ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

フェミニストが狙う皇室消滅2

2006-04-10 08:34:18 | 皇室
 岩男寿美子氏が英文雑誌に書いた記事については、日本政策研究センターの週刊Webニュース3月6日号が、最初に載せたようである。そこでは、掘り下げた分析と批判がされている。
http://seisaku-center.net/sunbbs/

 私は、有識者会議のメンバーに岩男氏というフェミニストが含まれていたことに注目してきた一人である。この会議は詳しい議事録が公開されていない。そのため、岩男氏がどのような発言をしたのか、会議の検討や答申にどのような影響を与えたのか、わからない。
 しかし、この30数年にわたるわが国のフェミニズムの動向を見ると、皇室に関する問題に大物フェミニストが積極的に関わるには、明確な狙いがあってのことに違いない。

 世界各国のフェミストにとって、欧州諸国の王室の多くは、男性が家族・社会の中心となる家父長制の象徴であり、打倒の対象だろう。なかでも世界で最も古い王家である日本の皇室は、古来一貫して男系継承を継続してきた。フェミニストにとって、皇室ほど家父長制を象徴するものはないだろう。「世界のフェミニズム化」において、日本皇室の廃絶は、極めて高い重要性を持った課題だろう。
 私はこうした世界的な視野から、わが国におけるフェミニストの皇室消滅に向けた動きを見た方がよいと思っている。

 岩男氏が「Japanese Echo」に書いた原文は、以下に掲載されている。
http://www.japanecho.com/sum/2006/330107.html
 有識者会議のメンバーは、吉川座長以外は、皇室典範に関して自らの意見を明らかにしていない。申し合わせたように、寡黙を守っている。官僚が緘口令を敷いているとも聞く。
 ところが、岩男氏は、沈黙を破った。自分が編集長をしている英文雑誌に、国内未発表の文章を掲載し、女性天皇・女系継承容認の答申の正当性を、海外に向けて主張していたのである。こうした記事の掲載は、その効果を十分計算して、掲載しているものと見られる。
 岩男氏の発信が、有識者会議のルール違反なのか、それとも官僚等と示し合わせた計画的な広報活動なのかはわからないが。

 次に、記事の内容を見ていこう。岩男氏は、有識者会議のメンバーを、次のように紹介している。
 “The 10-member council included five male scholars, along with the chairman of Nippon Keidanren (Japan Business Federation), a former justice of the Supreme Court, and a former deputy chief cabinet secretary; two of the members were women: Ogata Sadako, who is currently serving as president of the Japan International Cooperation Agency, and me.”
 5人の男性の学者のほかに、日本経団連の会長、最高裁の元判事、内閣官房副長官がおり、女性も2人いると言って、国際的に著名な緒方貞子氏と岩男氏自身を書き連ねている。日本の国内事情を知らない外国人には、このようなメンバー構成は公正でバランスが取れたものという印象を与えるだろう。

 岩男氏は、皇位の男系継承を維持するために注目されている旧宮家については、次のように述べている。
 “But these branches separated from the current imperial line six centuries ago, and their members have been living as ordinary citizens for almost 60 years. It is hard to see how a person from one of these families could win public support as the “symbol of the State and of the unity of the people, deriving his position from the will of the people” as the emperor is defined in Article 1 of the Constitution.”
 すなわち、「旧宮家は6百年前に現在の皇室から分かれた家系であり、そのメンバーは約60年間、普通の市民として生活してきた。旧宮家の人間が、憲法第1条に天皇について定められている「その地位は国民の総意に基づく」ところの「日本国の象徴にして日本国民統合の象徴」として、国民の支持を得ようとしても、それは難しい」という旨を、岩男氏は書いている。
 この件(くだり)は、旧宮家の復活の可能性はないことを、外国人の印象付けるものだろう。
 そして、岩男氏は、2005年10月の世論調査の結果、84%が女性天皇を肯定し、74%は男系継承に限る必要はないという意見である、と述べる。これは国民の大多数が、女性天皇・女系継承を容認しているという印象を、外国人に与えるだろう。

 産経新聞が問題視した「奇妙な反論」は、その後に出てくる。その部分の原文は、次のように書かれている。
 “One peculiar objection that has been advanced is that it was too “hasty” for the advisory council to reach a conclusion on such a weighty matter within a single year. However, this matter was actually under study by a group within the Cabinet Secretariat for a period of seven or eight years prior to the establishment of our council.”
 つまり、「有識者会議がこのような重要な問題について、1年以内に結論を得るというのは拙速すぎるという奇妙な反論が出されている。しかし、この問題は、実際はわれわれの有識者会議の設置より7~8年前に、内閣官房内のグループによって研究されていた」という主旨のことを、岩男氏は書いている。
 既に広く知られているように、この記述は、重大な問題を暴露したものだ。
 
 次回に続く。