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「竹下村誌稿」を読む 310 産業 6

(城北公園の富士山/昨日)

午後、金谷宿大学「古文書に親しむ」講座。午前中に、その予習を再度行った。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。

害虫駆除 苗代田に在りては、五月二十日頃より六月十日頃まで、螟蛾及び螟虫を捕獲し、毎年二回已上一斉駆除を行なう。近年小学校生徒を奨励して、採卵捕蛾に努む。本田移植後は、七月上旬より螟卵を採殺し、九月より白穂を切り取り、浮塵子発生する時は注油をなし、蔓延の兆候ある時は一斉駆除を行なう。
※ 螟蛾(めいが)- 鱗翅目メイガ科の昆虫の総称。日本には約650種産する。小形から中形の蛾で、体は細く、足が細長い。幼虫はズイムシと呼ばれ、農作物の害虫として知られる。
※ 螟虫(めいちゅう)- メイガ、特にニカメイガの幼虫。ずいむし。稲の髄に食い入り大きな害を与える。
※ 螟卵(めいらん)- 螟蛾の卵。
※ 白穂(しらほ)- 実らずに枯れて白くなった稲穂。
※ 浮塵子(うんか)- 半翅目ウンカ科の昆虫の総称。形はセミに似る。繁殖力が強く、稲などの茎や葉から液を吸って枯死させる害虫。
※ 注油(ちゅうゆ)- 江戸時代には、ウンカの効果的な駆除法として〈注油法〉が行われた。これは水田に鯨油,魚油,ナタネ油などを注入して、ウンカやヨコバイ類を払い落とし、油膜で虫の気門をふさいで窒息させるものである。


従来は浮塵子(うんか)発生せし時は、虫送り、或るは注油法は行われつゝありしも、他の病害虫は単に気候の変化によりて生ずるものと妄信せるもの多く、その最も甚だしきに至りては、或るは神仏に祈願し、或るは神仏の守護札を田面(たずら)に立てしものさえありしなり。これを観れば殆ど愍笑すべきに似たりといえども、理学の開けざる当時に在りては、強(あなが)ち無理とも感ぜざりしなるべし。
※ 虫送り(むしおくり)- 農村において、農作物につく害虫を駆除・駆逐し、その年の豊作を祈願する呪術的行事。虫追いなど数多くの別名がある。
※ 妄信(もうしん)- むやみやたらに信じること。
※ 愍笑(びんしょう)- あわれんで笑うこと。


然るに、今は病理を極め、病害は細菌の寄生に基因し、虫害は成虫の産卵によって発生することを了知し、薬剤を施し、卵塊を採集するなど、適当の方法によりて、駆除することを実行するに至りたるは、僅々三十年已来のことなり。

収納 早稲(わせ)は十月中旬より、中稲(なかて)は十一月上旬、晩稲(おくて)は同下旬に、その成熟したる籾を唐臼と称する籾摺機にて、外皮を剥ぎ去り、玄米として俵に(四斗)容れる。俵装は二重皮にして、内外とも五ヶ所を緊締す。また近来、労力を省き、稲扱機を使用し、また石油発動機を利用して籾摺機を運転するものあるに至る。
※ 唐臼(からうす)- 稲などのもみがらを落とすための農具。上臼と下臼からなる。
※ 緊締(きんてい)- 荷物などをしっかりと締めつけること。
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