行徳生活日記

「行徳雑学館」作者の日記。

2011年1月6日(木)の日記

2011年01月06日 | 日記

今日は寒の入りだそうだけど、朝から寒かったからウールのコートで行く。帰りの時間は北風が強くなっていっそう寒いからウールのコートで正解だった。 

正月休み明けの再開が多少遅れた南行徳メトロセンターのとんきも、無事再開していた。

じゃあ、ここで食べようということにする。チキンカツ定食を食べる。

 

今日は正月休みの間に録画した番組を見る。ファミリー劇場でやっているデジタルりマスター版の「ウルトラセブン」。今回は第37話「盗まれたウルトラ・アイ」。

小学生のときは辛気臭い話としか思わなかったが、高校ぐらいに再放送を見て深みのある話であることに気付き、初期ウルトラを見直した作品のひとつ。そうした作品の代表は実相寺昭雄監督作品だが、「盗まれたウルトラ・アイ」は実相寺作品ではなく、脚本・市川森一、監督・鈴木俊継の手になる。

また、ウルトラセブン後半には着ぐるみの怪獣・宇宙人が登場しない作品が3本ほどあるが、これはその1本。小学生のときに面白いと思わなかったのは、そのせいもある。出てくるのは地球人の姿と変わらない宇宙人の少女だけ。

地球を恒星間弾道弾で破壊しようとするマゼラン星の工作員で、ウルトラセブンの力を封じるためにモロボシ・ダンからウルトラ・アイを奪う使命を帯びてやってきたが、仲間に見捨てられてしまう。劇中で名前は全然、出てこないが、怪獣・宇宙人図鑑などでは
「マゼラン星人マヤ」
となっている。想像するに、脚本では単に「少女」とかになっていたのだろうけど、怪獣・宇宙人図鑑に載せるときに名無しの権兵衛では困るので、あとから名前を付けたのだと思う。そういえば、帰ってきたウルトラマンも劇中では単に「ウルトラマン」と呼ばれていたが、10年ぐらい(だったと思う)経ってから「ウルトラマンジャック」という名が付いた(なので、いまだにこの名前に馴染めない)。

着ぐるみ怪獣・宇宙人が出ない話ができたのは、後にウルトラセブン製作の舞台裏を描いたドラマや、ウルトラ関係の出版物で、製作の台所事情は意外と苦しく、どうしても予算が出なかったためだと知った。

モロボシ・ダンと少女は宇宙人どうしのテレパシー会話をするので、俳優は表情だけで演技する。ウルトラセブンは登場するが、恒星間弾道弾の巨大ミサイルを光線で破壊するのではなく、中に飛び込んで装置を操作してミサイルの向きを逆転させることしかしない。まるで特殊な任務を行なう隊員のようだ。つまりは、ほとんどが登場人物たちのドラマとして描かれたものなのだ。

高校生のときにこのエピソードを再放送で見たが、それは1977年(昭和52年)か1978年(昭和53年)のころ。これを見て、ウルトラを見直すと同時に、日本にも登場人物のドラマで見せる特撮作品が生まれてくることを期待した。

自分の年代は、小学生に入る少し前から特撮やアニメがテレビでやっていたから、そういうものを見るのは当たり前のことになっていた。中学生ぐらいになると、特撮やアニメでヒーローものでない、大人のドラマ(それぐらいの年代なら恋愛ものを一番期待するのだが)を見たいと思うようになる。中学生のころにはアメリカのSFドラマの「スタートレック」(そのころ日本では「宇宙大作戦」のタイトルでやっていた)を見て、超人ヒーローが出ず、登場人物のドラマで見せる特撮作品であることに衝撃を受けた。思い出すと、小学生のころにはイギリスの製作会社の作品で、特撮人形劇の「サンダーバード」もやっていた。これも、超人ヒーローが事件を解決するのではなく、ハイテクメカを操るとはいえ、ふつうの人々が繰り広げるドラマだった。スタートレックにはふつうの人(あるいは地球人)より、部分的にすぐれた能力を持つ登場人物が出てくるが、他の部分が欠けていたり、また決して無敵の存在というわけではなく、むしろ能力のバランスが異なるだけで、ふつうの人の範疇に入っている。

日本でも時代劇なら、超人的ヒーローが活躍する勧善懲悪もののあれば、ふつうの人々のドラマもある。暴れん坊将軍や桃太郎侍、水戸黄門の一行などは、並外れた強さを持ち、毎回ほぼ同じパターンの展開で悪を懲らしめる、まさに超人的ヒーローだ。それに対して、ふつうの人々のドラマで見せる時代劇というと、代表的なものはNHK大河ドラマだろうし、それ以外にも、ふつうの人が主人公の時代劇はいろいろとある。

アニメなら、変身したり、巨大ロボットを操ることで常人以上の力を手に入れるような、そうした超人ヒーローものが多くある一方で、ふつうの人々が協力して試練や危機に立ち向かうドラマを「宇宙戦艦ヤマト」がやってくれた。これも自分が中学生のころだった。もっとも「ヤマト」が自分も含めた当時の10代に受けた一番大きい要因は、恋愛ドラマを取り込んだことにあると思うが。

だから、日本のアニメ、外国の特撮作品では、超人ヒーローでないふつうの人々のドラマがあるのだから、日本の特撮ではいつになったら、そんな作品をやってくれるのかと思っていたのが高校生の頃。そうしたときに「盗まれたウルトラ・アイ」を見て、その内容に驚き、日本の特撮界も大人のドラマを作る力があると確信し、超人ヒーロー抜きの見ごたえのある特撮ドラマがきっと出てくると期待した。

それからもう30年以上経つが、ふつうの人々のドラマで見せて、見ごたえのある日本製特撮作品はいまだに出てこない。いや、すべての特撮作品をチェックしているわけではないから、どこかに隠れた作品があるかもしれないが、少なくとも広く世の中に支持されてヒットした作品はないようだ。何かそうしたものを一度は見たいと思うのだが。

(追記)
登場人物のドラマをきっちり描いた特撮作品というと、ずっと以前の作品なら映画「ガス人間第一号」だろう。(→2010年1月10日の日記
もっと最近見た作品だと映画「クローンは故郷を目指す」。(→2009年1月17日の日記
どちらも特撮を脇に徹しさせて、登場人物をしっかりと描こうとする作品だった。
でも、「クローンは故郷を目指す」はけっこう高く評価されたようだけど、そんなにヒットしたというほどでもないようだ。