全国地域SNSフォーラムの二日目。昨日の全体パネルディスカッションに引き続き、今日は三箇所に別れての分科会が行われました。
私は第三分科会で「サステイナブルなSNS~道徳と経済の融合」というテーマで意見交換のコーディネーターを務めました。「道徳と経済」というのは、二宮尊徳先生の報徳ではよく知られた話題で、「人はすべからく二つの門をくぐらなくてはならない。道徳門と経済門。経済なき道徳は寝言であり、道徳なき経済は犯罪である」という言葉に由来しています。

「経済と道徳のどちらが大事か」と問われると、多くの人は(道徳?いや経済…?)と悩むことでしょうが、尊徳先生はあくまでもこの二つに上下の別をつけるのではなく、「車の両輪でありどちらも大事」という価値観を提示されました。ここが尊徳先生のすごいところですが、いまだにこの価値観がぶれているのが現代社会かもしれません。
さて、意見交換をお願いしたのは横浜のSNS「ハマっち!」を運営する杉浦さんと、西千葉で「あみっぴぃ」を運営される虎岩さんのお二人。
まずは私の方から、報徳思想についてのバックグラウンドをご説明しましたが、ちょっと長かったかな(笑)
そしてその上で、それぞれにこの両立させるべき道徳と経済になぞらえて、「道徳」を何をなすべきかの志ととらえることでSNSで果たしたいと考えている地域への貢献を伺い、「経済」として実際の経営の裏話を伺いました。
どちらも大きなSNSでの苦労話として、対談が楽しみなのでした。
※ ※ ※ ※
「ハマっち!」の杉浦さんは、人口368万人の横浜という巨大な都市にあって、人が出会える地域を作りたいとのこと。ともすると自分が関心あるコミュニティにだけ参加するのではありませんか、との問いには、全体の情報が見られる掲示板を作ることで情報が広がることを期待しているとのことです。
また経済的なバックグラウンドとしては、事業そのものは横浜開港150周年記念事業の一環として始まったものでまだ2年ほどの若いSNSながら、国から大きな委託事業を受けているとのこと。今はよいのですが、将来は後背人口が大きいことを活かして、企業広告モデルへの可能性を模索しているとのことです。
※ ※ ※ ※
「あみっぴぃ」の虎岩さんも、地域SNSの世界では超有名人。実は以前東京で勤務していた時に、ある勉強会で虎岩さんをお招きしてお話を伺ったことがあるのです。
あみっぴぃの活動は、地域に『こんにちは』と言える関係性を作りたいという思いつきから始まったもの。最初は年長者の方に対するパソコン教室を開いたのですが、年長者はパソコンの操作を教えてもらっても普段使わないのでやがて操作の仕方を忘れてしまうのです。
「パソコンが物を作る道具ととらえれば、それは誰かがかわりにやってくれてしまう。年賀状なんかは自分が作れなくても誰かが作ってくれるんです。でもコミュニケーションの道具ととらえれば自分のかわりはいません。自分がやるしかないのがネットのコミュニケーションなので、どうしても一生懸命操作を覚えようとします。それに気がつきました」
虎岩さんはさらにその講師を地域の学生にやらせることで、世代間交流を促します。学生の側も知らない人に声を掛ける絶好の機会となり、人に会うスキルが向上します。
「年長者から『先生、ありがとう』と言われると嬉しくなるんですね。そのうえ町ですれ違った時に、『先生、こんにちは』と挨拶を交わす。これが地域で住むということの良さなのではないでしょうか」
実はこのシステムは全国でも注目されて、依頼を受けていくつかの地域への移植を試みているのですが、「やはり思いが全て伝わらないというか、やることの意味を心から理解してくれなければ衰退してしまうことが多いのです。やはり運営側の志の問題なのかも知れませんが」
また経営的には、「当初は会員数を増やして広告で…という思いもありましたが、SNSで収入を得るのは難しいです。それよりは、そんなSNSを運営しているトライワープという親NPOへの信頼が増して、『あなたを支援したい』といって賛助会員になってくださる企業が増えています」
「また、先ほど述べた地域SNS立ち上げのノウハウをパッケージ化しましょう、という企業の力も借りてそうした取り組みも始めています」とのこと。誠心誠意という真心が伝わることでビジネスになると言うのは新しいモデル化もしれません。
改めて良いお話が聞けました。
※ ※ ※ ※
ところで、ここ大日本報徳社の大講堂で行われた分科会は昨日に続いて、インターネットのustreamでストリーミング配信が行われました。
札幌の妻に「見られるなら見てみて」と伝えたところ、「見えたし音も聞こえたよ。報徳について随分熱く語っていたよね(笑)」ですって。面白い時代だなあ。ちなみに、ustreamで、snskakegawaと検索すると、今日の模様が見られる【かも】。
二日間に渡る地域SNSフォーラムでしたが、私にとっては掛川人に戻って報徳という資産を再び考えて語る良い機会になりました。
全体監修を引き受けてくださった東大の田中先生を始め、分科会での杉浦さんと虎岩さん、また全国各地から掛川へ集結してくださった皆様、そして相変わらず忘れもせず私を招いてくれた掛川のスタッフ一同に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
私は第三分科会で「サステイナブルなSNS~道徳と経済の融合」というテーマで意見交換のコーディネーターを務めました。「道徳と経済」というのは、二宮尊徳先生の報徳ではよく知られた話題で、「人はすべからく二つの門をくぐらなくてはならない。道徳門と経済門。経済なき道徳は寝言であり、道徳なき経済は犯罪である」という言葉に由来しています。

「経済と道徳のどちらが大事か」と問われると、多くの人は(道徳?いや経済…?)と悩むことでしょうが、尊徳先生はあくまでもこの二つに上下の別をつけるのではなく、「車の両輪でありどちらも大事」という価値観を提示されました。ここが尊徳先生のすごいところですが、いまだにこの価値観がぶれているのが現代社会かもしれません。
さて、意見交換をお願いしたのは横浜のSNS「ハマっち!」を運営する杉浦さんと、西千葉で「あみっぴぃ」を運営される虎岩さんのお二人。
まずは私の方から、報徳思想についてのバックグラウンドをご説明しましたが、ちょっと長かったかな(笑)
そしてその上で、それぞれにこの両立させるべき道徳と経済になぞらえて、「道徳」を何をなすべきかの志ととらえることでSNSで果たしたいと考えている地域への貢献を伺い、「経済」として実際の経営の裏話を伺いました。
どちらも大きなSNSでの苦労話として、対談が楽しみなのでした。
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「ハマっち!」の杉浦さんは、人口368万人の横浜という巨大な都市にあって、人が出会える地域を作りたいとのこと。ともすると自分が関心あるコミュニティにだけ参加するのではありませんか、との問いには、全体の情報が見られる掲示板を作ることで情報が広がることを期待しているとのことです。
また経済的なバックグラウンドとしては、事業そのものは横浜開港150周年記念事業の一環として始まったものでまだ2年ほどの若いSNSながら、国から大きな委託事業を受けているとのこと。今はよいのですが、将来は後背人口が大きいことを活かして、企業広告モデルへの可能性を模索しているとのことです。
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「あみっぴぃ」の虎岩さんも、地域SNSの世界では超有名人。実は以前東京で勤務していた時に、ある勉強会で虎岩さんをお招きしてお話を伺ったことがあるのです。
あみっぴぃの活動は、地域に『こんにちは』と言える関係性を作りたいという思いつきから始まったもの。最初は年長者の方に対するパソコン教室を開いたのですが、年長者はパソコンの操作を教えてもらっても普段使わないのでやがて操作の仕方を忘れてしまうのです。
「パソコンが物を作る道具ととらえれば、それは誰かがかわりにやってくれてしまう。年賀状なんかは自分が作れなくても誰かが作ってくれるんです。でもコミュニケーションの道具ととらえれば自分のかわりはいません。自分がやるしかないのがネットのコミュニケーションなので、どうしても一生懸命操作を覚えようとします。それに気がつきました」
虎岩さんはさらにその講師を地域の学生にやらせることで、世代間交流を促します。学生の側も知らない人に声を掛ける絶好の機会となり、人に会うスキルが向上します。
「年長者から『先生、ありがとう』と言われると嬉しくなるんですね。そのうえ町ですれ違った時に、『先生、こんにちは』と挨拶を交わす。これが地域で住むということの良さなのではないでしょうか」
実はこのシステムは全国でも注目されて、依頼を受けていくつかの地域への移植を試みているのですが、「やはり思いが全て伝わらないというか、やることの意味を心から理解してくれなければ衰退してしまうことが多いのです。やはり運営側の志の問題なのかも知れませんが」
また経営的には、「当初は会員数を増やして広告で…という思いもありましたが、SNSで収入を得るのは難しいです。それよりは、そんなSNSを運営しているトライワープという親NPOへの信頼が増して、『あなたを支援したい』といって賛助会員になってくださる企業が増えています」
「また、先ほど述べた地域SNS立ち上げのノウハウをパッケージ化しましょう、という企業の力も借りてそうした取り組みも始めています」とのこと。誠心誠意という真心が伝わることでビジネスになると言うのは新しいモデル化もしれません。
改めて良いお話が聞けました。
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ところで、ここ大日本報徳社の大講堂で行われた分科会は昨日に続いて、インターネットのustreamでストリーミング配信が行われました。
札幌の妻に「見られるなら見てみて」と伝えたところ、「見えたし音も聞こえたよ。報徳について随分熱く語っていたよね(笑)」ですって。面白い時代だなあ。ちなみに、ustreamで、snskakegawaと検索すると、今日の模様が見られる【かも】。
二日間に渡る地域SNSフォーラムでしたが、私にとっては掛川人に戻って報徳という資産を再び考えて語る良い機会になりました。
全体監修を引き受けてくださった東大の田中先生を始め、分科会での杉浦さんと虎岩さん、また全国各地から掛川へ集結してくださった皆様、そして相変わらず忘れもせず私を招いてくれた掛川のスタッフ一同に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。