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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

【おまけ】地域のソウルフード

2010-09-30 23:58:59 | Weblog
 根室での仕事の帰り際に、根室の人たちのソウルフード(魂の食べ物)と言われる喫茶店「どりあん」の「エスカロップ」を食べてきました。

 このエスカロップという料理は、タケノコ入りバターライスの上に、薄いとんかつを乗せ甘めのデミグラスソースをかけた独特な料理。ここどりあんはこの料理を発案した老舗の喫茶店として知られていて、エスカロップと言えばどりあんと言われているのだとか。



               【これがエスカロップだ!】


 根室市民にはあまりに一般的なのですが、根室以外ではほとんど知られておらず、根室の人たちは外へ旅行などに行って初めてエスカロップが根室限定料理であることを知った、というエピソードもあるのだそうです。

 ここどりあんのエスカロップは、まさに他にはない独特な味わいですが、美味しくいただきました。こういう地域限定グルメは食べにゆきたくなりますね。今度根室へ行くときは必ずもう一度食べることにします。

    ※     ※     ※     ※     ※

 さて、根室のソウルフードはエスカロップだとして、「では釧路のソウルフードはなんですか?」と何人かに訊いてみたところ、異論もあるでしょうけれど、泉屋さんのスパゲティという答えが多くありました。

 泉屋さんのスパゲティは私も一度だけ食べたことがあるので「私も食べました。ナポリタンが美味しかったですね」と言うと、「泉屋でナポリタンですか?ははは、それはソウルフードではありませんよ。泉屋と言えば、①泉屋風という塩スパゲティ、②ピカタ、③スパカツの三つですよ、この三つ!」と言われてしまいました。

 特にスパカツは、大盛り、大、大大、大大大と強烈な盛りのオプションがあるそうで、「高校生の時は大大を早食いしたもんだなあ」と地元の人たちで大いに盛り上がっていました。

 こういう会話には参加できませんね。おまけに食べたものも違ってちょっとションボリ。あと三回は泉屋さんに行かなくちゃ。
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港をもっと使ってほしい

2010-09-30 23:44:21 | Weblog
 今日は根室までポートセールスに行ってきました。

 ポートセールスというのは、「もっと港を使ってください」という売り込みのこと。港って必ずしも近くの港を使ってもらえないところが難しいのです。

 まず釧路という位置から考えると、この港を利用する背後圏は、釧路圏のみならず根室、十勝、網走など東北海道全域にわたります。



             【釧路の後背圏は広いのです】


 北海道全体の、第三次産業と建設業を除く生産額は約8.4兆円ですが、この後背圏での経済規模は約2.5兆円と約3割を占め、主要産業は、農水産業、食料品製造業、パルプ・紙産業などです。

 この地域では、日本のジャガイモの約60%、小麦の44%、ホタテ貝・サケの60%、昆布の50%を算出します。まあ一大食料供給基地であることに疑いはありません。

 ところで、では釧路港に着目した場合、実際どれくらい使ってもらっているのだろうかということが気になります。

 ちょっと古くて平成16年の港湾統計から引っ張り出してみたところ、この地域へ物を持ってくる移入の場合釧路圏はほぼ100%、その他の地域でも少ないところで50%くらいが釧路港から上がってくる荷物を利用していることが分かりました。



             【移入はこの港から】

 ところが、では地域で産出されるものをどれくらい釧路港を利用して外部へ移出しているかを調べてみると、釧路の99%は良いとして、網走地域で57%、十勝地域では32%、そして根室地域に至ってはわずかに1%程度しか利用されていなかったのです。

 根室の水産物はその83.5%を苫小牧港から出していました。延々と苫小牧までトラックで陸送しているというのです。

 そのあたりの港の利用先をなんとか釧路に変えてもらいたい、というのが今日のポートセールスの一番の眼目なわけですが、実はいろいろな課題も。実はここが『物流』というものの持つ一筋縄ではいかないところなのです。



             【移出はこの港から】


    ※     ※     ※     ※     ※

 釧路港を使って盛らない理由もどうやら一つではなく複数の要因が絡んでいるよう。

 たとえば荷物の運び方。荷物を積んだトラックをそのまま乗せて運んでくれるのはフェリーと言いますが、もう一つのやり方として荷台とそれを引っ張る運転部分(ヘッド)に分けて、船には荷台だけを運びこんでヘッドは運ばないRORO船という形もあります。この場合はついた港でヘッドが待ち構えていて二大と連結して目的地まで運ぶというやり方です。

 このどちらをどれくらいの割合で使うかというのはひとえに運輸会社さんの事情によるわけで、船会社との関係や持っている車の種類、お付き合いの深さなど事情は様々。おまけに荷主からすると、できた荷の輸送は「築地まで○○日までに運んでね。お代はこれだけでお願いします」と運輸会社に一任する形態がほとんどなので、「どこの港を使ってください」という指示はあまり意味がありません。

 釧路の場合、かつてあったフェリー航路が現在はなくなってしまいRORO船の航路しかないのが選択の幅を狭めています。

 次にその定期航路の時間帯と船の便数の問題。釧路から出る船が14時となると、朝とれた魚をセリにかけて梱包して運んできても間に合わない可能性が高く、そうした時間帯の都合も影響してきます。荷が付くのが15時になり、次の船が18時だとしたら、もう少し苫小牧まで走って便数の多い船に乗せることも計算の範囲内になりそうです。

    ※     ※     ※     ※     ※

 そしてなにより大きいのが『片荷』の問題です。

 物流というのは効率的に行いたいもので、荷物を積んで北海道を出てゆくトラックや荷台は、帰りに北海道への荷物を積んで帰ってくれば往復で仕事が取れるので効率的です。これが帰りは荷物がないとなるとトラックをただ運んで帰ってこなければならないので往復を片道の仕事で稼がないといけません。

 ところが北海道の場合、道内から出るのは水産物にしても農産物にしても秋の収穫時期に集中していて、この時期ならトラックが足りないくらい産物を運び出したいものの、そんなにたくさんのトラックが返ってくるときに積んでくるほどの荷物はありません。同時に秋以外の季節では北海道から出すものがなくて持ってくるばかりになりがちです。これが北海道の物流における『片荷』という構造的な問題なのです。

 しかし後背地に大都市を控えているところの港であれば、まだいろいろな荷物が発生する可能性が高く、それに一番近いのが道内では札幌を背負う形になっている苫小牧港であるわけで、物流の世界で最も優位にたつ立地というわけ。

 こうした事情にさらに、高速道路の無料化や鮮度保持技術の向上など様々な要因が重なって、地方港湾を使うよりも定期航路や便数の多い太い物流機能を有するところに集中しがちになります。

 これでは有利なところはますます有利になり、不利なところはますます不利になるばかりです。

 まずは港湾の機能を強化しつつ、いかに荷を集め地域で産出・消費ができるかという大きなサイクルを描く必要があります。地域で人口が減るというのはこうした経済も縮むことなので恐ろしいこと。

 なんとか新しい産業を誘致し、産物を増やし消費を増やしてゆきたいところですが、農水産業がなんとか頑張っている地域性をこれからも生かしたいものです。
 
 物流ってなかなか奥が深いのです。
 
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