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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

福祉の一歩は場づくりから

2010-09-24 23:35:10 | Weblog
 空いた時間を利用して、市内の施設を見学。今日はNPO法人地域支援ネットワークサロンさんが関わっている地域起業創造センター「まじくる」を見学してきました。

 ネットワークサロンさんはもともと障害を持つ子供さんのお母さんたちが集まって顔を合わせながら悩みを語り合う会としてスタートし、そこから地域の悩み事を地域が解決する会として、任意団体として独立してスタートしたのだそう。

 今では行政から様々な福祉予算を獲得して、様々な悩みを語り合う場づくりのベースとなる建物まで取得して活動を広げています。

 今日お訪ねした「まじくる」はもともとコンビニだった建物を買ってNPOの拠点としつつ、障害者や失職者に対する事業を行っています。





 今日訪ねた時には、現在政府が行っている「社会的企業人材創出インターンシップ事業」の研修が行われていました。

 こちらでは就労希望コースというコースの研修で、就労希望者がまずは働くことの理念や基礎を学び、実務の知識やスキルを身につけます。そのうえでネットワークサロンによって協力してくれる企業にインターン就労を行い、企業は人となりを見極め、就労希望者は企業を下見し体験的に働けるというわけ。





 ハローワークではそうしたきめの細かい就労体験はできず、就労希望者側でも自分のスキルで足りない部分に気付くという機会がありません。

 こちらの研修は国の研修を実践していると言いながら、そもそもはこちらが始めていた失職者の場づくりを国が事業として取り入れたというのが本当のところ。それまで細々とやっていたことに予算がついたということに外なりません。

 もともとこちらが始めたわけですからその理念は確たるものがあります。

「まずは悩みを語り合う『場』が必要なんです。その『場』で悩みを語り合うことで自分に足りないものや自分ができること、してあげられることに『気が付き』ます。そこに悩みやニーズがあるということは、誰かがやってほしいことがあるということで、それは事業の種だということです」
「なるほど」

「悩みを抱えると、人は誰にも話せず家に引きこもりがちになります。そういう人たちをまずは社会に出て来られるようにした方が良いのですが、そのためにはまず物理的な『行き場所』が必要になるんです。私たちはその場所を提供しているだけで、そこに集う人たちが語り合う中で自分たちで足りないことや気が付くことがたくさんあるんです」

    ※     ※     ※     ※     ※

 同行してくれた福祉の担当者は、「見ているとここに来る人が笑顔で、どんどん元気になってゆくことが分かります。なかには生活保護の方もいますが、そういう人たちでも社会に参加して就労しようとします。仕事につけても収入は少ないことが多いです。でも社会に参加できて収入が得られれば、『半就労、半福祉』で良いのです。そうすれば社会として元気になり福祉のための予算は収入の分少なくて済みます」と言います。

「なるほど、生活保護世帯率は高くても、かかる費用は半分ということだってありうるわけですね」
「そうです」

    ※     ※     ※     ※     ※

 こちらの建物には知的障害を持った人たちが集う部屋もあったり、認知症のお年寄りを一時預かるサービスも行っていて、そうしたサービスも介護保険としておこなっているわけではありません。





「そうした行政サービスを行うと、サービスを提供できる人とできない人がはっきりと線引きされてしまいます。こちらでは地域の人たちが困ったら相談してきて福祉サービスで救われない人をどうするのか、ということの方を大切にしたいと思っています」とはNPOの方。

 困りごとやニーズは事業の種、というのがこちらのNPOの一貫した姿勢です。

 そのためにもまずは困った人たちが集まれる場を作るということを大切にし、その意味が良く分かりました。

 釧路には福祉のモデルとなる最前線の活動があるのです。

コメント
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