平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「竹下村誌稿」を読む 307 産業 3
イヌタデは目立たない雑草ではあるが、一瞬、地面に敷き詰めたように咲いて、目を引かれる。
午後は晴天となる。夜、漸く寒くなって、北海道では初雪とか、例年より半月以上遅く、観測史上最も遅い初雪とか。
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「竹下村誌稿」の解読を続ける。
第二節 米
一 生 産
米は本村唯一の物産にして、五和米と称し、その味の美なる、世間賞揚して措(お)かざる所なり。且つ土地肥沃にして気候温暖なるを以って、米作の成熟、最も佳良なるを常とす。而してこれが豊凶如何は農家経済に影響する所、少なからざるを以って、当業者は常にその栽培に注意して怠らず。その耕種法の如きも未だ全く旧慣を脱せずといえども、近時各種の奨励法あると、各自勉強の結果、皆な能く学理的研究応用して、これが成績を収め、今日の収穫を以って三十年前の収穫に比すれば、二割乃至三割の増収を見るに至りしは、一般人智発達の効果たらずんばあらず。
※ 賞揚(しょうよう)- ほめたたえること。称賛。
されど、多収に伴う米質の漸次不良化するは、一般の認むる所なり。本村米作反別三十三町二反歩は、乾燥自由にして乾田となせども、小字西の久保、弥三淵堤間の内、反別約一町歩は、湿地にして、稀には八、九月の候(こう)、霖雨ありて、湛水数昼夜に亘り、稲禾をして不熟に終らしむることあるも、その他は皆な二毛作をなす。
※ 乾田(かんでん)- 非灌漑時には田面が乾燥して畑作が可能な水田をいう。つまり、二毛作が可能な田んぼ。
※ 霖雨(りんう)- 何日も降りつづく雨。ながあめ。
※ 湛水(たんすい)- 水田などに、水をたたえること。
※ 稲禾(とうか)- 稲のこと。
大正五年、実収高七百六十三石六斗、上田一反歩二石六斗五升より下田一石九斗五升にして、平均二石三斗とす。これを本県作付反別六萬五千八百町にして、米産額百二十二萬石とすれば、一反歩平均一石八斗五升余となり、本郡作付反別四千町、米産額六萬九千石とすれば、一反歩平均一石七斗二升余となるに比すれば、本村の産額、他に対し優位を占むと云うべし。試みに実収高を現在人口四百五十九人に配当するときは、一ヶ年平均一人一石六斗六升三合余に当り、全年の飯糧を支うるに剰(あま)りあり。若しそれ、米価一石金拾七円と仮定せば、その金額壱萬弐千九百八拾壱円弐拾銭の収入ある割合なり。
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