鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

個人消費が上向かない本当の理由

2008-02-19 | Weblog
 日本には個人金融資産が1500兆円余ある。だから、国の借金800兆円あっても国全体としてはまだ余剰があることになり、恐れるに足りない、という議論がある。個人的には雲の上のお話で、数字的には確かにその通りかもしれないが、問題はその1500兆円余のほとんどが50歳以上の高齢者の手元にあり、安全確実な運用に回り、一向に消費に向かわないことだ。運用の最大の向かい先は海外の債券、投資信託で、円高にでもなれば一挙に利益も消し飛んでしまう。そうかといって国内は相変わらずの低金利で運用しようにも魅力的なものがなく、専ら海外逃避するばかりである。
 1500兆円余といっても平均5000万円の金融資産を持つ人が500万人、同1億円の人が100万人、同3億円の人が30万人、同3億円の人が10万人、同10億円の人が7万人いれば、その総資産はざっと500兆円になる。この他にも3000万円程度の人が1000万人、2000万円程度の人が3000万人、さrに1000万円程度の人が1000万人いると見られ、これらをトータルすれば1500兆円になるが、3000万円以下の人は住宅ローンなどの負債も同じ程度抱えているとみられ、消費に向かうお金を持っているのはは5000万円以上の金融資産を持つ人に限られることだろう。その大部分が50歳以上の人で、年金生活に入っている人も相当いることだろう。人生80年から90年とすると、先々の生活も考えなければならないし、子孫のためにもいくばくかの資産を残さなければならない。と考えると、この1500兆円余のうち消費に回る部分は極めて少ないだろう。
 中高年のいわゆるシニアマーケットを対象にした商品や雑誌がこれまで数多く発売されてきたが、ことごとく失敗してきている。いずれもが1500兆円余という数字に魅き寄せられ、そのおこぼれに与りたい、と目論むものであった。中高年といっても人様々で、ひとくくりにできない多様性を持っている。
 それと最大の誤算は1500兆円余がいつでも消費に回る、という幻想を抱いていることだろう。確かにGDP(国民総生産)の過半を占めるのは国内消費で、なんだかんだといってこれまで日本経済を支えてきたのは国内マーケットでの活発な個人消費であった。それが、いまや少子化で全体のパイが少なくなっているのと、期待の中高年のオフへの消費支出がパッとしない。
 中高年の消費が振るわないのは定年を過ぎて、決まった収入が見込めなくなったのに資産を減らして消費しよう、とするか、ということである。しかも日本の将来を考えたら、決して明るいものではない。福田康夫首相は相変わらずもたもたして、この日本をどうしよう、としているのか、さっぱりわからない。不安な将来に備えて、できるだけ貯えを残しておこう、という気持ちになるのは当然だろう。
 日本の個人消費を上向かすには何よりも将来に期待が持てるようなヴィジョンなり、夢があってのことだろう。少なくともいまの日本の状況はそうした事態に至ってない。
コメント (1)
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