ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

旅~軍艦島(8)

2013年08月29日 01時36分04秒 | 長崎
船はスピードを上げぐんぐん軍艦島から遠ざかる。



きっともう2度と来ることは無いだろう。
そして自然崩壊はますますすすむ。
今の状態を見ることは今しかできない。
これから来る人はまたどこか違った軍艦島を見ることだろう。
永久保存なんてする必要は無い。
みんなが見たいのは崩壊しつつある島。
化石の島ではなく生きていた島そして死につつある島なのだ。



産業遺跡は遠い歴史の話ではなくごく最近の話。
同じ年代の、あるいはお父さんやお母さんの、あるいはおじいさんやおばあさんのころの話。
それだけに訪れた人に強く何かを訴える。
その何かは見る人によって皆違うだろう。
この長崎で生まれ育った人間には産業遺跡としてだけでなく、
幼い頃の思い出がよみがえってくる。

端島は端島だけで生きていた。
生活は厳しかったけど豊かだった。
それで長崎市との交流はあまり無く、
行く機会もなかった。
端島から転校してきたかわいい女の子に端島の話を聞いて、
行きたいなぁ・・・と、とってもあこがれていた島。
今その島が崩壊している。
夢を残し、夢を閉じ込めて、このままそっと眠ってほしい。



船は高島を通る。
かっては人工は1万人以上、端島以上に賑わっていた島。
今では学校は小学校と中学校がいっしょになり、小学生は10人、中学生は1人。
廃校間近だ。



そして伊王島を過ぎる。
端島・高島・伊王島
このかっては同じ炭鉱で賑わった3つの島を見ると、今の里山とダブって見えてくる。
端島は廃村になった村、ジャングルになり自然に戻っていくように、
崩壊は進み、堤防は壊れ、やがてもとの岩礁に戻っていく。

伊王島は再生中の村。
田舎暮らし派の人がきたり、ペンションや民宿ができて、都会の人がリゾートや体験農園にやって来るような、そんな感じの村。
橋で陸続きになりそれなりに生きていけるだろう。

しかし高島は・・・廃村間近の限界集落。
過疎と高齢化。
将来無人島になるのだろうか。
それとも細々と生き残るのだろうか。
でもそれだからこそ何とか再生してほしいなぁ、と思う。
それでついついいろんなことを考える。
今は長崎港が端島観光の基地になっている。
これを高島にしよう。
端島見物客はまず高島に行く。
そして高島を見物しよう。
高島の歴史は端島よりももっと古い。
長崎の観光地グラバー邸のあのグラバーが開発に関わった高島炭鉱。
これを売り出そう。
そして道の駅ならぬ海の駅を作りみやげ物や新鮮な海産物を売る。
端島は無人島。
端島の土産は何にも無い。
船の中で端島のTシャツなどを売ってたけど、買ってる人はあまりいなかった。
ありきたりだけど、軍艦島饅頭、軍艦島煎餅、軍艦島弁当、軍艦島焼酎・・・なんでも売ったらいい。
端島に上陸できるのは年間の3分の1。
高島は人が住んでるのでもう少し上陸機会は多いだろう。
それで高島に宿泊して端島上陸を待つ。
そんな施設もほしい。
端島は廃村になったけど高島は何とか生き延びてほしい。
コメント
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