リベルテールの社会学

生きている人間の自由とは、私の自由と、あなたの自由のことだ。そして社会科学とは、この人間の自由を実現する道具だ。

本のお薦め3件

2020-09-12 11:46:59 | 断片
 こんにちは。なんといっても今日は涼しく。ずうっと気分は悪いわ、動悸は打つわ、鼻水は出るわで、あやうく死ぬところだった。「わ」は終助詞ね。鼻水は新しいアレルギーかな。ともかくなんとか夏は乗り切ったもよう。
 といって、冷房下でこもっていたもので、俗世間はもとより自然界の今もよくわからない。野菜があいかわらず5割高で推移してるのは知ってますが。ジャガイモは安くなってきたよ。
 
 さて、コロナも一通り日常化して、そろそろ資本主義者の大好きな「再構築」の季節が始まったようです。リストラね。Restructuring 。皆様、大丈夫? コロナ禍とりあえず乗り切ってもそうそう長くもつものではなく。とくに飲食系の人には、困ったことです。そんなになくして困らない職業だったら、要る仕事をみんなで分ければいいのに。みんな楽になるし。
 
 今日はネット見てたらわけわかんない記事が。
 「子育て費に世帯の6割が第1子を“産めない”現実…32歳コンサル男子の悲鳴」(西山 里緒)。(題、ちょっと意味不明。)
 西山氏が、記事にしてくれと言われた話で
 「複数の企業を運営するコンサルタントのタカシさん(32、仮名)」「は1歳になる子どもが一人いるが、ある日子育てに必要な経費をざっくりと計算してみて、その負担の大きさに衝撃を受けた」
「「この現実を直視できている人って、どれくらいいるんですかね?」「政権には誰も、この必要経費を計算してる人はいないんですかね?」」
 で、どれだけカネが必要だって計算したと思う?
「タカシさんの試算では、子ども1人を育てるために必要な額面での世帯年収は、0歳時点で584万円。第2子が3年後に生まれると想定した場合、必要な世帯年収は829万円。、、、」
 共産党支持者によくいるんだけどさあ、コンサルなんて資本主義者にいるとは思わなかった。 「こんなに貧乏だぞ」っていう中身のブルジョワなことったら! 
 官僚がこんな数字見たら笑い出しちゃうよ。そりゃあそりゃあたいへんなことですなあ。公明党なんて怒ると思うぞ。貧乏で子沢山ていうのが定番だからね、理由は知らないけど。
 ま、ばかばかしいからお知らせだけ。
 みんながんばってね。
 
 本日は、本のお薦め3件。
 その1.立原えりか童話集。
 なにをいまさら、という感もありますが、ともかく暑さで何もする気が起こらないところ気晴らしに本棚から取ったら、心が打ち震えてやる気に充ち溢れました。私などには魂のふるさとです。ウツの方にはお勧め。 
 前にここでなんて書いたかなあ、と思いましたが、どうも過去なにも話題にしてなかったようなので、いまさら。
 
 その2。白石良夫「かなづかい入門ー歴史的仮名遣VS現代仮名遣ー」平凡社新書。
 よく人格障害の右翼が、ただの自分のノスタルジーを、なにか右翼にとっても意義あるかのように歴史的仮名遣を褒め称えるじゃないですか。うっとおしい奴らだ、と思ってましたが、わざわざ反論する気にもならなかったところ、これはきちんと整理・批判してあって便利。べつに左翼じゃなくて、教科書検定官ですが。
 官僚は合理的で、嫌いではないです。
 
 その3.新保満「村が栄える条件-岩手県志和の変貌」NHKブックス。
 カナダ・オーストラリアの先住民研究の人ですが、これは何の世渡りの都合か、日本の岩手県紫波郡志和の歴史的・継続的研究。中野卓先生チックな。
 ともかく都会育ちには役に立ちます。新聞記事のような評論を集めただけの虚しい地域学研究書なんか数冊並べた後だったから余計に響きました。これぞ社会学。続きを誰か書いてほしい。
 中身の紹介は、キャッチコピーがないし長くなるので略。まあ信じて読んでね。
 これを挙げたのは、特に、「社会学」だから。
 お読みになるとわかりますが、まともな実証社会学書というのは主体的なものです。どなたさまも周りの社会学者を思い浮かべればそうでしょう? 彼らはそこで生きている人間に即して、地域なり家族なり経営組織内労働者なりのありようを研究するものです。その研究が登場人物の思いをありありと表現できれば、それはよい研究です。このため、調査をする社会学者はほとんどお人よしであり、実証社会学者に右翼はいません。
 が、それだけに良心的であればあるだけ左翼もいません。登場人物はその社会的場面で現状をよりよくするよう生きているからです。当然に学者も現状をよりよくするのになんとか手を貸したい。お人よしですから。かくて、実証社会学者はすべからく「改良主義者」なのです。
 この本も、良い本なのですが、一生懸命展開して、終章の締めの言葉はそれまでの展開とは外見上関係なく、「第一に、日本は食管制に手をつけてはならない」「第二に、日本は、野放図な外国産農産物の流入を許してはならない」で終わってしまうのです。なんともはや。
 いや、私は趣旨は賛成ではありますが、そんなことをいうために展開してきたのかね、新保さん。
 
 実のところ社会学って虚しいんだよね。
 ここんとこ下位体系論してるんで、つまり社会学みたいなことしてるんで、こんなことしてて何の役に立つんだ、と暑さ負けもひとしお。大昔、辞めて普通のサラリーマンになってほんとによかった。 
 社会学が科学になるためには、つまり因果連関の学になるためには、実証の登場人物から離れてその環境自体の分析を理論として接ぎ木するしかないのです。そうでなければ登場人物はすでに知っていることをなぞる現象の学に終わる。若人の方々におかれましては、このことを決してお忘れなきよう。
 ちなみに知らなかったら、新保さんというのは大学の先輩だった。元ICUというから、森岡清美先生のお弟子なのかね。
 わたしなど、高校の倫社の教師になろうと(旧)教育大にいったんだけど、これも教育実習でそのころの高校生に呆れてやめて。そのころ、「彼こそ天性の倫社の教師ではないか」と思った、天野滋似の木立M君(倫理専攻、年上)がうらやましかったけどね。その後会ってないので、ちょっとネットみたら、なかなか苦労した気配が。隣の芝生は決して青くはありません。結局、不満なところをなんとかやりくりして生きるというのが、人の99%な生き方のようです。
 まあこんなもんだ、人間欲張るもんじゃない、と思うとウツも治る?

コメント
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