鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

実話で楽しめる「アメリカン・ギャングスター」

2008-02-10 | Weblog
 9日は東京・渋谷で映画「アメリカン・ギャングスター」を観賞した。上映開始時間が11時40分だったので、おにぎりを作って(もちろんかみさんが)一番に中央通路前の座席を確保し、始まる前にペロッと食べてしまった。食後のコーヒーも飲んで、準備万端映画に見入った。出演者にデンゼル・ワシントンとラッセル・クローと出ていたことだけで見ようと思ったので、映画の冒頭、これは実話に基づくものである、との解説が出てより期待をもたせた。
 映画はベトナム戦争華やかななりし1960年代、ニューヨークを仕切っていた黒人のボスが射殺され、運転手兼ボディガードをしていたデンゼル・ワシントン演じるフランク・ルーカスは悲嘆にくれる。一方、麻薬捜査官リッチー・ロバーツを演じるラッセル・クローは捜査の途上で100万ドルの現金を押収し、くすねることなく正直に届けて、署内の顰蹙を買う。ニューヨーク市警では賄賂をもらったり、ギャングと意を通じている警官が当たり前だったので、逆に仲間はずれにされてしまう。
 主人公の2人はお互い交差することなく物語は進んでいくが、フランク・ルーカスがバンコックにいるいとこの米軍兵士に頼んで、麻薬の栽培地の支配者と渡りをつけ、高純度の麻薬を密かにニューヨークに持ち込み、「ブルーマジック」とのブランドで品質の悪いヘロインの半値で売り出し、一挙に市場を制覇してから、追う者と追われる者としてつながり始める。
 しかし、麻薬で大金を得たフランク・ルーカスは家族を呼び寄せ、大邸宅には移り住むが、派手で目立つことをしないため、なかなか捜査線上には浮かんでこない。暗黒街のなかでもボスとしては名前もないので、知られなかった。ところが、クリスマスの夜に妻から贈られた豪華な毛皮のコートを着て、ボクシングのチャンピオン戦を観戦に行ったことから、ニューヨーク市警の悪と善玉双方の知るところとなり、悪からは賄賂をせびられ、善からは麻薬取引のしっぽをつかもうと追いかけられることとなった。
 そして、ベトナム戦争が終わった段階で、いままで米空軍を麻薬を利用して運んできたルートがなくなることになり、最後に亡くなった兵士の棺のなかに仕込んで運ぶが、執拗に追うリッチー・ロバーツ警部の追及のもとに暴露され、フランクルーカスは礼拝に行った教会の前で最後は逮捕される。
 いままでの映画ならここで幕となるが、「アメリカン・ギャングスター」はここから舞台は暗転する。リッチー・ロバーツ警部はフランク・ルーカスにニューヨーク市警の腐敗ぶりを白状させ、汚職警官をすべて逮捕させ、代わりにルーカスの刑を軽くする。当初70年の懲役刑となるが、弁護士になったロバーツが弁護して結局15年の刑となり、1991年に出所したところで、映画は終わる。
 派手な打ち合いシーンこそ多くないが、実録ギャングものとしては面白く楽しめる作品であった。監督はリドリー・スコットでラッセル・クロウがアカデミー賞主演男優賞を獲った「グラディエーター」の監督でもある。監督というのは気の合った俳優を使いたがるものなのだ、と思った。また、演技力ではデンゼル・ワシントンのが上であると思うが、もっぱら正義派しか演じてこなかったデンゼル・ワシントンもギャングを演じるようになったのは年のせいか、とも思った。
コメント
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