写真①:屋根に卯建が上がる町家が続く古風な町並み
=岐阜県美濃市で、2012年10月6日午前10時20分撮影
〈尾張・美濃・飛騨・町歩きスポット〉4
:和紙と卯建の町・美濃市
〈尾張・美濃・飛騨〉旅行3日目の10月6日は、岐阜県美濃市を訪れました。「和紙と卯建(うだつ)のまち・美濃市」を代表する「国選定重要伝統的建造物群保存地区」の卯建の上がる町並み=写真①=を散策するのが、この旅の楽しみの一つでした。
美濃市の町並みには、家々の屋根の両端、妻に立ち上がっている卯建の残る町家が、19棟あります。6棟ある福津市・〈津屋崎千軒〉の町並みの3倍以上で、〝卯建のまち〟の本場といえるでしょう。
美濃市の造り酒屋・「小坂家住宅」(国指定重要文化財)の母屋や酒蔵は、江戸期の築造で、屋根面がふくらんだ「むくり屋根」が珍しく、鬼瓦のない古風な飾りの卯建が立っているのが特徴=写真②=。棟にある小ぶりの煙出しも、卯建風に作られています。軒下には、割り竹を円弧状に曲げた「犬矢来(いぬやらい)」が設けられ、京都の町家を連想しました。
写真②:珍しい「むくり屋根」で、鬼瓦のない古風な飾りの卯建が立つ「小坂家住宅」
=6日午前9時35分撮影
「小坂家住宅」に入ると、江戸から続く造り酒屋の名酒=写真③=展示されており、「百春(ひゃくしゅん)」を購入。飲んだら、フルーティーで美味しい酒でした。
写真③:「小坂住宅」の名酒
=6日午前9時40分撮影
住宅内の見学もさせてもらったら、土間の台所に昔懐かしい竈=写真④=がありました。
写真④:「小坂住宅」に残る昔懐かしい竈
=6日午前9時40分撮影
次に訪ねたのは、和紙の原料商として栄えた旧「今井家住宅」・美濃史料館(入館料3百円)=写真⑤=。江戸中期の建物で、鬼瓦が小さく、シンプルな卯建や野太い格子など古風な町家です。長良川の中流域にある美濃の町は、良質の原料と清流の恩恵を受けた美濃和紙によって繁栄しました。
写真⑤:豪壮な和紙問屋として栄えた旧「今井家住宅」・美濃史料館
=美濃市泉町で、6日午前9時55分撮影
江戸末期には庄屋だったという旧「今井家住宅」の中庭には、江戸時代の文政年間に考案されたという「水琴窟」=写真⑥=が設けられており、ひしゃくで水を流すと涼やかな音があたりに響きました。
写真⑥:旧「今井家住宅」の中庭に設けられた「水琴窟」
=6日午前10時撮影
敷地奥にある「にわか蔵」には、街角を舞台に風刺劇を繰り広げる郷土芸能「美濃流し仁輪加(にわか)」の実演を人形で再現しています=写真⑦=。「博多にわか」と同じように、とんちを利かして美濃弁で世相を風刺する演芸が、本州の美濃にも残っているとは面白いですね。
写真⑦:人形で再現した「美濃流し仁輪加」の実演風景
=6日午前10時15分撮影
和紙の製造工程をミニチュアの家屋や人形で展示した「紙漉(す)く家」のコーナー=写真⑧=には、和紙の原料・楮(こうぞ)=写真⑨=もありました。
写真⑧:「紙漉く家」の展示コーナー 写真⑨:和紙の原料・楮
=6日午前10時15分撮影
「大石家住宅」の1階屋根には、「屋敷神様」を祀る木箱(防火の神棚)が置かれていました=写真⑩=。
写真⑩:「大石家住宅」1階の屋根に置かれた「屋敷神様」の木箱(防火の神棚)
=6日午前10時20分撮影
通りには、乗用車が格子戸の中に収められている町家=写真⑪=も見られ、統一された町並みの美観を損なわない気遣いがうかがわれ、感心しました。
写真⑪:格子戸の中に乗用車を収めた車庫
=6日午前10時20分撮影
おやおや、「十六銀行美濃支店」=写真⑫=までが町家風の建物です。
写真⑫:町家風イメージの「十六銀行美濃支店」
=6日午前10時25分撮影
町家の軒下には「馬つなぎ石」=写真⑬=も残され、馬で人や物を運んだ江戸時代から明治にかけての生活ぶりが目に浮かびました。
写真⑬:軒下に残る「馬つなぎ石」
=6日午前10時35分撮影
菓子店でお土産に買った煎餅には、卯建の町・美濃らしく、「うだつくん」の焼き印が付いています=写真⑭=
写真⑭:「うだつくん」の焼き印が付いた煎餅