鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

オペラというより歌舞劇「サロメ」

2008-02-04 | Weblog
 3日は雪の降りしきるなか、東京・初台の新国立劇場でのリヒャルト・シュトラウスのオペラ「サロメ」を見に行った。パンフレットを見ると、新国立劇場での「サロメ」の公演は4回目となっているが、なぜかサロメはバレーのような感じがしていて、見ようと思わなかった。雪にも拘わらず、ほぼ満員で、席は20列目の中央といい席。しかも丁度前の席が空いていて、ゆったりと見られた。
 序曲もなく、いきなり幕が開き、中央奥にアラビアを思わせる寺院をかたどったお城があり、その前に庭に円形の舞台のようなものが置いてある。そこへ王女サロメを慕う親衛隊の隊長ナラポートがやってきて、サロメを恋する心情を吐露する。そこへ現れたサロメは円形の舞台のような地下牢に繋がれた預言者、ヨハナーンに会いたい、と言い出し、ナラポートに連れてくるように命じる。
 地下牢の蓋を上げて、現れたヨハナーンは夫の兄であるヘロデ王に嫁いだサロメの母、ヘロディアスを強く告発し、気高い姿に惚れたサロメの愛を拒絶する。何度か、キスをさせてくれ、と迫るサロメが不自然に見えたのは演技力がないせいだろうか。
 そして、庭に出てきたヘロデ王がサロメに舞いを所望し、褒美になんでもかなえてやろう、という。サロメは7曲舞うが、オペラ歌手が舞うのはやはり無理がある。音楽には乗ってはいたが、踊りのスピードと切れにはやや見劣りがした。最後にバタフライ姿になったのにはハッとしたが、いいな、と思ったのは一瞬だけだった。
 褒美にはヨハナーンの首を欲しい、と言い、それには抵抗を示したヘロデ王も最後には聞き入れ、預言者を殺害してしまう。お盆に載ったヨハナーンの首を抱いて歓喜の歌を歌うサロメに驚いたヘロデ王は「その娘を殺せ」と叫び、衛兵に引き立てられて首をうなだれたところで、幕となる。あっけない終幕にやや物足りなさが残った。
 考えてみれば、ソプラノらしい独唱があまりなかったのも不満が残った。サロメは魔性の女とされているが、聖書によると、ヨハナーンの首を望んだのはサロメでなく、サロメの母、ヘロディアスとされている。リヒャルト・シュトラウスの解釈なのかもしれないが、サロメがヨハナーンに惹かれるところといい、判りにくいところがある。
 「サロメ」はオペラというより踊りが中心の歌舞劇といったところかもしれない。
コメント (1)
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