弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

過払いビジネスの次は…

2009年09月18日 | 経験談・感じたこと
過払い金返還請求のバブル(?)が、もうすぐはじけると言われています。

原因は過払いになっている依頼者が減少していることと、過払い金を返還するはずの消費者金融が支払い原資が無くなってきていることのようです。

それを裏付けるかのように、本日、大手の消費者金融である「アイフル」が、事業再生ADRを申請し、金融機関からの借入について返済猶予を求めるようです。
アイフルの事業再生ADR申請に関するニュースへのリンク

いよいよという段階なのですかね。。。




ところで、私がよく見ているブログの中に、「企業法務マンサバイバル」というものがります。

ブログ主は結構法律本を色々読まれているようで、大いに参考にさせてもらっているのですが、本日の当該ブログの中で、過払い金で大きくビジネス展開していた某法律事務所が、次の一手として、「サービス残業手当回収ビジネス」を始めたこと、その電車広告がなされていたと記述されていました。


確かに、過払いビジネスは、
「取引履歴の開示」→「利息制限法による再計算」→「過払い金の回収」
という業務フローになるのですが、
サービス残業代金の場合、
「タイムカード等の開示」→「残業時間の計算」→「未払い賃金の回収」
という業務フローになると思われますので、比較的パラレルに置き換えることが出来るのではないかと思います。

その意味では、次のビジネスに繋がるのかもしれませんね。


ただ、消費者金融と違って、特に中小企業であれば実際に支払い原資があるのか疑問です(消費者金融は数年前まですごく儲かっていたこととは対照的です)。

また、(個人的にはこの点が重要だと思うのですが)未払い賃金を請求すると言うことは、会社に対して喧嘩を売るわけですから、果たして会社でそのまま勤務し続けることが出来るのかという視点を忘れてはいけないと思います。
(もちろん法律上許されるかどうかと言う問題はあるのですが、現実の問題、すなわち会社内で居場所が無くなる、嫌がらせを受ける、果ては解雇される等のリスクを考慮する必要があると思います。
私が大学で労働法を学んだとき、先生は確か「労働問題は労働法だけで解決できるものではない。紛争になったときは信頼関係が大きく揺らいでくるわけだから、その点を配慮しなければ、本当の解決は出来ない。法律論だけで解決を図ろうとするな。」という趣旨のことを強調していたように思います。)


未払い残業代の回収だけに目を向けてしまった場合、果たして労働者はその後どうなるのか?
その点を配慮して進めていかなければならないような気がしています。

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