イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「開高健の名言」読了

2009年11月29日 | Weblog
谷沢永一「開高健の名言」読了
開高健の没後20年。続々と新刊が出てくる。
今度の本は谷沢永一の著作だ。
この人の名前を知っている人は少ないと思うが、ずっと昔。毎週日曜日の午後10時半から読売テレビで放送していた、「おもしろサンデー」という番組でコメンテーターをしていた人というと記憶のある人もいるのではないかと思う。当時は関西大学の教授をしてた。開高健とは10代からの付き合いで、作家を最もよく知る人の一人ではないだろうか。テレビでは話しぶりから優しそうな人のような印象であったが、著作からはそれとはまったく逆の印象をもってしまう人である。
たしか、開高健より1歳年上のはずで、御年80歳。開高健の業績を少しでも残しておこうという意気込みの著作のような気がする。盟友の向井敏は亡くなり、自分しかいないという気持ちであったのだろ。

内容は、開高健の著作の中から、ノンフィクションやエッセイの一部分を抜粋し、それに注釈を加えるというものだが、博物館の中に展示されている民芸品と同じく、それだけを抜き出してみても色があせて見えてしまう。言葉というものもやっぱり道具と同じなのだ、一連の動作の中で使われてこそそれが光ってくるのだろう。
開高健の名文をもってしてもそれは同じことのようだ。
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