鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

東証ならぬトウキョー・ストップ・エクスチェンジ

2008-02-13 | Weblog
 東京証券取引所で8日から取引停止していたTOPIX(東証株価指数)先物3月限月物の取引が12日午前から再開された。1月に導入したばかりの新システムのプログラムの欠陥が原因で、IT先進国であるはずの日本でこんな事態が発生するようではただでさえ日本から去りつつある外人投資家の信用を損なうこととなりかねない。渡辺喜美金融担当相はにこりとすることなく無表情で「こんなことではトウキョー・ストック・エクスチェンジでなく、トウキョー:ストップ・エクスチェンジだ」と揶揄した。
 東証のシステムが機能不全になったのは今回が初めてではない。05年11月に株式売買システムを全面的に改修した際に朝から午後1時半まで全銘柄の取引を停止する、という前代未聞の事態が起きたのはまだ記憶に新しい。この時もプログラムの欠陥が原因だった、とされているが、いずれのケースも富士通のシステム開発のミスによるものといっていい。当時の東京証券取引所の社長が引責辞任し、今回も斉藤惇社長が「市場関係者に多大なご迷惑をかけ、深くお詫びする。速やかに再発防止策をとりまとめ、確実にお実行したい」と語ったが、メーカー頼みの姿勢が改まらない限り、同じようなことは再び起きることだろう。
 数日前にNHKの「クローズアップ現代」でソフトウェア危機を取り上げていたが、その中で昨年秋かにJRの自動改札機がある朝、突然作動しなくなり、始発から数時間乗客をフリーパスで通した事態が発生したことを報じていた。スイカの自動改札のシステムを作った機器メーカーのプログラムは80万行にも及ぶ膨大なもので、数100人がかりでテェックしたところ、有効期限の切れたスイカの処理を指示するところで、たった一言ミスがあり、それがストップした原因であった。
 手のひらに収まる携帯電話ひとつとっても中の回路に収められたプログラムは莫大なページにわたるもので。そのうちのほんの一言、1箇所でも間違いがあると、すべての携帯電話が使用不能に陥る、とも紹介していた。
 現代生活の身の回りの電子機器はいずれも電子回路によってコントロールされており、その背後には膨大な量のプログラムの集積があり、ミスだけでなく、ちょとした衝撃や外部からの力が加わっただけで動作不良を起こすことがあり、いついかなる事態にならないとも限らない。
 昔、イソップの童話になぞらえて、野原を進む羊が別れ道に来て、左右どちらの道にも全く同じ量の草がるとすると、その羊はどちらに進むのでしょうか、というクイズがあった。これをコンピュータにかけると、正解は「羊は判断を停止して動かなくなってしまう」だという。人間ならえいや、とどちらかに進むのだろうが、コンピュータはそうした判断ができない。コンピュータを過信するととんでもないことになる、ということか。
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