ経営研究所の前社長で現在は特別顧問である佐々木常夫さんが、20~30代の若いビジネスマンに向けて、これまでの人生のなかでつかみ取ってきた、幸せに働き、幸せに生きるための「エッセンス」をまとめているのがこの本です。
そのエッセンスのポイントは自分を磨くこと。そして仕事こそが私たちを磨き上げてくれるものなのです。
佐々木さんは「ワーク・ライフ・バランス」(本書では「ワーク・ライフ・マネジメント」という言葉を使用)のシンボル的存在として、これまで数多くの著書を出されていますが、なるべく早くがむしゃらに働く時期を経験し、その中から自分の将来の方向性や、仕事の効率化のアイデアを掴んでほしいと思います。
【my pick-up】
◎「目の前の仕事」に真剣になりなさい。きっと、見えてくるものがある。
世の中には「食べるため」に仕事をすることを一段低くみる人もいます。たしかに、仕事には「食べるためだけ」以上の意味があり、もっと深い喜びを与えてくれるものです。しかし、それはあくまで、自分の稼ぎで生活できるようになった人にもたらされるものです。決して、「生活のために働く」ことを軽視してはなりません。
◎欲をもちなさい。欲が磨かれて志になる。
いい仕事をし、いい人生を送るためにもっとも大切なのは志です。しかし、それは、壁にぶつかって、痛い目にあいながらつかみ取っていくものです。
欲がなければ、壁にぶつかることもありません。欲があるから、やりたいことがあるから、人は思いっきり壁にぶつかることができるのです。つまり、欲が磨かれて志になるのです。
◎君は人生の主人公だ。何ものにもその座を譲ってはならない。
私に言わせれば、日本の長時間労働は、単に惰性でダラダラ働いているだけというケースが大半です。本当は「家族」や「趣味」も大事にしたいと思っているのに、仕事だけで疲れ果ててしまっている。これは、悲劇ですよ。
君も無防備に働き始めれば、その渦に巻き込まれてしまうでしょう。しかも、若いうちに身に付けてしまった働き方を、歳をとってから変えるのは至難の業です。
だから、できるだけ若いうちに自分にとって大切なものを見極めて、そのために仕事をコントロールする意思を固めてください。その意思さえしっかりしていれば、仕事を効率化するノウハウなどいくらでもあります。
◎3年でものごとが見えてくる、30歳で立つ、35歳で勝負は決まり。
35歳の時点で昇進・昇格にそれほどの差がつくことはありません。しかし、それは外形上のことです。言い過ぎかもしれませんが、その人の立つ位置は35歳でほぼ決まっているのです。
35歳にもなると、その人の「人生観」「仕事のやり方」「コミュニケーションの仕方」などの方向性が固まってきます。その人が一生かけて到達する地点は、その方向性の延長線上にあるといっていいでしょう。
◎プアなイノベーションより、優れたイミテーションを。
自分の「オリジナル」などにこだわるのは愚かなことです。プアなイノベーションのためにムダな寄り道をするのは賢明ではありません。むしろ、優れたイミテーションを積み重ねた先に優れたイノベーション、すなわち、君独自の「やり方」が生まれてくるのです。
◎事の軽重を知る。それが、タイムマネジメントの本質だ。
かつて、私を「手抜きの佐々木」と称した上司がいましたが、私はこれを〝褒め言葉〟として受け取っています。仕事は結果を出すことが目的です。丁寧にやることが目的ではありません。しかるべきところでは、手を抜くべきなのです。
ただし、手を抜くところを間違えてはなりません。大切なのは、「どの仕事が重要なのか」を正しく見極めることです。つまり、「事の軽重」を知ることが仕事のキモなのです。
◎人を愛しなさい。それが、自分を大切にすることです。
仕事に結果をもたらすのは、能力というよりも熱意です。そして、熱意を生み出すのは、一緒に働く人たちとの間の信頼関係であり、「その人たちのことが好きだ」という気持ちなのです。