日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「この時代を享受して」。

2009-11-05 14:11:40 | 日本語の授業
 これからの一週間ほどは、「寒気」もお休みに入る…そうです。本当でしょうか。
まあ、それはともかく、今朝は爽やかに明けました。「久しぶりの秋。爽快なり」という感じです。

「流れゆく 木の葉のよどむ 江にしあれば 暮れての後も 秋の久しき」(源実朝)

 こういう「歌」を読んだあと、確かにその「風景」を、心に描くことはできます。しかしながら、それは借り物の「心の風景」である…だけだと思います。実際にどれほどの人が、入江に流れ来たった黄や紅の木の葉を見つめ、「秋」という時間を永遠のものから切り取り、また切り取れたからこそ、それを永遠のものに出来たというのでしょうか。

 確かに、それさえも出来ないということに比べれば、まだマシではあるのでしょう。とは言いましても、それは写真や映像からの借り物に過ぎないのです。誰かが、その光景を見、感動して、シャッターを切った。その人の心を通して、私がその人の感動のおこぼれを頂戴しているだけなのです。本来ならば、自分の、この目で見て、そして「歌」と重ね合わせて然るべきものなのでしょうが。

 思えば、現代に生きる我々は、映像からの借り物が増えすぎました。「見たことがあるような」気になっているものが多すぎます。「体験の重要性」が叫ばれるのも、宜なるかなです。

 とはいえ、世界は広い。小さな日本ですらも、こんなに広い。

 科学が発達した時代に生まれたせいで、失われてしまったことも確かに多いけれども、享受させてもらえることも、また多いのです。

 愚痴などこぼさずに、この時代に生まれたことを感謝して、そしてこの時代でなければ、出会えなかったであろう人々との出会いに感謝して、今日も頑張ることにいたしましょう。

日々是好日