ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

G20の協議は対立含みで先送り

2009-03-16 13:57:18 | 時事
 先進国中心のG7を拡大し、新興国を加えたG20が、イギリスで開かれた。
 どのような協議になるか注目したが、世界的な経済危機の克服に向けて、総論賛成、各論多様で、具体的方策は決まらずという結果に終わった。アメリカと独仏の思想と利害の相違が浮かび上がり、米欧が一枚岩ではなくなっていること、また新興国の存在感が一層増していることが印象的である。こうした中、危機克服にリーダーシップを期待されるわが国・日本は、アメリカへの追従が目立ち、新たな世界を構築するビジョンを示すことができず、残念な状態である。
 欧州、ロシア、中国、インド、ブラジル等がアメリカに対し、自主的な姿勢を強めているのに比べ、わが国は依然として対米従属国的な外交を行なっている。アメリカ経済は、今後一層深刻な状態になっていくことが予想される。わが国は主体性を回復しないと、道連れ破産に陥るおそれがある。極楽でも地獄でも添い遂げると一蓮托生を決する値するほど、アメリカという国は、公正でも親日でもない。わが国の指導層は、目を覚ますべきである。
 
 以下は報道のクリップ。

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●産経新聞 平成21年3月16日号

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090315/fnc0903152340004-n1.htm
G20検証 危機克服の処方箋は先送り 米欧対立の火種は残った

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、財政出動など「必要な努力を継続する」ことなどで合意、金融危機克服に向けて協調姿勢を示した。ただ、財政出動や金融規制の各論では米欧の間には意見の相違も目立ち、対立の火種は残った。4月2日に開かれる第2回金融サミット(首脳会合)の前哨戦となったG20の議論を検証する。(ロンドン 木村正人、ワシントン 渡辺浩生)

■歩み寄った米国
 今回のG20は事前に米欧の対立が懸念されていた。焦点だった財政出動による景気刺激策について、米国は事前に「GDP(国内総生産)比2%」という数値目標を示し、欧州に追加財政出動を迫ったからだ。これに対し、ドイツ、フランスなど財政赤字の増大を懸念した欧州勢は「重要なのは財政支出を増やすことではなく、金融規制を整備することだ」(サルコジ仏大統領)と猛反発した。
 結局、財政出動の数値目標に応じたのは日本だけ。追加景気対策の必要性を認めたのも英国のほかは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)4カ国にとどまった。だが、「現実的になるべきだ」というダーリング英財務相の仲介によって、ガイトナー米財務長官は欧州が抵抗する財政出動の数値目標を取り下げた。声明では「成長を元に戻すために、たゆまぬ努力を続ける」という表現にとどめ、各国に実施を迫る明確な公約は回避された。

■規制の詳細は不明確
 一方、英国を除く大陸欧州には、今回の危機は米英型金融資本主義が原因との思いが強い。このため、独仏を中心に金融規制の強化を強く求め、マネーゲームによって市場を混乱させたとの批判があるヘッジファンドについて、「登録制を導入し、情報管理を徹底する」ことを声明に盛り込んだ。シュタインブリュック独財務相は「最初の一歩を成し遂げた」と強調した。
 ただ、規制強化にはもともと米英が消極的で、G20で合意できた内容は、どの国からも文句が出ない「目くらまし」(英紙フィナンシャル・タイムズ)。ヘッジファンドの登録にしても、規制の詳細な内容は現時点では明確ではなく、実効性を上げるための議論は今後に委ねられた。

■米欧の“痛み分け”
 今回のG20は、金融サミットに向けての準備会合との位置づけだが、議論から垣間見えたのは、先進国間の溝の深さだった。財政出動と金融規制をめぐる米英と独仏の対立は“痛み分け”に終わったともいえる。
 米証券大手リーマン・ブラザーズが破(は)綻(たん)してから半年が経過したにもかかわらず、世界経済はいまだに浮上のきっかけをつかめないでいる。今、求められているのは危機克服に向けた具体策だ。
 本番までの2週間あまりで、どこまで実効性のある処方箋(せん)を見いだせるのか。サミットが国際交渉舞台のデビューとなるオバマ米大統領は、いきなりその指導力を試されることになる。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090316/fnc0903160210000-n1.htm
【主張】G20金融会合 首脳会議で一層の協調を
2009.3.16 02:10

 英国で開かれた主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は、世界経済の成長が回復するまであらゆる政策手段をとり続けることと保護主義防止などで合意して閉幕した。
 昨年9月のリーマン・ブラザーズの破綻(はたん)から半年がたったが、世界的な金融不安は収まらず、実体経済は日米欧がそろってマイナス成長を記録するなど悪化が続いている。世界経済の危機克服に向けてスピード感を持って政策協調を実現させてほしい。
 今回の会議では、財政出動について具体的な数値目標を掲げることを主張した米国に対して、ドイツなどが反対した。そのため、各国が個別に財政拡大に努力し、国際通貨基金(IMF)がその成果を評価することにした。
 数値目標では合意に至らなかったが、各国がそれぞれ財政出動を行えば、世界経済の底割れを防ぐことに役立つだろう。重要なのは各国が景気対策の実行に責任を持つことである。
 金融政策では、従来の金利政策にとどまることなく、各国の中央銀行が量的緩和などを含むあらゆる政策を採用するとの方針を打ち出した。金融システム安定化とともに十分な資金を供給し、財政政策との緊密な連携が必要だ。
 今回の金融危機のきっかけになった複雑な証券化商品をめぐる投機的取引については、ヘッジファンドや格付け会社などを登録制にすることと情報開示の強化などで合意した。
 過度な投機的資金の流れに対しては一定の規制が必要だ。健全な市場機能を回復させるために、バランスある規制のあり方を工夫してほしい。
 今回の会議は来月2日にロンドンで開かれるG20首脳会議(金融サミット)の準備会合の意味合いがあった。金融資本市場を納得させるためにも、サミットに向けて各国は具体的な効果が見えるよう努力し、さらなる協調を目指さなければならない。
 日本への期待も大きい。与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は、追加の経済対策を実現すれば、日本の財政出動規模は米国が求める国内総生産(GDP)比2%以上を十分超えるという見通しを示した。
 ただ、規模を確保しても単なるばらまきになってはならない。追加対策は将来の経済再生を確実にする政策が不可欠である。
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