吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2015年1月24日〈エッセー〉034:もう一つの「津屋崎ドラマ」

2015-01-24 07:07:52 | エッセー

 

写真①:福津市の古民家(「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」)で会うドラマの主人公・立川浩幸(28歳。松田翔太役)と花田福子(72歳。宮本信子役)

 

・連載エッセー『一木一草』

第34回:もう一つの「津屋崎ドラマ」

 

NHKドラマ『ここにある幸せ』放映17年前に

フジテレビ系列ドラマ『大丈夫です、友よ』が全国放映

  NHK福岡放送局が1月16日に総合テレビ(九州沖縄ブロック)で放映した平成26年度「福岡発地域ドラマ」『ここにある幸せ』(津屋崎物語)を見た熊本市の年配夫婦や、大宰府市在住の津屋崎ファンの男性などの観光客が、ドラマの主人公の立川浩幸(28歳。松田翔太役)が、福津市の古民家に独りで住む明るく話し好きな花田福子(72歳。宮本信子役)と出会う「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」=写真①=に23日、相次いで来訪。〈津屋崎千軒〉に住む70代以上の高齢者の間では、17年前放映されたもう一つの「津屋崎ドラマ」との比較が話題になっています。

  平成10年(1998年)、山田太一作、深町幸男(ふかまち・ゆきお)演出、市原悦子、藤竜也主演でフジテレビ系列で全国放映されたスペシャルドラマ『大丈夫です、友よ』です。テレビ西日本が発行した粗筋紹介の番組PRチラシ=写真②=の中で、脚本家の山田さんは〈津屋崎は風景がよく、昔のままの造り酒屋があり、電車の終着駅ということも気に入りました〉と語っています。その電車の終着駅・旧西鉄宮地岳線「津屋崎駅」は、平成19年(2007年)3月末に津屋崎―新宮間約10㌔が廃線になって取り壊され、跡地には住宅が立ち並び、跡形もありません。

  

写真②:テレビ西日本が発行した『大丈夫です、友よ』の番組PRチラシ(上段は市原悦子=右=と藤竜也)

  『大丈夫です、友よ』は、東京で目標を失った中年男(藤竜也役)が古里・津屋崎で中学の同級生の女性(市原悦子役)と再会、希望を取り戻す物語です。演出の深町幸男さんは、『夢千代日記』『あ・うん』などのテレビドラマを手がけたNHKの看板ディレクター。昭和62年(1987年)にNHKを退職後、民放のドラマも多く演出し、平成26年に亡くなりました。深町さんが『大丈夫です、友よ』のロケ地に松林のある糸島市を検討していることを知った柴田治・「津屋崎町街並み保存協議会」事務局長(平成14年他界)が、白砂青松の津屋崎海岸の美しさや〈津屋崎千軒〉の古い町並みをアピールし、津屋崎がロケ地に選ばれたという。

  NHK福岡放送局制作の『ここにある幸せ』は、演出の廣瀬正雄ディレクターがぶらりと「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」を訪れ、「藍の家保存会」代表として柴田治さんの遺志を継いで活動している妻の富美子さんから、治さんとのデートで渡の玄界灘に面した「恋の浦」の絶景ビュー・ポイントに連れていかれて感動したことや、津屋崎のまちづくりなどの話を聞いてロケ地に選ばれたという。

  『ここにある幸せ』では、人生を生き直したいと悩む東京で暮らしていた主人公、立川浩幸が、小学5年の同級生花田清の古里・津屋崎を訪ね、清の母福子に元気づけられるストーリーです。『大丈夫です、友よ』と共通するのは、家の造りなどに古さが残り、落ち着けるたたずまい、美しい海や田園風景に包まれた小さな港町で生き直すことを誓う筋立です。 

 『ここにある幸せ』をテレビで見た〈津屋崎千軒〉に住む70代以上の高齢者の間では、「須多田にある津屋崎古墳群の農道を歩いてすぐ、渡の恋の浦の絶景ビューポイントに出るシーンなど、違う場所が継ぎはぎされてドラマが作られており、実際のみちのりと違う。『大丈夫です、友よ』は、津屋崎の人間に分かりやすかった」、「福子が飲食店で夫との最期のエピソードを大勢の客に囲まれて話すのは、不自然」などの声も聞かれます。60分ドラマに編集する際、何かが省略されたのではないでしょうか。


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