今日は病院に行くのが午後3時半からというので、朝からは加太に行こうと思っていたがあいにくの荒天だ。早朝は雨でその後は北西の風が強く吹いてきた。10月は中頃まで暑い日が続いていたが、知らぬ間に完全な冬型の天気が現れるようになった。
ちょうどいい機会なので大きい方の船のオイル交換をしておいた。
今回はエレメント交換をしないので楽勝だと思っていたら船の揺れがひどく意外と困難な状況になってきた。オイル缶からポットにオイルを入れている間も手元が狂いそうだ。缶の中の分量が半分ほどになっていて軽くなっているからまだ楽だが、これが満タン入っていたらえらいことだった。
オイルを注入している間も船は揺れ、中腰になって足を踏ん張っているとそれだけで足が痛くなる。おまけに船酔いまでもよおしそうだ。
まあ、それでもホースを使い捨てにしたことで作業は格段に楽になった。オイルを漏らしてデッキを汚すこともなく30分ほどで作業を終了。
揺れる船内では写真を撮る暇もなく今回は文字だけ。
午後からはまた病院へ。
今日は大腸のガンを手術する段取りの説明をしてくれるという、はずであった。
予約時間は午後3時半ということだったので15分前に病棟まで行く。そこで母親と待ち合わせて声がかかれば診察室まで移動するという段取りらしい。
母親はいたって元気で、本当なら看護士が待ち合わせ場所まで連れてくるらしいのだが、家族が来ているはずだと自分で勝手にやってきた。それに加えてよくしゃべる。あごの骨が4分の1なくなっている人とは思えない。顔も見た目にはまったくといっていいほど歪んでいないのでホッとした。
そこから1時間半、まったくお呼びがかからない。途中でナースステーションに確かめるが、消化器外科は忙しいようなのでもうちょっと時間がかかりそうという。
しかし、そんなこと言われながらすでに午後5時、これは忘れられているのではないかともう一度ナースステーションにかけあうと、すぐに行ってくださいとのこと。ここでかすかな疑惑が生まれた。
下の階にある診察室に行くと、すぐに呼ばれて診察室へ。下でも待ってもらわないとだめですよ言われたのにすぐにお呼びがかかるというのはやっぱり忘れられていたのじゃないだろうかという疑惑は膨らむ。ほかにもまだ待っている人たちがいるなかで先に呼ばれるということは、この列とはまったく関係のないところで診察してもらえるはずだったのがどちらかの不手際での連絡ミスがあったに違いない。
診察が始まり、医師の最初の一声が、「退院の日は決まっていますか?」であった。もちろんそれは聞いていないし、そもそも、転科をして入院したまま次の手術に入るかもしれないと聞いていたのでその旨を伝えると、「そんなことは絶対にありえない。この病院のシステムでは緊急の手術でないかぎり、診療科が変わると一度退院して3日空けて再入院してもらわなければならない。」という。
じゃあ、「同じ病院ないのだからそういう連絡ってそちらでやってくれないんですか?」と聞くと、「うちも困っているんですよ~。向こうが何も伝えてくれないからね~。」と他人事のようだ。加えて、「資格が違うからね~。向こうと・・。」と言う。歯科医と普通の医者というのはランクが違うというのはよく聞くが、それを露骨に言っているように聞こえる。
向こうがお膳立てをしてくるのが当然だと思っているのだろう。だから、午後3時半から受診の患者が来ていないという連絡をしてくれなかったに違いない。
「向こうがそんなのだから手術の予定も立てられない、どんどん予定は埋まっていくからどんどん先になる。」なんて恐ろしいことまで言う。それはすべて口腔外科が悪いのだと言わんばかりだ。
「今日は何も決められないのでとりあえず手術に耐えられるという結果が検査で出ていますとだけ伝えます。」で終わってしまった。
僕もだんだんとイライラしてきて、じゃあ、今聞いたこと全部口腔外科で確かめてきますと啖呵を切って診察室を後にした。
自分の権威を振りかざしたいがために人の命をもてあそんでいるようにしか思えない。
それなりの数のクレーマーを相手にしてきた身からいうと、同じ組織の中で別の部署の悪口をクレームの相手に言うというのはリスク管理としては最低の行動だ。僕が本気でクレームを言ったら必ずそこを突くことになる。一瞬で信用を失くす秘孔のようなものだ。
病棟に戻って担当医を呼んでもらって、聞いてきたことを説明すると、「そうだったんですか・・。」と頼りない回答。「消化器内科を紹介したのが直近だったもので・・。」とあんまり要領を得ない説明だった。
とにかく連絡を取り合ってもらってよろしくお願いしますと言ってはみたものの、不安が残る。
病院の中でも歯科というのはかなり特殊というか、浮いているというか、下に見られているというのは事実のようだ。この大学には歯学部というのはないのでこの科の医者たちは全員生え抜きではなく外様であるという点がかなりな要因を占めていて、さらにランクの問題が追いうちをかけているに違いない。だから消化器外科医は口腔外科医を相当見下しているに違いないと思うのだ。
可愛そうなことに、わが社の外商顧客の入会基準も歯科医と医師では点数に差をつけられているので悲しいかな、世間一般の認識もそうなのかもしれない。そして、窓際の僕もそういうことになぜだか同情の念を覚えずにはいられない。
面白いことも聞いた。口腔外科と消化器外科(ここでは第2外科というそうだが)では患者の扱いが違うらしい。
消化器外科というのは患者があふれていて、次の患者を受け入れるためにすぐに退院させようとするそうだ。対して歯科の受診で病院にくる人なんてけっこう少ないらしくきちんと治るまで入院させてくれるらしい。
そこでも温度差が出来ているので、いつ退院するの?なんていう話になるようだ。まあ、あの健康そうな姿を見ると、いつまでここに居るの?って思う医師もいるのだろう。
とにかく、偏見と差別意識が人の命を左右しているといっても過言ではない。
じゃあ、僕は今のところどちらを信用しているかというと、歯医者のほうだ。少なくとも骨を削り取ったかどうかがパッと見でわからないくらいに仕上げてくれたし、そこはソ連のブルドーザーというところもあるのかもしれないが、母もまことに元気だ。
その点については、こんなことを思った。旧ソ連時代から運用されているソユーズというロケットはほとんど事故を起こさないそうだ。対してアメリカのスペースシャトルは大事故を起こす可能性があるという印象がある。実は、打ち上げの成功率はそれほど変わらないらしいが、事故の規模でいうとまったくスペースシャトルのほうが危なそうに思える。性能はともかく、故障しにくいという面ではソ連に軍配が上がる。あの仲人さんは60年後を踏まえてアメリカのブルドーザーではなく、ソ連のブルドーザーと評したのかもしれないのだ。
話は戻るが、十分傷が癒えてから退院すればよいと考えてくれているのも口腔外科に軍配を上げたくなる理由のひとつだ。
それに対して、消化器外科の医者は、まず見た目が悪い。不必要に太っているのだ。僕が会社で見てきた不必要に太っている人間というのは、異臭がするかすぐキレるかどちらかだった。それに、歯科の先生たちは全員必ず自己紹介をしてくれたが、太った医者はそんなこともなかった。どんな手術になるのですかと聞くと、「98%は腹腔鏡手術で、今回もそうなります。でも、それは簡単な手法というのではなく、それで確実に手術がおこなえるという確信のもとにやってます。」と、さも自分の技術がすごいのだよと喧伝するかのようだ。ほぼ、お経のように流ちょうにはなしているところをみると、同じようなことを聞く人がたくさんいて、腹腔鏡手術というのは簡単な手術だという人もいたのだろう。そんなことを言われるとこの人のプライドが許さなかったということだ。
総合すると、僕たちがイメージする大学病院の医者そのものというのがこの医者である。
こっちは医師を選ぶ権利はないので、脳細胞が脂肪細胞に入れ替わっていないことだけを望むのみだ。
現代の手術というのは、チームでおこなわれるので、よほどのことがないかぎり失敗ということにはならないそうだ。「私”達”、失敗しないので・・」というのが真実なのだそうだ。そういう意味ではひとりくらい脳細胞に脂肪細胞が混ざっていてもきっと大丈夫なのだろう。
などと、アホみたいなことを書いていられるのも今のうちだけかもしれない。
ちょうどいい機会なので大きい方の船のオイル交換をしておいた。
今回はエレメント交換をしないので楽勝だと思っていたら船の揺れがひどく意外と困難な状況になってきた。オイル缶からポットにオイルを入れている間も手元が狂いそうだ。缶の中の分量が半分ほどになっていて軽くなっているからまだ楽だが、これが満タン入っていたらえらいことだった。
オイルを注入している間も船は揺れ、中腰になって足を踏ん張っているとそれだけで足が痛くなる。おまけに船酔いまでもよおしそうだ。
まあ、それでもホースを使い捨てにしたことで作業は格段に楽になった。オイルを漏らしてデッキを汚すこともなく30分ほどで作業を終了。
揺れる船内では写真を撮る暇もなく今回は文字だけ。
午後からはまた病院へ。
今日は大腸のガンを手術する段取りの説明をしてくれるという、はずであった。
予約時間は午後3時半ということだったので15分前に病棟まで行く。そこで母親と待ち合わせて声がかかれば診察室まで移動するという段取りらしい。
母親はいたって元気で、本当なら看護士が待ち合わせ場所まで連れてくるらしいのだが、家族が来ているはずだと自分で勝手にやってきた。それに加えてよくしゃべる。あごの骨が4分の1なくなっている人とは思えない。顔も見た目にはまったくといっていいほど歪んでいないのでホッとした。
そこから1時間半、まったくお呼びがかからない。途中でナースステーションに確かめるが、消化器外科は忙しいようなのでもうちょっと時間がかかりそうという。
しかし、そんなこと言われながらすでに午後5時、これは忘れられているのではないかともう一度ナースステーションにかけあうと、すぐに行ってくださいとのこと。ここでかすかな疑惑が生まれた。
下の階にある診察室に行くと、すぐに呼ばれて診察室へ。下でも待ってもらわないとだめですよ言われたのにすぐにお呼びがかかるというのはやっぱり忘れられていたのじゃないだろうかという疑惑は膨らむ。ほかにもまだ待っている人たちがいるなかで先に呼ばれるということは、この列とはまったく関係のないところで診察してもらえるはずだったのがどちらかの不手際での連絡ミスがあったに違いない。
診察が始まり、医師の最初の一声が、「退院の日は決まっていますか?」であった。もちろんそれは聞いていないし、そもそも、転科をして入院したまま次の手術に入るかもしれないと聞いていたのでその旨を伝えると、「そんなことは絶対にありえない。この病院のシステムでは緊急の手術でないかぎり、診療科が変わると一度退院して3日空けて再入院してもらわなければならない。」という。
じゃあ、「同じ病院ないのだからそういう連絡ってそちらでやってくれないんですか?」と聞くと、「うちも困っているんですよ~。向こうが何も伝えてくれないからね~。」と他人事のようだ。加えて、「資格が違うからね~。向こうと・・。」と言う。歯科医と普通の医者というのはランクが違うというのはよく聞くが、それを露骨に言っているように聞こえる。
向こうがお膳立てをしてくるのが当然だと思っているのだろう。だから、午後3時半から受診の患者が来ていないという連絡をしてくれなかったに違いない。
「向こうがそんなのだから手術の予定も立てられない、どんどん予定は埋まっていくからどんどん先になる。」なんて恐ろしいことまで言う。それはすべて口腔外科が悪いのだと言わんばかりだ。
「今日は何も決められないのでとりあえず手術に耐えられるという結果が検査で出ていますとだけ伝えます。」で終わってしまった。
僕もだんだんとイライラしてきて、じゃあ、今聞いたこと全部口腔外科で確かめてきますと啖呵を切って診察室を後にした。
自分の権威を振りかざしたいがために人の命をもてあそんでいるようにしか思えない。
それなりの数のクレーマーを相手にしてきた身からいうと、同じ組織の中で別の部署の悪口をクレームの相手に言うというのはリスク管理としては最低の行動だ。僕が本気でクレームを言ったら必ずそこを突くことになる。一瞬で信用を失くす秘孔のようなものだ。
病棟に戻って担当医を呼んでもらって、聞いてきたことを説明すると、「そうだったんですか・・。」と頼りない回答。「消化器内科を紹介したのが直近だったもので・・。」とあんまり要領を得ない説明だった。
とにかく連絡を取り合ってもらってよろしくお願いしますと言ってはみたものの、不安が残る。
病院の中でも歯科というのはかなり特殊というか、浮いているというか、下に見られているというのは事実のようだ。この大学には歯学部というのはないのでこの科の医者たちは全員生え抜きではなく外様であるという点がかなりな要因を占めていて、さらにランクの問題が追いうちをかけているに違いない。だから消化器外科医は口腔外科医を相当見下しているに違いないと思うのだ。
可愛そうなことに、わが社の外商顧客の入会基準も歯科医と医師では点数に差をつけられているので悲しいかな、世間一般の認識もそうなのかもしれない。そして、窓際の僕もそういうことになぜだか同情の念を覚えずにはいられない。
面白いことも聞いた。口腔外科と消化器外科(ここでは第2外科というそうだが)では患者の扱いが違うらしい。
消化器外科というのは患者があふれていて、次の患者を受け入れるためにすぐに退院させようとするそうだ。対して歯科の受診で病院にくる人なんてけっこう少ないらしくきちんと治るまで入院させてくれるらしい。
そこでも温度差が出来ているので、いつ退院するの?なんていう話になるようだ。まあ、あの健康そうな姿を見ると、いつまでここに居るの?って思う医師もいるのだろう。
とにかく、偏見と差別意識が人の命を左右しているといっても過言ではない。
じゃあ、僕は今のところどちらを信用しているかというと、歯医者のほうだ。少なくとも骨を削り取ったかどうかがパッと見でわからないくらいに仕上げてくれたし、そこはソ連のブルドーザーというところもあるのかもしれないが、母もまことに元気だ。
その点については、こんなことを思った。旧ソ連時代から運用されているソユーズというロケットはほとんど事故を起こさないそうだ。対してアメリカのスペースシャトルは大事故を起こす可能性があるという印象がある。実は、打ち上げの成功率はそれほど変わらないらしいが、事故の規模でいうとまったくスペースシャトルのほうが危なそうに思える。性能はともかく、故障しにくいという面ではソ連に軍配が上がる。あの仲人さんは60年後を踏まえてアメリカのブルドーザーではなく、ソ連のブルドーザーと評したのかもしれないのだ。
話は戻るが、十分傷が癒えてから退院すればよいと考えてくれているのも口腔外科に軍配を上げたくなる理由のひとつだ。
それに対して、消化器外科の医者は、まず見た目が悪い。不必要に太っているのだ。僕が会社で見てきた不必要に太っている人間というのは、異臭がするかすぐキレるかどちらかだった。それに、歯科の先生たちは全員必ず自己紹介をしてくれたが、太った医者はそんなこともなかった。どんな手術になるのですかと聞くと、「98%は腹腔鏡手術で、今回もそうなります。でも、それは簡単な手法というのではなく、それで確実に手術がおこなえるという確信のもとにやってます。」と、さも自分の技術がすごいのだよと喧伝するかのようだ。ほぼ、お経のように流ちょうにはなしているところをみると、同じようなことを聞く人がたくさんいて、腹腔鏡手術というのは簡単な手術だという人もいたのだろう。そんなことを言われるとこの人のプライドが許さなかったということだ。
総合すると、僕たちがイメージする大学病院の医者そのものというのがこの医者である。
こっちは医師を選ぶ権利はないので、脳細胞が脂肪細胞に入れ替わっていないことだけを望むのみだ。
現代の手術というのは、チームでおこなわれるので、よほどのことがないかぎり失敗ということにはならないそうだ。「私”達”、失敗しないので・・」というのが真実なのだそうだ。そういう意味ではひとりくらい脳細胞に脂肪細胞が混ざっていてもきっと大丈夫なのだろう。
などと、アホみたいなことを書いていられるのも今のうちだけかもしれない。